読切(脚本)
〇街中の道路
学校からの帰り道
1人歩いていた俺に
友人の目黒が
走って追いついてきた
目黒「よぉ!今帰りかよ?」
東雲奏多「そっちこそ、部活はどうしたんだよ?」
目黒「ちょっと、今日は野暮用があってさ・・・」
東雲奏多「野暮用?どうせ、サボりだろ?」
目黒「うっせえわ!そっちこそ、やけに帰るの早くね?」
東雲奏多「まぁ、今日は病院なんだけど・・・」
そう言ったきり
何か考えている様子の東雲
目黒「・・・なんかあったのか?言ってみろよ!」
東雲奏多「俺さ、最近ずっと誰かに見られてるような気がしてさ」
目黒「何だそれ?」
東雲奏多「いや、最初はさ、気のせいかなって思ってたんだけど、なんかもう、ずっと続いてるんだよね」
目黒「それは、ちょっと気持ち悪いな!」
東雲奏多「だろ?俺もいいかげん気持ち悪くてさ、昨日親に言ったわけよ!そしたら、母さんが、急に『お祓いに連れて行く』って言い出してさ」
目黒「えっ、お祓い?何で?」
東雲奏多「たぶん霊的な何かが原因とか思われちゃったっぽい」
目黒「まぁ、たしかに最近の東雲って、ことごとくついてないもんな・・・」
奏多の母「『部活ではケガはするし、スタメンは外されるし、学校の成績もどんどん下がってきてるじゃない・・・』」
目黒「まぁ、最後の成績は自分のせいだけどな!」
東雲奏多「まぁ、あれは、確かに自分のせいだけど・・・」
目黒「まぁ、でも、それでお祓いとはね・・・」
東雲奏多「だろ?お祓いって何だよ!怖ぇよ! そんなとこ連れて行かれて、俺何されるわけ?」
目黒「おふくろさんに、そう言えばいいじゃん!」
東雲奏多「言いづらい!言おうとすると泣きそうな顔するんだ」
目黒「おまえ、普段無愛想なくせに、そういうとこ妙に気つかうよな?」
東雲奏多「いや、別に気を使ってるわけじゃ・・・」
目黒「そういう優しいところがキュンとくるらしいぜ」
東雲奏多「なんの話?」
目黒「おまえ、全然気付いてないみたいだけど、割ともててるからな!」
東雲奏多「えっ、何それ?初めて聞くんですけど・・・」
目黒「サッカーもうまいし、無愛想だけど優しいし、おまえ女子には、クールなイケメンっぽく見えるらしいよ」
東雲奏多「その話、もっと詳しく!・・・っていうか、そういうことは、もっと積極的に教えてくれよ!ちなみに誰が言ってんの?」
目黒「すげぇ、食いつくじゃん! ちなみに俺は妹から聞いた!」
東雲奏多「えっ!まさか、おまえの妹、俺のこと好きなの?俺、おまえのこと、お兄ちゃんって呼んだ方がいい感じ?」
目黒「いや、違うから!あいつじゃなくて、あいつの友だちがさ、部屋中、おまえの写真だらけだっつってたからさ・・・」
東雲奏多「えっ、なに写真って?部屋中ってなに?」
目黒「そっか!おまえが撮らせた覚えがないなら、こっそり撮ったんだな!」
東雲奏多「盗撮ってこと!? うわっ!聞かなきゃよかった!」
目黒「気付かなかったのか?」
東雲奏多「ああ、全然気付かなかったし・・・。 俺の知らないところで、こっそり写真撮られてたってのが、マジで怖いわ!」
目黒「こういうのってストーカーって言うのかな?」
横断歩道に差し掛かる
点滅してた横断歩道の信号が
ちょうど青から赤に変わって
俺たちは立ち止まった
東雲奏多「だけどさ、そんなんするくらいなら、直接、俺に声を掛けてくれればいいのに・・・」
目黒「それが、恥ずかしくてできないから、こじらせちゃって、ストーカーみたいな感じになってんだろ?」
東雲奏多「なるほど・・・・あっ!」
目黒「何?」
東雲奏多「いや、じゃあさ、最近感じる視線の持ち主って、もしかして、その子だったして?」
目黒「まぁ、その可能性はあるよな」
その時、立ち止まっていた
横断歩道の信号が
青から赤に変わった
目黒「じゃあ、俺、こっちだから・・・ じゃあな!」
東雲奏多「ああ!またな」
その日の夕方
病院の玄関を出たところで
誰かに名前を呼ばれて
振り返ると
警察官が立っていた
〇白い校舎
次の日、登校すると
なんとなく
ざわざわとした雰囲気が
学校中に漂っていた
教室に入ろうとしたところで
目黒と目黒の妹が
廊下で話しているのに
気付いた
東雲奏多「おはよう」
目黒の妹「おはようございます」
目黒「おっす!」
東雲奏多「今日、学校が騒がしくないか?」
目黒「なんか、うちの生徒で、行方不明になってる生徒がいるらしいぜ!」
目黒の妹「うちのクラスの子だったんですけど、結構仲良しの子だったから・・・」
目黒「なんか、捜索願いが出されることになったらしいぜ」
目黒の妹「さっき、警官の人からも、色々聞かれました」
東雲奏多「俺も聞かれた・・・」
目黒の妹「えっ!いつですか?」
目黒「何て聞かれたんだよ?」
東雲奏多「昨日、『この子のこと、知りませんか?』って、写真見せられた・・・」
目黒の妹「どうして先輩のところに?」
東雲奏多「部屋中に、俺の写真が貼ってあったって・・・言ってた」
目黒の妹「実を言うと、亜希は、先輩のファンだったんです!」
〇男の子の一人部屋
ベッドの上で
横になっていると
部屋のドアを
ノックする音がした
目黒「よお!」
東雲奏多「目黒?急にどうした?」
目黒「おまえ、前にさ、誰かに見られてるような気がするって言ってたじゃん!」
東雲奏多「ああ・・・」
目黒「それ、もう心配しなくていいよ!お祓いに行く必要も、もう無いから!」
東雲奏多「どういうことだよ?」
目黒「『ちょっとお前のレア写真あげる』っつったらホイホイついて来ちゃってさ!」
東雲奏多「何を言ってるんだ?」
目黒「俺も、そんなつもりなかったんだけど、急にデカい声出されちゃってさ。でも、まぁ仕方ないよね?あれはあの子の自業自得だ」
動けないでいる俺を残して
部屋を出ていく目黒
外の方から
パトカーのサイレンの音が
近づいてくるのが聞こえてきた
ストーカー規制法で人にまとわりついたらダメでしょうが、別に何も悪さしなければ良いんじゃないとは思います。でも、主人公は体調を崩したからやっぱりダメか。
ファンクラブ的なものは本当に存在していて、色々な人に好かれてることに嫉妬していた?
まぁキュンとくるとも言ってますし…!
かなりヤバ目な友達でしたね…。
えー!!そんなのありって予想外の展開で驚きました。目黒さん、、。愛ってこじれると怖いですね。写真隠し撮りしてる子をこじらせ愛と思ってたら、さらに上手がいて衝撃を受けました。