たとえ、その先がバッドエンドでも

タイムライム

一緒に還ろう。(脚本)

たとえ、その先がバッドエンドでも

タイムライム

今すぐ読む

たとえ、その先がバッドエンドでも
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇貴族の部屋
レンゲ「メルル!今日は何する? 先にご飯?お茶会する?」
使用人「お嬢様! ここをお開けください!」
レンゲ「あーもー。 メルルは気にしなくていいからね〜。 今お茶入れるね!」
メルル「・・・」
レンゲ「はい!どうぞ!」
使用人「お嬢様〜どこにいらっしゃるのですか〜?」
レンゲ「あ、まずい・・・メルルは隠れててね!」
メルル「・・・」
コロ「これが、噂の魔導人形か 娘の努力の結晶だが、彼女の学びの邪魔になるなら捨てなくては」
メルル「ねえ、どうしてキミはレンゲに勉強させるの?」
コロ「・・・」
メルル「ねえ、ボクの話聞いてよ」
コロ「これはいらないな。 彼女の学びの邪魔だ」
メルル「ねえ、本当にボクの話聞いて──」
コロ「使用人! 今すぐこの人形を捨ててこい!」
メルル「──なんで・・・」

〇貴族の応接間
レンゲ「お母様、それって・・?」
コロ「嗚呼、言ってなかったか。 レンゲの勉強の邪魔になるからあの人形は捨てておいた」
レンゲ「なんで・・・?」
コロ「だって、ずっとあの人形に語りけかけて勉強しなかった。 バイオリン、ピアノ・・・」
レンゲ「・・・うるさい!」
レンゲ「お母様は、いつだって私のことを考えてくれません! 勉強を毎日叩き込められて、友達も娯楽も、大切なものはすべて奪われて・・」
レンゲ「その苦しみがあなたにわかりますかっ?」
レンゲ「わかりませんよね!ねえ!!!」
コロ「お前は、私の跡を継ぐ。 それは決定事項だ」
レンゲ「それなら・・・ 私は抗います、お母様。 跡継ぎにはなりません! ──絶対に!」
コロ「そうか、それなら──」
コロ「使用人!レンゲを地下に閉じ込めろ!」
ライザ「・・・わかりました」
コロ「この娘は私に歯向かったのだ。 産んでやったことも忘れてな。 反逆者と同じだ。 跡を継がないとなるなら、処刑するしかない」
レンゲ「──っ」
???「・・・こんなの間違ってますにゃ」

〇貴族の応接間
コロ「お前ら! 明日の夜に、レンゲの処刑を行うことにした! 支度しろ!」
使用人「え・・・?」
使用人「お嬢様を・・・処刑・・・?」
使用人「でも・・・抵抗すると・・・」
「・・・・・・・・・」
「・・・はい」
リン「──違う」
リン「・・この国は、間違っているにゃ」

〇けもの道
リン「ここに捨ててあったにゃ。 ようやく見つけたにゃ」
リン「メルルちゃん、起きるにゃ」
メルル「──あれ?こ、ここは・・・」
リン「森の奥にゃ。 あんた、ここに捨ててあったにゃ」
メルル「レンゲちゃんは・・・? レンゲちゃんは、どこ?」
リン「・・・処刑寸前にゃ。 親に対して歯向かったにゃからね」
メルル「だめだよ、レンゲちゃんを処刑させるなんて・・・」
リン「にゃーもあの国の仕様にクタクタにゃ。 女王様に逆らったら即処刑、面倒くさいにゃ」
メルル「レンゲちゃんを助けにいかないと・・・」
リン「処刑は今日の夜。 その時までに間に合わせないと」
メルル「・・・ボクに考えがある」
リン「にゃーも協力するにゃ」
メルル「メイドさんは、なんとかこの国を変えて。 レンゲちゃんのお母さんを・・・やっつけて」
リン「了解にゃ!任せろにゃ!」
メルル「ボクは絶対に・・・レンゲちゃんを助ける。 待っててね、レンゲちゃん」

