Ai zawa家の人々(脚本)
〇明るいリビング
アイザワ ボボ「ほう! 今日は灯油か。なかなかまろやかな口当たりだな」
アイザワ ロイ「いつも重油ばっかりで胃が持たれてきてたところだよ」
アイザワ マム「たまには軽い口当たりのものも良いかと思って」
イ・ヌー「わんわん!!」
アイザワ アイ「あ、ははは・・・」
うちの家族『アイザワ家』は全員ロボットだ。
このずんぐりむっくりの大きいのが、お父さん。
身長2m、体重2.3トンの巨体は燃費が悪いのか超が付くほどの大食い。
関節の塗料がハゲて銀色に輝いている。
映画俳優みたいなイケメンフォルムのがお兄ちゃん。
細かいところの塗装が間に合って無くて、一部銀色ギラギラ。
お兄ちゃんAIが積まれているからお兄ちゃんなんだけど
製造から2年しか経っていないんだって。
絵に描いたような美人がお母さん。
そもそも、お母さんって、どういうものなのかあたしの記憶には無い。
なんせ物心がつく頃には、本当のお母さんはいなかった。
これがペットのイヌ。
名前はまだない。
ロボットのイヌだけれどナマモノとの違いは食べ物くらいかな。
うんこもするし。
今度、名付けなきゃ。
で、あたし。
中学2年になったばかりで―――
〇明るいリビング
アイザワ マム「アイちゃん。早く灯油を飲んで学校行かないと遅刻するわよ」
アイザワ アイ「え、お母さん。あたし灯油なんて飲まないよー」
アイザワ マム「ああ、そうだったわね。ごめんね。アイちゃんは人間だものね」
アイザワ ロイ「なに言ってんだよー、アイ。お前だってロボットじゃん」
ボボ&マム「!!」
ボボ「こら! ロイ!! そんなイジワルな事を言ったらいけないぞ!」
アイザワ ロイ「えー、なんだよ。だって本当のことじゃん」
アイザワ ロイ「見ろよ、アイ。お前の腕の手首んところ。こうやってフタ開くんだぜ?」
アイザワ アイ「お兄ちゃん、そんなことあるわけないじゃん」
アイザワ アイ「お兄ちゃんじゃ、ある・・・まい、し?」
アイザワ アイ「・・・え?」
アイザワ アイ「・・・あたし、ロボット? え?」
アイザワ ボボ「ロイ!!」
アイザワ アイ「え、あた、あた、あた・・・し、ロロロロロrrrrぼtttttピ―――――――!!!」
アイザワ ボボ「AIが焼けるッ!! 母さん!!」
アイザワ マム「ええ!! アイちゃん!! 緊急停止するわね!!!」
〇東京全景
近未来、少子化で人口が減りすぎたとかで人間を創るようになった。
でも中身のない器でしかなくて、どこかで中身を用意しないといけないんだって。
そんなときに考案されたのがAIを育成して、器と合体させることだった。
これは、そんなAI達の家族のおはなし。
〇ファンシーな部屋
アイザワ アイ「はッ!? え? 8時22分!?」
アイザワ マム「アイちゃん、起こしたのに二度寝しちゃったのね」
アイザワ アイ「えええっ!! 遅刻じゃない!! うわん!! 行ってきます!!!」
アイザワ ボボ「・・・」
アイザワ ボボ「メモリーロストしたか」
アイザワ マム「いいのよ。あなた。AIは自分がAIであると自分で認識しないと壊れちゃうから」
アイザワ ボボ「不便なもんだな」
アイザワ マム「いいじゃない。家族ってうまくいかない事を一緒に乗り越えていくものでしょ」
アイザワ ボボ「そういうものなのか。俺にはよく分からないな」
アイザワ マム「そういうものなんです!」
アイザワ マム「私のメモリーには、そう記録されているわ」
アイザワ マム「さあ、楽しい家族を続けましょ!」
アイちゃんが自分を人間だと思っていてロボットだと指摘されてバグるところが怖かったです。学習や記憶は互いに完璧に操作できるけれど、人としてのアイデンティティはAIにいつどこにどうやって宿るのか、宿らないのか、ちょっと考えさせられました。イ・ヌーの生態にも興味あります。
とってもハートフルな家族の姿で、近未来ではAIで普通に見られるかもしれませんね!アイザワ家の日常シーンを、もっと見たくなります!
家族という概念がどこまでの範囲を指すものなのか…。
AIの家族はもう少しロジカル的な考え方をするイメージがありますが、より人間に近い思想なのですね!