スペア~繰り返す運命~

芝犬尾々

スペア~繰り返す運命~(脚本)

スペア~繰り返す運命~

芝犬尾々

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〇屋上のヘリポート
三ッ石 日暮「死ぬ時くらいは自分で決める・・・・・・ そうだったんでしょ、私たち・・・・・・ 私も、もう・・・・・・」
三ッ石 日暮「ごめんなさい、次の私・・・・・・」

〇おしゃれなリビングダイニング
三ッ石 日暮「ただいま戻りました」
三ッ石 旭日「問題はなかったでしょうね?」
三ッ石 日暮「はい、お母様」
三ッ石 旭日「そう」
三ッ石 旭日「でも、これからもくれぐれも気を付けて頂戴 三ッ石家の名前に泥を塗るようなことはするんじゃないわよ」
三ッ石 日暮「はい」
三ッ石 旭日「まったく日暮が死ななければこんな苦労はしなかったのに・・・・・・」
三ッ石 旭日「まあ、あなたにこんなことを言っても仕方ないわね」
三ッ石 旭日「とにかく、あなたがスペアだということは誰にも悟られないように」
三ッ石 日暮「はい、お母様」
三ッ石 日暮「・・・・・・」
三ッ石 旭日「まだなにか用?」
三ッ石 日暮「ひとつ聞いてもよろしいですか?」
三ッ石 日暮「1年前も今回のように記憶を失くしたと聞きました 私の前は本物のお嬢様では・・・・・・」
三ッ石 旭日「ええ、あなたで2体目よ 前回のスペアは自ら命を絶ってしまった 不良品もいいところだわ」
三ッ石 旭日「あなたはそんなことのないように きちんと婿を取るまでは三ッ石家の娘でありなさい いいわね?」
三ッ石 日暮「はい、お母様」

〇お嬢様学校
榊山 瑠璃子「日暮ちゃん大丈夫かしら? 命に別状はないって聞いたけれど・・・・・・」
新條 大和「大丈夫さ なんたって日暮の家は、天下の三ッ石総合病院なんだから」
榊山 瑠璃子「でも、お見舞いにも行けないし、やっぱり心配・・・・・・ もしかしたらあまり容態が良くないのかしら?」
新條 大和「それだけ慎重だってことだよ スペアの用意もあるだろうし、心配いらないさ」
榊山 瑠璃子「まあ、それは確かに安心ね 万が一の備えだもの」
新條 大和「おや、あれは?」
榊山 瑠璃子「日暮ちゃん!」
新條 大和「階段から落ちて大ケガをしたと聞いたけれど、もう大丈夫なのかい?」
三ッ石 日暮「あ、おはようございます・・・・・・榊山さんに新條さん、ですよね」
榊山 瑠璃子「え?」
三ッ石 日暮「すみません、違いましたか?」
榊山 瑠璃子「ううん、あっているけど・・・・・・」
新條 大和「苗字で呼ぶなんてやけに他人行儀じゃないか まさか頭でも打って私たちのことを忘れたんじゃないだろうね?」
三ッ石 日暮「ご、ごめんなさい・・・・・・そのまさか、なんです・・・・・・」
「ええ!?」
榊山 瑠璃子「そ、そんな状態で学校に来て大丈夫なの?」
新條 大和「そうだよ、もう少し安静にしていたほうがいいんじゃないかい?」
三ッ石 日暮「ご心配ありがとうございます お父様がいつもと同じ環境にいたほうが、記憶が戻るきっかけになるだろうと言うので」
新條 大和「それならいいんだけど・・・・・・」
三ッ石 日暮「それに私もお願いをしたんです おぼろ気だけれど覚えている、ふたりの親友に早く会いたくて」
榊山 瑠璃子「まあ!」
榊山 瑠璃子「私たちも同じ気持ちだったのよ 日暮ちゃんに早く会いたいって お見舞いにも行こうとしたのだけど断られてしまったの」
三ッ石 日暮「ごめんなさい、お母様が少し大袈裟にしてしまって」
新條 大和「いや、お母様のお気持ちもわかるよ それにこうして日暮が笑顔を見せてくれていることがなにより大事だ」
新條 大和「記憶のことも心配することはない 前のようにすぐ取り戻せるさ」
三ッ石 日暮「前のように、ですか?」
榊山 瑠璃子「ええ、1年ほど前だったかしら? 日暮ちゃん交通事故で記憶を失くしてしまったの」
三ッ石 日暮「1年前にも今回のように・・・・・・?」
新條 大和「こんな短期間に2度も記憶を失くすほどの事故にあうなんて、おっちょこちょいじゃ済まされない」
新條 大和「もう少し気を付けてくれないと心配だよ いくらスペアがいるからって脳ばかりは取り替えが効かないんだからね」
三ッ石 日暮「え、ええ」
榊山 瑠璃子「あ、忘れちゃってるかもしれないけれど、スペアっていうのはね、DNAから作り上げたクローンのことよ」
榊山 瑠璃子「私たちになにかあったとき、移植がすぐに出来るように用意されてるの 名前の通りに私たちの「スペア」なのよ」
三ッ石 日暮「私たちのために用意された命、ってことですか?」
新條 大和「そう重く捉える必要はないさ ただのスペアなんだから」
榊山 瑠璃子「そうよ、替えのお洋服とおんなじよ 気にすることないわ」
三ッ石 日暮「替えの洋服と同じ・・・・・・」
榊山 瑠璃子「そういえばスペアって私たちそっくりだって聞いたことあるけど、本当なのかしら?」
新條 大和「さあ、どうだろうね でも、本当に似ているのだとしたら、1度は会って見たいものだよ」
榊山 瑠璃子「そうだ、会ってみたいで思い出したんだけどね・・・・・・」
三ッ石 日暮(私の命なんて・・・・・・ううん、もう違う やっと私は、私になれたのよ)

