同居人

孫一

同居スタート!(脚本)

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〇一戸建て
  都内某所。
綿貫「いよいよ今日から三人で同居か」
綿貫「全員無事に志望大学へ受かって良かったな」
田中「そして築三十年かつ 駅から徒歩二十分とはいえ」
田中「都内の一軒家ですよ! 俺達も上京組の仲間入りですよ!」
綿貫「テンション上がるな!」
田中「それぞれの大学にも一時間以内で行けるし」
田中「家賃も予算以内だし良い物件が空いてたな」
綿貫「本当にな!」
橋本「荷物は今日届くんだっけ?」
田中「いや、明日」
田中「今日、もし何かあって 俺らがここへ来られなかったら困るからな」
綿貫「だから寝袋持って来たんだろ」
橋本「俺持ってないよ」
田中「何やってんだよ。三月の夜は冷えるぞ」
綿貫「一緒に寝袋入るか!?」
橋本「嫌だよ気持ち悪い」
綿貫「冗談だよ!」
田中「テンション高ぇなー綿貫」
綿貫「それじゃあ入居といきますか!」
「おー!」

〇白い玄関
田中「当たり前だけど何も無いな」
橋本「空っぽの家ってなかなか見る機会無いよね」
橋本「写真撮ろうかな」
田中「不動産屋のホームページに いくらでも載ってるだろ」
綿貫「いやいや 自分で撮るのがいいんじゃない」
橋本「田中のおかげで冷めた。撮らない」
綿貫「いじけちゃった! 橋本いじけちゃった!」
綿貫「田中のせいでいじけちゃった!」
田中「へそ曲げんなよ。ごめんて」
綿貫「入居初日から喧嘩なんてやめろよー」
田中「さっきからうるせぇな」
橋本「喧嘩はしてない へそは曲げたけど」
田中「曲げたんかい」
橋本「冗談だよ」
田中「冗談は笑って言え」

〇島国の部屋
綿貫「それでは皆様お楽しみ!」
綿貫「個室の割当を早速行います!」
綿貫「内見はしてるけど改めて確認な」
綿貫「まず一階のリビングは共同スペースな?」
「おう」
綿貫「ソファとテレビを置きたいな」
綿貫「あとダイニングテーブルも」
綿貫「三人でパーティーやりたいな!」
田中「わかったから後にしろ」
橋本「対戦ゲームをやるならここだな」
田中「後にしろ」
綿貫「じゃあ次!」

〇空っぽの部屋
綿貫「二階の洋室7.5帖! ここが個室その一」
田中「ここ取りたいなー」
橋本「広いし陽当たりいいもんね」
綿貫「まあ希望するわな」
綿貫「次に個室その二!」

〇古い畳部屋
綿貫「ここが6帖!」
田中「和室は慣れないけど 最低でもここがいい」
橋本「だって残る一部屋ってさ・・・・・・」

〇部屋の扉
田中「狭いよなこの部屋」
橋本「広さは?」
綿貫「3帖」
田中「狭っ」
田中「布団敷いたらいっぱいじゃん」
橋本「ここに当たった奴は 基本リビングで過ごすだろうな」
田中「当たりたくねぇ~!」
田中「しかも一旦和室を通らないと 部屋に来られないという」
橋本「廊下→和室通過→この部屋 どういう構造だよ」
田中「本当にここ、個室? 和室の倉庫じゃない?」
橋本「まあ私物は一階の物置きに 仕舞っていいからさ」
田中「何で俺の肩を叩くんだよ まだ割当決まってねぇよ」

