10 TOP(脚本)
〇国立競技場
高校サッカー 県大会準決勝
祠学園 対 京郷大付属
〇競技場のトラック
実況「GK、止めた~!」
選手A「あ~、くそっ!」
実況「京郷大付属、カウンターからのビッグチャンスでしたが──」
実況「祠学園の守護神、取手のファインセーブに阻まれました!」
取手 誠吾「ふぃ~、危ね危ね」
矢口 愛玖「OK、サンキュー」
大和田 ロドリゴ「誠吾さん、ナイスキーです!」
取手 誠吾「もう、今日仕事させすぎじゃない?」
このチームは本当、キーパーに楽をさせてくれない
何故なら──
〇国立競技場
『10 TOP』
実況「ゴール!」
〇競技場のトラック
実況「8ー8! 祠学園、三度同点に追いつきました!」
実況「途中出場の千早駿汰がドリブルで駆け上がり」
実況「同じく途中出場の一宮達が見事なワンタッチゴール」
実況「二年生コンビが躍動しています!」
一宮 達「ひゃっほ〜い! ナイスアシストだったぜ、駿汰!」
一宮 達(2年)
FW 背番号20
武器:裏への抜け出し
本日の成績:1ゴール
千早 駿汰「ったく、ポンと足出しただけでバッと決めやがって!」
千早 駿汰(2年)
FW 背番号18
武器:俊足
本日の成績:1アシスト
実況「壮絶な点の取り合いとなったこの準決勝──」
実況「『全員攻撃』『取られたら取り返す』をスローガンに掲げる祠学園旋風が、京郷大付属を飲み込みます!」
首藤 雷河「おい、俺もフリーだっただろ」
千早 駿汰「別にいいじゃん、決まったんだから」
首藤 雷河「良くねえよ、俺はハットトリックがかかってんだから」
首藤 雷河(2年)
FW 背番号13
武器:ゴールへの執念
本日の成績:2ゴール
1アシスト
首藤 雷河「このままじゃ、鈴木の野郎に先越されちまうだろ!?」
鈴木 日向「呼んだ?」
首藤 雷河「!? いつから後ろ居たんスか!?」
鈴木 日向「いや、最初から居たよ?」
鈴木 日向(3年)
FW 背番号9
武器:セカンドボールへの嗅覚
本日の成績:2ゴール
首藤 雷河「あいかわらず、存在感がねぇっスね」
鈴木 日向「褒めてくれてありがとう」
千早 駿汰「ん? あれは・・・」
実況「そして祠学園、ここで最後の選手交代」
実況「エースの猿渡攻が入ります!」
猿渡 攻「頼むぜ、膝君」
猿渡 攻(3年)
FW 背番号10
武器:ボールを収める力
本日の成績:0ゴール
0アシスト
実況「アディショナルタイムは残り僅か」
実況「ここで祠学園にコーナーキックのチャンスです!」
選手B「ここは何としても凌ぐぞ」
選手A「あぁ、逆にカウンター決めてやるよ」
選手C「おい、ちょっと見ろ」
実況「キッカーはスーパー1年生、徳山です」
徳山 天空(1年)
FW 背番号36
武器:狭いスペースでのプレー
本日の成績:2アシスト
選手A「36番だと!?」
選手B「左コーナーなのにレフティーの4番じゃない、だと・・・?」
飛騨 竜二「さぁ、どうする?」
飛騨 竜二(3年)
FW 背番号4
武器:セットプレーの精度
本日の成績:1ゴール
1アシスト
選手C「ヤツらの狙いは、何だ?」
選手A「シンプルに考えれば、高さのある11番に合わせてくるんだろうが・・・・・・」
伊調 慎太郎「来ましたね~、コレはいよいよ俺のターンですね~」
伊調 慎太郎(3年)
FW 背番号11
武器:長身
本日の成績:1ゴール
選手B「いや、待て──」
選手B「高さだったら、10番と13番もケアする必要があるんじゃないか?」
選手C「ケアで言ったら──」
選手C「9番や20番にこぼれ球を拾われる方が怖くないか?」
選手A「あと思ったのは──」
選手A「ショートコーナーで18番に合わせてくる可能性もあんじゃね?」
選手B「それから、15番も嫌な位置にいるんだよな・・・」
選手C「中途半端なクリア、するなよ?」
大和田 ロドリゴ「こう来たらこう、コッチだったらこう・・・」
大和田 ロドリゴ(2年)
FW 背番号15
武器:ミドルシュート
本日の成績:1ゴール
1アシスト
選手C「あと、7番も忘れるなよ?」
選手A「いや、アイツはまだ今大会無得点だから気にする必要なくね?」
選手C「いや、逆だろ?」
選手C「このチームで一点も獲ってないのにフル出場し続けて、キャプテンマークまで巻いてんだぞ?」
選手B「確かに・・・逆に怖いな」
矢口 愛玖「あっ、スタンドにかわいい子見っけ」
矢口 愛玖(3年)
FW 背番号7
武器:サッカーIQの高さ
本日の成績:0ゴール
0アシスト
選手A「・・・で、結局誰をケアすんだ?」
