〇可愛い部屋
生方天音「よし」
生方天音「スイッチ・・・オン」
生方天音「♪♪♪イェイッ」
生方天音「ここでっ・・・ ターン！」
生方天音「決まった！」
生方神琴（ミコト）「お姉、辞書貸してほしいんだけど」
生方天音「ちょ、ちょっと神琴！ なんで勝手に入ってくんの！」
生方神琴（ミコト）「ちゃんとノックはしたよ？」
生方天音「ノックだけじゃ意味ないじゃん！ ちゃんと返事待ってよね！」
生方神琴（ミコト）「あ、あったあった。借りてくね」
生方天音「話聞いてるの！」
生方神琴（ミコト）「お邪魔しました！ ・・・あ、そうだお姉」
生方天音「なによ」
生方神琴（ミコト）「あんまり激しいダンスやらない方がいいよ？」
生方天音「なんでよ」
生方神琴（ミコト）「リズム感めちゃくちゃだし・・・それに」
生方神琴（ミコト）「お肉飛び散ってるよ」
生方天音「!」
生方天音「あぁ～ もっと冷房かけてからやればよかった！」

〇明るいリビング
生方翼「ドスンドスンうるさかったけど あいつ何やってた？」
生方神琴（ミコト）「なんか踊ってた」
生方翼「はぁ？」
ミクリ「あ、あれじゃない？ゾックトック」
生方翼「え、何それ」
ミクリ「えー翼知らないの？最近流行りよ 短い動画で踊ったり歌ったりするの」
ミクリ「ホラ、あたしもやってるよ」
生方翼「へー！」
生方翼「うわ、ミクリ超かわいいじゃん」
ミクリ「えーもうやだぁ」
生方翼「あ！ ちょ、お前この動画消した方がいい！」
ミクリ「なんで？」
生方翼「ここ！お前の内臓見えてる！」
ミクリ「え、うそぉどこ!?」
生方翼「こんな露出高いカッコして踊るからだぞ！お前の内臓見ていいのは 俺だけなんだからな！ 今すぐ消してくれ！」
ミクリ「う、うん消す！ アタシも翼以外に見られたくないもん！」
生方翼「ミクリ！」
ミクリ「翼！」
「ぎゅっ」
生方神琴（ミコト）「あんまり熱いと溶けますよ～マジで」

〇可愛い部屋
生方天音「はぁ・・・」

〇電脳空間
千尋「♪♪♪」
千尋「♪♪♪」
　　千尋が笑顔で踊っている

〇可愛い部屋
生方天音「千尋さん素敵・・・ なんでこんなにカッコイイの・・・ 肌の色も明るくてツヤツヤだし 髪もサラサラ・・・うらやましい」
生方紫織「ただいま天音ちゃぁん」
生方天音「ママ！パパ！ もう、入るときはノックしてって 言ってるでしょ！」
生方紫織「だってぇドア叩いたら 手が崩れちゃうんですものぉ」
生方太郎「天音、ママの体は特別脆いんだから 無茶を言うのはやめなさい」
生方天音「パパとデートする元気はあるのに」
生方太郎「天音！」
生方紫織「パパ、いいのよぉ」
生方紫織「天音ちゃん、何見てたの？ ゾックトック？ さっき翼も見てたわよ」
生方紫織「ママにも見せて！」
生方天音「あっ」
生方紫織「あら？ これ・・・ゾックトックじゃないわぁ」
生方太郎「ん？」
生方天音「返してっ」
生方太郎「天音！これはティックトックじゃないか！生者の動画を見るなんて・・・」
生方天音「い、いいじゃない見るだけなんだから！」
生方太郎「いいやダメだ！ 生者なんか見たら目が腐る！」
生方天音「もう腐ってるわよ！ もういいから出てって！」
生方紫織「あぁん」
生方太郎「天音！パパは許さんぞ！ 見るならゾックトックにしなさい！」
生方天音「もう・・・！」

