エイリアンだとバレたら、即死亡。

中河原虎太郎

バレるな!(脚本)

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中河原虎太郎

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〇個室のトイレ
田中光太郎「あと1時間・・・1時間誰にも正体がバレなければ」
  任務達成だ。君は晴れて母星に戻れる
田中光太郎「長かった・・・本当に」
  18年間、よくぞスパイとして頑張ってくれた
  君が収集した地球人の情報。
  これがあれば、我々は容易く地球を侵略出来るだろう
田中光太郎「お役に立てて何よりです」
  任務達成まであと1時間だがどうする?
  ここで潰すか?
田中光太郎「いえ。外に出ます」
  どうしてだ。ここにいれば安全じゃないか
田中光太郎「臭いんです」
  臭いのか
田中光太郎「地球人とも最後にお別れしておきたいですし」
  それは自由だが、くれぐれも正体がバレる事がないようにな
  もしバレたら、我々はお前を抹殺しなければならなくなる
田中光太郎「大丈夫ですって。 18年隠し続けてこれたんですから。 今更バレません」
  光太郎、ポッケからボタンを取り出すと1回押す。
  姿がみるみる変化していく。
田中光太郎「では。1時間後に戻ります」

〇学校のトイレ
  ドンッ
催してる人「いてっ」
田中光太郎「あっ失礼」
  田中、謝りながら出ていく。
催してる人「ん?あ、なんか落としましたよ! ・・・行っちゃった」
  床に落ちているボタン。
  それを拾う男。

〇教室の教壇
マキ「光太郎おっそいなあ」
ダイスケ「絡まってんだろ」
マキ「何が?」
ダイスケ「うんこが」
マキ「どこに?」
ダイスケ「ケツ毛に」
  ごめんお待たせ!!!
マキ「もう!おっそ・・・え」
田中光太郎「どうする?カラオケ行くんだっけ?」
ダイスケ「・・・」
マキ「・・・」
田中光太郎「・・・え?なに?」
ダイスケ「・・・光」
マキ「・・・太郎?」
田中光太郎「いやそうだけど?」
  空気が凍っている。
  光太郎、窓に映った自分の姿に気づく。
田中光太郎「・・・は」
田中光太郎「はあああああ!?」
田中光太郎(なんで!?なんで本当の姿になっちゃってんの!?)
田中光太郎(てかボタンは!?)
  光太郎、ポッケをまさぐる。
田中光太郎(ないんだけど!え、落とした!?)

〇個室のトイレ
催してる人(押してみたけど特になにもないか・・・)

〇教室の教壇
ダイスケ「・・・」
マキ「・・・」
田中光太郎(まずい・・・エイリアンだということがバレたら・・・)
田中光太郎「死ぬ!」
マキ「えーと、光太郎さ」
田中光太郎「いや光太郎じゃないですね」
マキ「いやさっき自分で光太郎って」
田中光太郎「言ってないですね」
マキ「・・・」
ダイスケ「・・・」
田中光太郎(納得してない!)
田中光太郎(いやそりゃそうだよ!)
田中光太郎(だって見た目がモロにエイリアンなんだもん!)
ダイスケ「く・・・くくく」
ダイスケ「ハハハハ!!!」
田中光太郎「・・・え?」
ダイスケ「なんだその着ぐるみ!」
田中光太郎「・・・・着ぐるみ?」
ダイスケ「いつ用意したんだよそれ!エイリアンだろ!?」
田中光太郎「あー・・・そう!そうそう!着ぐるみ!」
田中光太郎「これでカラオケ行こうと思ってさあ!」
マキ「え、それで?」
ダイスケ「すげー!触っていい!?」
田中光太郎「う、うん!触って触って!?」
ダイスケ「うわなにこれ湿ってる!」
マキ「え、私も触りたい。うわ何これキモ!」
ダイスケ「ファスナーどこだよ!めっちゃちゃんとしてるやつじゃん!」
田中光太郎(なんか・・・どうにかなりそうなんですけど!)

〇個室のトイレ
  じーっとボタンを見つめている
催してる人「えい」
  ボタンを押す

〇教室の教壇
マキ「きゃはは!なにこれ湿りすぎー!」
ダイスケ「これどこで買ったの?ドンキ?」
田中光太郎「あーこれはねーっ」
田中光太郎「ヤフーショッピ・・・」
マキ「え、ええええ!?」
田中光太郎「いやそんなにびっくりする?」
ダイスケ「お前・・・い、いま身体が!」
  光太郎、自分の体を確認。
田中光太郎(えええぇぇぇ!? 今度はいつの間にか人間の姿に!?)
マキ「光太郎・・・あんた・・・」
ダイスケ「本当に、人間なのか・・・?」
田中光太郎(これは・・・)
田中光太郎「もう無理!」
  逃げようとする光太郎。
  ダイスケ、即座に光太郎を捕まえる
田中光太郎「は、離して!」
ダイスケ「マキ!手伝え!絶対逃がすな!」
マキ「う、うん!」
田中光太郎「いやだあぁぁ! バレるうぅぅ!」

〇個室のトイレ
  ボタンを連打している
催してる人(なんかめっちゃ押し心地いいな・・・)

〇教室の教壇
田中光太郎「うわああああ!」
マキ「ひ!?」
ダイスケ「うお!?」
田中光太郎(終わった・・・完全にバレた)
田中光太郎「嫌だ死にたくない・・・」
田中光太郎「・・・母ちゃん・・・父ちゃん・・・ごめん」
マキ「こ、光太郎・・・」
ダイスケ「泣いてるのか・・・?」
田中光太郎(せめて最後に・・・本当の事を言おう)
田中光太郎「・・・俺、ずっと隠してたことがあるんだ・・・」
田中光太郎「俺さ・・・本当は・・・」
マキ「エイリアンでしょ」
田中光太郎「・・・え」
ダイスケ「エイリアンだよな」
田中光太郎「な・・・なんで」
マキ「私達も」
ダイスケ「エイリアン」
田中光太郎「え」
田中光太郎「えええええぇぇぇ!?」
マキ「だから光太郎は」
ダイスケ「死なない」
田中光太郎「ウソオォォォ!?」
マキ「きゃはは!ごめんごめん!騙してて」
ダイスケ「まあ死なないことだし、惑星帰る前に最後にカラオケで歌ってこうぜ!」
ダイスケ「勿論人間の姿でな!」
マキ「バカ!当たり前でしょ!」
マキ「きゃはは!」
ダイスケ「ははは!」
田中光太郎「・・・」
田中光太郎(良かった死ななくて・・・)
  3人のエイリアンはこの後カラオケでひとしきりJ-POPを熱唱したのち、
  母星へと帰った
  それから1ヶ月後、地球はエイリアンに侵略され、
  無事滅んだのでした

コメント

  • あああ、バレちゃった!!とヒヤヒヤしたのも束の間まさかのお仲間さんだったとは笑そしてカラオケを楽しんだという描写や無事滅んだという描写に笑いました笑

  • 18年間バレなかったのに…見事なフラグ回収…笑
    見つかった相手がエイリアンでよかったですが!
    にしても、最後の人類滅びるってところがすごくあっさり!笑

  • すごくおもしろかったです。正体が絶対にバレたと思ってハラハラしましたが、衝撃の展開でした。それにラストにはとんでもない展開が待っていたのに、サラッと書かれているのも流石だと思いました。発想が突飛で、最初はストーリーが読めなかったのですが、読み終えた今では大満足です。言葉選びも秀逸で、とてもリズムよく読めました。エイリアンの質感も気になりました。ぜひ一度触ってみたいと思いました。

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