〇島国の部屋
綿貫「それでは、運命のじゃんけんです!」
田中「絶対負けねぇ」
橋本「頼むぞー俺のじゃんけん運!」
綿貫「いくぞ! じゃーんけーん!!」
綿貫「元気出せ田中」
綿貫「俺の和室を通り抜けるのに 気は遣わなくていいからさ」
橋本「ドンマイ」
田中「一年だぞ!! 来年の四月になったら あのクソ狭部屋を賭けて またじゃんけんすっからな!!」
橋本「あ、またじゃんけんでいいんだ」
田中「そこは公平でいいよ ちゃんと俺も参加する」
綿貫「まあ、あまりに使い勝手が悪かったり 狭すぎて気分が優れないような場合は」
綿貫「橋本の部屋に衝立を置いて分割しよう」
橋本「あ、ずるい!」
橋本「お前の部屋も候補にしろよ! じゃんけんで負けた方が部屋シェアだろ」
綿貫「お前の部屋が一番広い 部屋シェアするなら広いとこからだろ」
橋本「部屋シェアの可能性があるなら先に言えよ ずるいぞ!」
綿貫「ずるくねぇよ 部屋シェア対象が広い部屋になるのは当然だ」
橋本「じゃあ初めに言えって! 一番広い部屋は部屋シェアの対象になるって!」
田中「部屋シェア部屋シェアうるせぇな!!」
田中「何で俺の部屋が発端になって お前らが喧嘩してんだよ」
田中「そんな言い争いされたら」
田中「居心地悪かった時に言い出し辛いだろ!!」
綿貫「お、おう。そうだな。すまん」
綿貫「田中が一番貧乏くじを引いたんだもんな」
橋本「絶対俺の部屋はシェアしないからな」
田中「そんなこと言ってると 来年はお前があそこに当たるからな」
橋本「今年は当たらなかったもーん」
田中「むかつくー!! 何で俺グーを出しちゃったかなー!!」
田中「どうせならグーでぶん殴るかなー!!」
綿貫「まあまあ ともかく部屋割りはこれで決まりな」
田中「あーあ」
橋本「意義なーし」
田中「むかつくー!」

〇L字キッチン
綿貫「続いては食料について」
綿貫「飯の扱いはどうする?」
田中「それぞれ好きにすればいいだろ 大学始まったら帰る時間もバラバラだろうし」
田中「でかめの冷蔵庫買って 各自のスペースを決めて使えば良くない?」
田中「下手に食費を割り勘にして 食材を共有すると 食った食われたで喧嘩するよ」
橋本「田中に賛成 俺、野菜食わないから割り勘は困る」
綿貫「野菜は食えよ 死ぬぞ」
橋本「死なない」
田中「いや食えよ」
橋本「ポテチ食ってるからセーフ」
「アウトだよ!」

〇島国の部屋
綿貫「あとは掃除当番か」
田中「個室はそれぞれ掃除するとして 共有場所は風呂と洗面所、あとトイレか」
橋本「リビングもだね」
田中「お前らの家って どのくらいの頻度で掃除してた?」
綿貫「母ちゃんがやってくれてたから知らない」
橋本「同じく」
田中「家の手伝いとかしないのか」
綿貫「そう言う田中は?」
田中「母ちゃんがやってくれてたから知らない」
綿貫「俺らと一緒じゃねぇか!」
橋本「週二くらいでいいんじゃない?」
橋本「掃除した人は次回免除で残りの二人がやる」
綿貫「そういやお前ら トイレの流し忘れには気を付けろ」
綿貫「うちの親父がよくやるんだ」
綿貫「何回か見ちゃって 吐いた」
田中「何だそのお前の意外と繊細な一面」
綿貫「俺は繊細だぞ!」
綿貫「一緒に暮らしたらびっくりするわ」
橋本「嫌だよ びっくりするくらい繊細な同居人なんて」
田中「まあお互いの知らない面は いっぱい出て来るだろうな」
橋本「一緒に暮らすんだからね」
綿貫「自分の常識が 相手の非常識かも知れないもんな」
田中「取り敢えずプリンは勝手に食うな」
田中「それで俺は姉貴にぼっこぼこにされた」
「それは常識だ」

〇島国の部屋
田中「まあ空っぽの家で あーだこーだ決めてもしょうがないか」
綿貫「生活を始めてから 色々やってみればいいだろ」
橋本「最初からルールばかりだと 息が詰まるしな」
田中「友達なんだし気楽に行こうぜ」
橋本「そうだな」
綿貫「よし、じゃあ入居記念にピザとろう!」
田中「お、いいね」
橋本「初日くらい豪勢にいきますか」
綿貫「持ち帰りだと二枚目がタダだってよ! 散歩がてら買いに行こう!」
田中「おーし出掛けようぜ!」