〇崩壊した噴水広場
ライザ「さあ、時間だ」
レンゲ「分かってる。それくらい 火がつくんでしょ、ここに」
ライザ「・・・」
  みるみるうちに、火は燃え広がっていった。
  私が見たことないくらい。
レンゲ「・・・熱い、熱いよ」
レンゲ「嫌だ、やっぱり嫌だよ。 死にたくないよ、こんなところで。 死ぬんだったら友達と一緒が良かったよ・・・」
レンゲ「死にたくないよ・・・熱いよ・・・だれか・・・」
メルル「うぁあああああっ!!!」
レンゲ(え・・・?メルル・・・? 動力源を暴走させてる、まさか、まさかっ!?)
ライザ「なっ!?」
メルル「今、助けるよ!! レンゲちゃん!」
ライザ「待て!!お前ら!!」

〇けもの道
「はぁ、はぁ、はぁ・・・」
メルル「大丈夫・・・?レンゲ・・・チャん・・・」
レンゲ「・・・ごめんね。 体が動かない。 息も苦しいし、持っても1時間」
メルル「ソウ・・・なンダ・・」
リン「にゃ、メルルさんもノイズが混じってるにゃ」
メルル「ゴメんね。ボク・・も、さっきの動力源暴走デ・・・壊れちゃったミタイ・・・」
リン「そんにゃ・・・そんにゃの・・・報われないにゃ・・・」
メルル「リンサンは・・・イソいでくだサイ・・・」
リン「でも、それじゃあ──」
レンゲ「もう、私たちのことを置いて行ってください お母様を、止めてください」
リン「──分かったにゃ」
レンゲ「任せましたよ」
レンゲ「空が青くて、星が綺麗だね、メルル」
メルル「ソう・・ダネ。ボクタチが・・・旅立つのにはピッタリな・・・日だよ」
レンゲ「・・・やっぱり、怖いなぁ、死ぬのは」
メルル「ジャア、ワタシが、ウタ、歌ウヨ。 昔教えてくれた、ウタ」
メルル「―――♫―――♬♪」
レンゲ「なんだか・・・眠くなるよ、子守唄みたいだね、懐かしいよ」
レンゲ「・・・悔しいな、悔しいよ。 こんなところで終わりなんて」
メルル「ダケド・・・レンゲと一緒でよかったよ・・・ボクはそれだけで・・・幸せ」
レンゲ「・・・私はそろそろ寝るよ。眠くなってきたし・・・」
メルル「おやすみなさい。イイユメを」

〇村に続くトンネル
リン「久しぶりにゃ。 ここに慰霊碑を建ててから、だいぶ時間経ったにゃね」
リン「向こうで元気にしているにゃ?」
リン「・・・色々あれからあったにゃ」
リン「この国は革命を終えて、素晴らしい民主主義の国へと変わっていったにゃ」
リン「──お、元気そうでなによりにゃ」
リン「そうそう、にゃーはここを去るにゃ。 旅に出てこのことを残すために」
リン「だから、ニャーの代わりにこの国の行く末を、見届けてにゃ」

〇空
レンゲ「ありがとう、リンさん。 この国を、変えてくれて 救ってくれて」
メルル「ボク達が出来なかった分まで、本当にありがとう」
レンゲ「私達はこれからずっとこの先、この国を見守ってるよ、だから安心して・・・」
「──いってらっしゃい!」

〇村に続くトンネル
リン「・・・・」
リン「──行ってきます!」

コメント

  • 言うことに逆らっただけで娘でも処刑しようとする女王が、「不思議の国のアリス」に登場するハートの女王を彷彿とさせます。
    レンゲの「火刑」シーンの描写は衝撃的でした。
    彼女が何も出来ないまま死んでいくのは悲劇でしたが、友達のメルルの優しい歌に包まれて一緒に眠りにつけたことがせめてもの救いです。
    また、願いを託されたリンの志が強まり女王を倒せたことで、二人の死が決して無駄ではなかったように思います。

  • レンゲが亡くなるときに、メルルの姿を見ながら徐々に目が塞がっていく描写に胸が締め付けられました。最後にあの世で幸せそうな二人の姿が見れたから良かったけれど。リンのにゃー語も可愛かったです。

  • 抗うにも勇気がいりますよね。
    きっかけもそうですが、現状を変えるのに億劫になる人の方が圧倒的に多いです。
    みんな勇気がある方で、国も良い方向に動いてるといいです。

成分キーワード

ページTOPへ