〇明るいリビング
生方翼「どうもーゾンビチハ！ ゾンビ界の最強イケメン、翼です！」
生方神琴（ミコト）「お兄なにやってんの」
生方翼「あ、こらしゃべんなよ音が入るだろ！ もう一回やり直しじゃん」
生方神琴（ミコト）「だから何やってんの？キモイ」
生方翼「ゾンチューブで動画配信すんだよ ゾンチューバーって儲かるらしいぜ？」
生方翼「見てろよ、兄ちゃんが 人気ゾンチューバーになって ガッツリ稼いで、 お前にいい服買ってやるからな！」
生方神琴（ミコト）「はぁ」
生方翼「どうもーゾンビチハ！ ゾンビ界の最強イケメン、翼です！」
生方翼「今日はなんと！ 大冒険の旅に出ようと思います！」
生方翼「ちょっと生者の世界へ 行ってみようと思うんだよね！」
生方翼「あっちの流行や美味しいものを ゲットしてきちゃおうと思います！」
生方天音「お兄ちゃん、私もやる！」
「!?」

〇住宅街の道
天音（生）「ねえ、私変じゃない？ お兄ちゃん」
翼（生）「大丈夫 どう見ても生者だろ！」
翼（生）「よし、それじゃあ早速冒険スタートだ」
天音（生）「うん！」

〇渋谷駅前
天音（生）「すごい・・・どこ見ても明るい！」
翼（生）「これが生者の世界かぁ 眩しいな」
翼（生）「まずは、人気のスイーツ店とやらに 行こう ミクリにお土産頼まれてんだ」
天音（生）「うん！」

〇ケーキ屋
　　店内は
　　若い女性でにぎわっている
天音（生）「キラキラしてる・・・」
翼（生）「可愛い子ばっかり・・・」
天音（生）「お兄ちゃん、あれ食べたい！」
翼（生）「よぉしお兄ちゃんに任せなさい！ 父さんの財布から 拝借してきた金で払ってやろう」
天音（生）「おいしい・・・！」
翼（生）「やばい、成仏しそう」
天音（生）「生者の世界ってやっぱりいいなぁ」
千尋「失礼します、お届け物です」
店員「はーい」
天音（生）「!!」
翼（生）「天音？」
千尋「ありがとうございました」
天音（生）「ま、待って！」
翼（生）「天音！」

〇店の入口
天音（生）「あ、あの！千尋さんですよね！ ティックトックやってる！」
千尋「え？」
天音（生）「はぁはぁ・・・」
千尋「君、俺のこと知ってるの」
天音（生）「はい 大ファンで・・・」
千尋「嬉しいなぁ！ 君みたいなかわいい子が 俺のファンだなんて」
天音（生）「きゅん！」
翼（生）「天音、あいつ何を・・・」
翼（生）「あっ」
天音（生）「あ、あのあの、握手とか・・・いいですか!?」
千尋「もちろん、いいよ」
天音（生）「ありがとうございます！」
翼（生）「だ、ダメだ天音！」
天音（生）「あっ」
千尋「え・・・皮膚が・・・はがれた・・・？」
天音（生）「あ、いえそのこれは・・・」

〇店の入口
　　突然雨が降り出してしまった
　　メイクが剥がれ落ち
　　素の姿が顔を出す・・・！
千尋「!!」
生方天音「あはは、あの、これは・・・」
千尋「うわぁぁぁぁぁぁぁオバケぇぇぇ！」
生方天音「あ、ちょっと待ってサインを・・・！」
生方天音「・・・行っちゃった・・・」
生方翼「天音、急いで帰るぞ！」

〇明るいリビング
生方翼「あー酷い目に遭った 急に雨が降るなんて聞いてないよ」
生方神琴（ミコト）「傘くらい持っていきなよ」
生方翼「あーあやっちまったぜ」
生方紫織「はい、ホットココアどうぞ」
生方翼「サンキュー、母さん」
生方紫織「あら？天音ちゃんは？」
生方神琴（ミコト）「すぐ部屋に行ったみたい」
生方紫織「あらそう じゃあ天音ちゃんにもココアを・・・」
生方翼「しばらくホッとしといてやって」
生方紫織「え？」
生方翼「多分あいつ、凹んでるから」
「?」

〇可愛い部屋
生方天音「・・・・・・」

〇店の入口
千尋「うわぁぁぁぁぁぁぁオバケぇぇぇ！」

〇可愛い部屋
生方天音「おばけ、か 生者から見ればそうなのかな」
生方天音「メイクの皮膚、完全に取れちゃったな」
生方天音「・・・・・・」
生方天音「千尋さんと握手した皮膚だもん、 取っておこうっと」
生方天音「よし」
生方天音「ふふっ 今度はもっとメイク上手になって 逢いに行くからね」