選手C「・・・全員?」
選手B「・・・賛成」
徳山 天空「だおりゃっ!」
実況「徳山、直接狙った~!」
選手C「しまった!?」
実況「しかし、惜しくもクロスバー!」
徳山 天空「はぬっ!?」
選手B「よし、クリアだ!」
首藤 雷河「まだだ!」
実況「こぼれ球に首藤!」
選手C「いや、届く!」
実況「ここはキーパーが防いだ!」
鈴木 日向「ナイスパス」
「しまった!?」
選手A「させるか!」
実況「京郷大付属、クリア~!」
鈴木 日向「あちゃ~、マークされてたか~」
選手A「さぁ、カウンターを・・・」
実況「しかし、こぼれ球に大和田~!」
大和田 ロドリゴ「想定内」
実況「しかし大和田のシュートはキーパー正面・・・」
選手C「OK、任せ・・・」
一宮 達「ひゃっほ〜い!」
選手C「しまっ・・・ワンタッチでコースが変わって・・・」
選手B「うおおおお!」
実況「京郷大付属、ここも防いだ~!」
一宮 達「あぁ、惜しい」
選手B「セカンドボール!」
伊調 慎太郎「俺のターン!」
選手C「いや、届く」
伊調 慎太郎「・・・と見せかけて、任す」
猿渡 攻「任される」
選手B「そいつはヤバい! 囲め! 奪え!」
実況「猿渡が驚異的なキープ力を見せる!」
猿渡 攻「だーれーにーしーよーかーなー、っと」
千早 駿汰「ズバッと参上! サクッとお膳立て!」
実況「ボールは千早から、エリア外の飛騨へ!」
飛騨 竜二「さぁ、仕上げと行こうか」
選手A「ヤバい、こいつら全員エリア内に入ってきてる!?」
選手B「落ち着け、こっちも人数は揃ってるんだ!」
実況「飛騨のセンタリング、飛び込んできたのは・・・7番の矢口だ!」
選手B「残念だったな、お前の事もちゃんとケアして・・・」
矢口 愛玖「それは残念でした」
実況「いや、矢口はスルーした!?」
選手C「じゃあ、一体誰が・・・?」
選手B「大丈夫だ、枚数は揃って・・・」
取手 誠吾「貰った~!」
「何~!?」
実況「ゴーーーーーール!」
実況「最後に決めたのは11人目のFW、GKの取手誠吾だ~!」
取手 誠吾「言ったでしょ? ウチは『全員攻撃』だって」
取手 誠吾(3年)
GK 背番号1
武器:ロングフィード
本日の成績:1ゴール
実況「そして、ここで試合終了~!」
実況「9対8」
実況「歴史的な打ち合いを制し──」
実況「祠学園が初の決勝進出~!」
〇更衣室
一宮 達「やったぜ! 勝ったぜ! ひゃっほ~い!」
飛騨 竜二「うるせぇな、こっちはフル出場で疲れてんだよ」
徳山 天空「それにしても、危なかったっスね」
矢口 愛玖「まぁ、勝ったからOKだろ」
首藤 雷河「だから、もっと俺に集めてりゃ楽勝だったんだろが!」
取手 誠吾「はいはい、わかったわかった」
猿渡 攻「膝君、お疲れさん」
大和田 ロドリゴ「ところで、もう片方の準決勝の結果は?」
鈴木 日向「さすがに、そろそろ終わってるんじゃない?」
伊調 慎太郎「どうせ、遊星商工だろ?」
千早 駿汰「テレビ、ポチりますね」
実況「外した~! 前年王者・遊星商工、PK戦の末に敗退~!」
実況「勝ったのは『全員守備』『点を獲られなければ負けはしない』のスローガンの下、今大会無失点で勝ち上がった立石高校!」
実況「全国大会へ進出するのは『10トップ』か? 『10バック』か?」
大和田 ロドリゴ「まさかのダークホースか・・・」
徳山 天空「しかも、よりによって10バック・・・」
「・・・・・・」
取手 誠吾「最っ高じゃねぇか!」
猿渡 攻「こんな面白い試合、あるか?」
一宮 達「ひゃっほ〜い!」
首藤 雷河「10バックなんて、俺がぶち抜いてやるよ」
飛騨 竜二「そもそも、俺のフリーキックの前には無意味だしな」
矢口 愛玖「さぁ、祭りを楽しもうか」
「おう!」
- END -
タイトルが「TOP10」ではなく「10TOP」なのでまさかと思ったらそのまさかでしたw。そしてまさかチームの隠し球があんなところに…。そしてラストでダメ押しのまさかの10バックの高校…。両者の対決が見たくてたまりません。
サッカーは全員プレーだけど、攻め中心か守り中心かでかなりその勝敗につながるものなんですね。私はほとんどサッカー素人ですが、彼等の熱気が伝わり楽しく読めました。
点の取り合いって盛り上がって楽しいですよね!
昨年のワールドカップにすごくハマっていたので
タイムリーな感じがして読んでいて楽しかったです。
8失点していましたが、次の試合大丈夫でしょうか😂
相手は無失点で、相当強そうですが…
応援しています😂