〇綺麗な部屋
三ッ石 日暮(自分で命を捨てた? せっかく私でいられるチャンスなのにどうして?)
三ッ石 日暮「あれ?これって・・・・・・」
三ッ石 日暮「日記?」
  私は私だけじゃないと知った
  私になにかあったらスペアが私になるのだと、お母様は言っていた
  代わりなんていくらでもいる
  なら、こんな苦しい生活から解放されたい
  次の私、重荷を背負わせてしまってごめんなさい
  
  三ッ石 日暮
  私は私なのに、私じゃない
  三ッ石家の娘として生きなければいけない
  こんなの私の人生じゃない
  お父様が私を責める
  でも、それは前の私のことで私じゃない
  もう嫌だ、痛いのは嫌だ
  こんなことならスペアのままでいたかった
三ッ石 日暮「バカみたい どんなに苦しくたって誰かの命のために生かされるよりはいいじゃない 贅沢なのよ」
三ッ石 日暮「でも、ありがとう あなたたちがバカなおかげで私はスペアじゃない、本当の私になれたわ」
三ッ石 日暮「私の命は誰にもあげない これからどんな人生が待っているのかしら 楽しみだわ」
???「日暮!こっちにきなさい!」
三ッ石 日暮「お父様? いま行きます」
三ッ石 日暮「お父様なにを!? いや、やめて!」
三ッ石 日暮「いやぁぁぁぁ!!」

コメント

  • 最後に爆弾があってぞっとしました。これではスペアがいくらあっても足りませんね。この負の連鎖は断ち切らなければならないのに。本人であってもスペアであっても本当に可哀そうな運命たちです。

  • 確かにスペアの意味合いとして代替えって意味がありますが、本物がいなくなればスペアが本物になる…。
    けど元々本物が感じていた苦痛をスペアが味わう…これが永遠と続かない事を願います涙

  • 冒頭から何かの訳ありな感じがしましたが、こんなことになってるなんて…。
    前のスペアの彼女からの関係なのか、それとも本物の実の娘から?
    と思うと胸が痛みます。

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