アリスとユイ(脚本)
〇華やかな寮
静原アリス「ユイさん、遅くなってごめんなさい」
佐々木ユイ「アリスちゃん!早く帰ろ」
アリスちゃんは、転校生の私に真っ先に声をかけてくれて、私たちはすぐに友達になった。
佐々木ユイ「今日も寒いね」
静原アリス「もうすぐクリスマスですもの 軽井沢の別荘は雪が積もっているそうですわ」
アリスちゃんはお嬢様だ。
大きなおうちに住んでいて、別荘もたくさん持っていて、家には執事さんやメイドさんがいて・・・・・・
静原アリス「クリスマス、楽しみですわね」
でも、みんな嘘だ。
私は、アリスちゃんの家がお金持ちじゃないことに気づいてる。
アリスちゃんの家は小さなラーメン屋さんだ。
私は偶然、アリスちゃんがそのラーメン屋さんから出てくるところを見てしまった。
いつかアリスちゃんが、自分から本当のことを言ってくれるのを待っているんだけど・・・
静原アリス「ユイさん、どうしましたの?」
佐々木ユイ「え!?な、なんでもないよ!」
静原アリス「そう・・・?」
静原アリス「クリスマス、ユイさんと過ごせるなんて嬉しいですわ」
静原アリス「ショッピングして、カフェでお茶して・・・」
静原アリス「週末が待ち遠しいですわ」
佐々木ユイ「・・・そうだね」
静原アリス「お正月はパパとエーゲ海にダイビングに行きますから、ユイさんに会えないのが残念ですけど・・・」
佐々木ユイ(カスピ海ってダイビングできるのかな・・・)
静原アリス「お土産にカスピ海まんじゅう買ってきますわね!」
佐々木ユイ(カ、カスピ海まんじゅう!?)
佐々木ユイ(最近だんだんアリスちゃんの嘘が苦しくなってきた気がする・・・)
佐々木ユイ「ね、ねえアリスちゃん! ・・・私・・・」
静原アリス「あ!ユイさん、のどが渇きません?」
佐々木ユイ「え?」
静原アリス「何か飲みません? ごちそうしますわ」
佐々木ユイ「そんな!悪いよ!」
静原アリス「いつも仲良くしてくださっているお礼ですわ」
佐々木ユイ「そんなこと・・・」
静原アリス「はい、ミルクティー」
佐々木ユイ(こんな嘘、続けさせるの良くないよね・・・)
佐々木ユイ(・・・・・・よし)
佐々木ユイ「アリスちゃん、私、知ってるの!」
佐々木ユイ「アリスちゃんが、普通の家の子だって・・・」
佐々木ユイ「だから、もうこんな嘘は・・・」
静原アリス「・・・・・・」
ガシャン!
アリスちゃんの震える手から、ミルクティーが落ちた。
佐々木ユイ「違うの、私、アリスちゃんを責めたかった訳じゃ・・・」
静原アリス「・・・・・・」
佐々木ユイ「あっ・・・」
〇女の子の一人部屋
佐々木ユイ(どうしよう・・・ アリスちゃん怒っただろうな)
佐々木ユイ(傷付けるつもりじゃなかったのに、ひどいことしちゃった)
佐々木ユイ(週末は一緒に出掛ける予定だったけど、アリスちゃん来てくれるかな・・・)
〇クリスマスツリーのある広場
佐々木ユイ(待ち合わせは12時だけど・・・ 不安で早く着いちゃった・・・)
「ユイさん・・・!」
佐々木ユイ「・・・!!」
静原アリス「お・・・お待たせ」
佐々木ユイ「アリスちゃん!来てくれた・・・!!」
佐々木ユイ「・・・・・・」
静原アリス「・・・・・・」
「あの・・・!」
佐々木ユイ「あ、ごめん・・・」
静原アリス「・・・えへへ」
佐々木ユイ「・・・あははっ!」
静原アリス「ユイさ・・・ユイちゃん、ずっと嘘ついててごめんね」
佐々木ユイ「ううん、私こそ、アリスちゃんの気持ち考えられなくて・・・」
静原アリス「これからも、私と仲良くしてくれる?」
佐々木ユイ「当たり前だよ!」
静原アリス「よかった!」
静原アリス「ね、なんか飲まない?」
佐々木ユイ「うん!」
佐々木ユイ「じゃあ今日は私が──」
静原アリス「いいの! それよりも、ふたりでワリカンして、半分こしない?」
佐々木ユイ「わぁ! いいね!」
静原アリス「すみませーん! タピオカミルクティーひとつくださーい!」
私たちは、前よりもっと、仲良くなった。
静原アリス「そういえばユイちゃん、お正月は何してるの?」
佐々木ユイ「うーん、いつもどおりモナコの別荘かなー」
静原アリス「へ?」
おしまい
確かに見栄というか、一回ついた嘘から重ねてしまい後に引けなくなるようなことってありますよね。
特に学生の頃は…私もありました。
でも本当のことを言っても何も変わらず接してくれる友達がいてよかった…けど実は友達の方がお金持ち?!
まさかゆいちゃんが本当のお金持ちだったとわ!アリスちゃんはなんとなくそう感じてて嘘をついてしまったのかな…?笑
2人がいいお友達のままでいられますように。
小さな嘘を重ねる女の子はよくいますけど、ちょっとしたことでほころびますよね。
アリスちゃんも悪気は全くなかったようで、いい子だなと思いました。
最後のオチがすごかったですが!笑
まさかユイちゃんが本当のお金持ちとは思いませんでした!