親友が昔使ってた秘密基地に呼び出してきたんだけど……(脚本)
〇森の中の小屋
俺は陽太、普通の高校二年生。
今日は幼稚園からの親友、実月に呼ばれて久々に秘密基地を訪れた。
陽太(何年ぶりだっけ、秘密基地。 二人っきりじゃないと言えないことがあるらしいけど、なんだろ。ディープな恋バナとか?)
〇洋館の一室
秘密基地の中にはすでに実月がいた。
椅子に座ってはにかんでいる。
実月「陽太、来てくれたんだ。 座って。早く話したいんだ」
実月が掃除しておいてくれたのか、椅子の座面は綺麗だ。躊躇なく座れる。
陽太「で、なんだなんだ?ディープな恋バナとか!?」
実月「当たらずとも遠からずかな」
実月「僕、秘密にしてたけど、彼女がいるんだ」
陽太「それは周知の事実だろ。近くの高校に通ってる可愛くておっぱ・・・・・・」
実月「各都道府県に一人ずつ、彼女が!!」
陽太「今、なんて?」
実月「陽太、難聴?今からでも耳鼻科行く?」
陽太「そうじゃねぇよ!各都道府県に一人ずつ彼女って、冗談だろ? アニメ?漫画?ゲーム?」
実月「本当なんだ。 僕、旅行が趣味じゃん。でも色んな場所に一人の彼女を連れ回すのはお金もかかるし大変でしょ?」
実月「だからネットで知り合って各都道府県に彼女を作ったんだ」
陽太「冗談にしたってタチが悪すぎっぞ!」
実月「・・・・・・なら、これを見てよ」
向かいに座る実月が、俺にスマホ画面を突きつけてきた。
〇遊園地の広場
実月「これが山梨の彼女とのツーショット」
画面の中の実月が清楚系の女の子にキスされている。
〇水中トンネル
実月「これは沖縄の彼女と」
画面の中の実月が純朴系の女の子との恋人つなぎを見せつけてくる。
〇競馬場の座席
実月「これが岩手の・・・・・・」
陽太「もういい!もういいからやめてくれ!」
〇洋館の一室
陽太「お前こないだ彼女に「もっと一緒にいてよ」って泣かれたって言ってたじゃん!」
陽太「俺、「彼女を大切にしなかったら絶交だからな!」って、本気で怒ったのに、お前、こんなこと・・・・・・!」
陽太「あの時「わかったから、ごめん」って泣いて反省してただろ!」
実月「・・・・・・それがきっかけだったんだ。 それがきっかけで、僕は僕の本当の秘密に気づいちゃったんだ」
陽太「人が本気で怒ってんのに何の話だよ!?」
実月「僕、陽太に絶交をほのめかされた瞬間、頭の中が真っ白になって。 バイト中も涙が止まらなくって家に帰されて・・・・・・」
実月「朝になって泣き止んで、その時に気づいたんだ」
実月「僕が本当に好きなのは彼女たちじゃなくて、陽太だってこと」
陽太「それ言われて俺はどうすりゃ良いんだよ!」
実月「簡単なことだよ」
〇赤いバラ
実月「僕の恋人の内の一人になれば良いと思う」
陽太「最低の選択肢を当たり前って顔で提案するな!」
実月「僕は君とならどこへだって行ける気がするから!」
陽太「果てしなく不誠実に聞こえるな、そのセリフ!」
〇洋館の一室
陽太「ってか、俺もお前に秘密にしてたことがある」
陽太「ちょっと良いなと思ってたクラスの子に、一週間前に告白された」
陽太「まぁ、返事は保留にしてるんだけど、良い子だしおっぱいデカいしアリかなって思ってる。だから・・・・・・」
実月「だったら僕がその子ごと陽太と付き合えば良いんじゃないかな。そうすれば円満解決だよ」
実月「陽太のためなら、僕は彼女全員を大切にする覚悟があるから!」
陽太「俺がその子だったらお前を全力の平手でひっぱたくぞ!」
実月「魅力的な提案だと思ったんだけどなぁ」
陽太「お前、生まれる時代間違ってるんじゃねぇの!?」
実月「・・・・・・」
実月「なるほど! 今から死んで、生まれる時代を選んでくるよ!」
陽太「お前のポジティブシンキング、全体的におかしいよ! 生まれる時代を選ぶって何!?」
実月「陽太、最後のお願いだ。 僕が各都道府県に現地彼女を作っていたって秘密、墓場まで持って行ってよ」
実月「僕が一番大切に思ってる陽太になら、僕の秘密を任せられるから」
実月「・・・・・・来世でも絶対に見つけるから。 また会おうね、陽太!」
陽太「いい話っぽく言ってるけどそんな秘密、俺一人で抱えらんねぇからな!」
実月「そっか、じゃあやめとく」
陽太「何なのお前!?」
全国に彼女がいる発想が斬新でした。二人の会話がトントンと進んでいき、女たらしかと読み進めていったら、途中で男も好きなのか?と思いました。
人間たらしなのかなぁ笑
各都道府県でって…、発想がサイコパス過ぎて…笑
もうこの人の本当の愛はいつなのか、誰なのか、何が本当なのかわからなくなりそうです汗
(笑)タイトルでがっつり気になりました。なんともすごい彼ですね、悪びれもなくあっけらかんとしているところがよかったです、開き直るほど強いものは ないですね。