〇通学路
綿貫「そうだ。酒買っちゃおうぜ」
田中「おぬしも悪よのう」
「ぐっひっひ!」
橋本「俺はコーラでいいや」
綿貫「えーノリ悪いなー」
田中「羽目外そうぜ~」
橋本「いいよそういうの」

〇スーパーの店内
「えっ」

〇島国の部屋
田中「酒って本当に売ってくれないんだな」
綿貫「年齢確認って本当にされるんだな」
橋本「二十歳になってから飲みな 来年の五月には三人とも誕生日を迎えてる」
綿貫「今日はコーラか」
田中「しょうがないよ」
綿貫「テーブルも椅子も無いから 床に直置きだな」
橋本「俺は慣れてるよ ゲームしながら飯食う時は床置きだから」
田中「ゲームしながら飯食うな」
橋本「お袋と同じこと言うなよ」
綿貫「えー皆様、飲み物は持ちましたかー?」
「あーい」
綿貫「それでは、俺達三人の同居開始を祝して!」
綿貫「乾杯!」
「かんぱーい!」
綿貫「いいねぇ」
綿貫「今日から俺達は 友達じゃなくて家族だ!!」
田中「うわぁ~くせぇ~」
田中「それはちょっとくさいですよ綿貫さん~」
綿貫「いいだろ! 事実なんだから」
田中「ベタですねぇ~」
綿貫「いいの! あんまりいじるな!」
綿貫「あ、そうだ記念写真撮ろうぜ」
田中「本当にベタですなぁ~。まあいいけど」
橋本「えー、早くピザ食べたい」
綿貫「すぐ済むって。ほれ、せーの!」
綿貫「額縁に入れて玄関に飾るか」
田中「冗談だよな?」
橋本「まあ、お互い仲良く過ごそうな」
田中「そうだな 最低でも丸四年は一緒に暮らすんだし」
綿貫「四年後、この家を出る時に 号泣出来るほど楽しもう!」
綿貫「なあ、家族諸君!!」
田中「お前わざと言ってるだろ」
橋本「ピザこれ貰い!」
綿貫「あ! サラミ多いとこ取った!」
橋本「早い者勝ちだもーん」
綿貫「じゃあ俺エビが多いとこ!」
田中「俺はブロッコリーのとこ」
綿貫「ブロッコリー食うなんて母ちゃんっぽい」
橋本「確かに」
田中「母ちゃんは別に ブロッコリーばっか食わないだろ」
綿貫「さっきも橋本の母ちゃんと 同じこと言ってたし田中は母ちゃんだな!」
橋本「母ちゃん、寝袋忘れた どうすればいい?」
田中「スーパーで段ボール貰ってこい あと新聞買って体に巻け」
綿貫「母ちゃんの知恵袋だ!」
田中「お前らの抱く母ちゃん像ってどんなだよ」
田中「どうせ、今の内に母ちゃん母ちゃん っておだてておけば」
田中「田中が家事やってくれるんじゃない? って思ってるだろ!」
「バレた?」
田中「お前らの考えなんてお見通しだ!」
田中「友達、いや」
田中「家族だからね!」
  こうして三人の共同生活が幕を開けた。

コメント

  • 男子でも新居と新生活への期待でテンションが上がってキャッキャするんですね。部屋割りでさっそく喧嘩するところもあるあるで微笑ましい。田中君がいじられキャラでいい感じ。セリフ運びがものすごくスムーズだから、このままの脚本で実写化しても絶対面白くなると思います。

  • その年頃特有の楽し気な雰囲気がビシビシ伝わってきますね。新しい土地での新生活で、これまでの各々の家の常識などがぶつかり合うことも多々あるでしょうが、勢いで全て乗り越えてしまいそうですね!

  • いやぁ、仲良さそうな三人で羨ましいです。
    シェアハウスはしたことがありませんが、自分のスペースに人がいるわけで、許容できる人できない人が結構分かれそうですよね。

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