瞳に僕が映っても(脚本)
〇怪しげな山小屋
・・・・・・・・
『22時05分』
そろそろいるかな~!
INしてみるか!
お!いるいる!
『こんばんは!』っと!
『こんばんは!今日は遅めですね!
早速一回行っときましょ~!(^^)!』
『今日もダメダメな予感ですけどw』
『はは!僕もですよ!足引っ張ったらごめんです!』
『じゃあ今日もよろしくです!』
〇戦場
右1枚!左2枚いる!
多分別部隊!
────
いいよ!!いけー!!
お!ナイス〜!!!完璧!!
「いや〜!こんなに楽しくゲームできるの『モタ』さんくらいですよ!! カバーウマすぎるし、ほんと脱帽ですよ!!」
モタ「いやいや...!!私なんて全然!! きりきりさんが前線に行ってくれるからですよ!!」
きりきり「前線いっても凸って負けてばかりですけどね!!」
モタ「何を言うんですか!それをしてくれるから私も動けてますよ!まぁでも楽のしむのが一番ですから!」
きりきり「確かにそうですね!楽しんだ者ガチだ〜!」
モタ「ふふっ! きりきりさん...!! 前々から言おうと思ってたんですけどあの、私たち遊び出してもう3年じゃないですか〜」
きりきり「あ〜もうそんなに経ちましたっけ?? それがどうしたんです??」
モタ「それでです....!!きりきりさんが良かったらなんですけどっ!!わ、私とオ、、オフ会してみませんか、、、、???」
きりきり「ええっ!!オ、オフ会ーーー!?!?」
モタ「驚かせてすみません!! ・・・・・・だめ・・・ですか...??」
きりきり「いや...!!大きい声出してしまってすみません! オフ会なんて言われたのが初めて...!! ぼ、ぼくでいいですか??」
モタ「きりきりさんだからですよ! リアルでもお話してみたいと思ったんです!」
きりきり「そう言って貰えて嬉しいですけど僕毛むくじゃらなんで引かないでくださいね笑」
モタ「け、毛むくじゃらなんてまたまた〜! もしそうでも気にしないですよ! 楽しみにしてますね!! また日にち決めましょう!」
きりきり「言いましたね!!絶対ですよ!! 僕も楽しみにしてますね!」
〇黒背景
(明日は約束の日だ。緊張するな〜 モタさんほんとに引かないかな。人に会うのは久しぶりだし、いい印象にしないと!)
〇ローズピンク
(いよいよ明日だ!! きりきりさんどんな人だろうなぁ。素敵な人って思って貰えるようにしないと!! あ〜緊張するー!!)
そして次の日、約束の時間が迫った。
私は思ってより若く見えたその人に声をかけた
〇テーブル席
モタ「あ!あの!きりきりさんですか...? わ、私モタです!!」
きりきり「はい!ぼ、僕、きりきりです!モタさんですか!あ、あの!今日はよろしくお願いします! あの、僕変じゃないですか??」
モタ「よ、よかった!間違ってなくて!こちらこそよろしくお願いします! それに毛むくじゃらなんて嘘じゃないですか!」
モタ「あと素敵ですよ! 逆に私は大丈夫ですか...!?」
きりきり「毛むくじゃらは冗談ですよ笑 あ、あと!す、素敵ですよ!かわいい服ですね!」
モタ「あ、ありがとうございます! じょ!冗談なんですか!? もう!早く行きましょう! ご飯食べますよ!」
そこからはもう緊張で何を話したか、あんまり思い出せない。覚えていないの方が正しいかも、でもひとつ覚えている気持ちは──
モタさんは綺麗だった。とっても
何を話しただろう。いつもの癖でいっぱい話しちゃったけどきりきりさんは優しく笑って頷きながら私の話を聞いてくれていた。
この気持ちは多分──
私は彼のことが好きなのかもしれない。
何となく話していてそう思ってた。毎日話してた時の気持ち。
〇田舎駅の待合室
きりきり「モタさん今日はとってもとっても楽しかったです! お話沢山ありがとうございました!」
モタ「こ、こちらこそです!沢山話してしまってすみません! とっても楽しかったです! ま、またお話したいです...」
きりきり「...そう言って貰えるのは嬉しいです。 でも僕はもう会えないです。 今日は・・・ 今日は今までのお礼を言いに来ました」
モタ「...どうしてですか」
きりきり「モタさん・・・ぼくは・・・あなたとは違います。 ── 人間じゃ...人じゃないんです」
そう彼が言うと辺りが夕方なのに昼間みたいに明るくなった。
その光から浮かび上がる姿はまるで──
きりきり「これが本当の僕なんです。 半獣。 それが僕です。 モタさん、この姿を見てもまた会いたいと思いますか」
モタ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ すぅ。 正直驚きました...」
モタ「でも私はこの関係が終わるかもしれないのに勇気を出して話してくれたこと嬉しいです」
モタ「それに...半獣だろうと人だろうときりきりさんはきりきりさんでしょ!変わらないよ」
こんな僕を見て『変わらない』そう言ったのは彼女だけだった。
彼女の瞳に映る姿は醜いものだと思っていたのに...。
夕暮れの中に2人の呼吸と虫の鳴き声...
僕にはそれがやけに小さく聞こえた。
彼女は微笑んでそっと手を繋いで
僕の瞳を見て、また笑った。
『ここにいてもいいんだよ』
そう伝わってきた気がした。
「毛むくじゃら」の意味が最後でわかりました!
ちょっとびっくりするかもしれませんが、ネット上の出会いって中身が相性良ければあまり気にならないかもしれません。
でも、びっくりはしますよ!笑
きりきりさんの正体が半獣だった事が彼らの恋路のハンディになり得たように、人間同士の出会いでも似たような事ってありますよね。二人は3年間のネットでの会話でその内面を気に入って出会うに至ったことで、彼女が彼を受け入れることができたのだと思います。こういうつながりってとても素敵ですね。
彼女の笑顔に支えられ、本当のことをきちんと打ち明けられてよかったですね。この二人が、今後同じ世界で楽しく過ごせていけたらいいですね。