〇クリスマス仕様の畳部屋
サンタクロース「カァーッ」
サンタクロース「聖夜に飲む酒はうめぇなあ！」
トナカイ「ちょ、ちょっとサンタさん！ これから仕事なのに何一杯煽ってんですか！」
サンタクロース「だめ・・・？」
トナカイ「だめですよ！」
サンタクロース「美少女が頬を染めてお願いしてるのに トナカイはいけずだなぁ」
トナカイ「頬を染めてって・・・ 酔っ払ってるだけでしょう」
サンタクロース「なんだか私、酔ってきちゃった♡」
トナカイ「知ってます」
サンタクロース「ゔっ・・・」
トナカイ「まさか・・・」
サンタクロース「やばい。出そう」
トナカイ「ちょ、ちょっと！ ダメですよそれだけは！」
トナカイ「衣装がゲロまみれになっちゃう！」
トナカイ「・・・」
サンタクロース「ふぅ・・・」
トナカイ「美少女的にはそれもアウトォ！」

〇一軒家の玄関扉

〇クリスマス仕様の畳部屋
トナカイ「そもそも酒飲んでる時点でこいつは少女じゃなかった・・・」
サンタクロース「はーい！」
トナカイ「こんな夜中に宅配・・・」
トナカイ「サンタさんより仕事してるじゃん」
サンタクロース「がははっ！」
トナカイ「なっ！」
サンタクロース「やっぱクリスマスはピザっしょ〜」
サンタクロース「いただきまーす」
トナカイ「待てぃ！」
サンタクロース「あっ、ごめん エビマヨの方が良かった？」
トナカイ「ちゃうわ！ あんた、今日が何の日か分かっとるんか？」
サンタクロース「クリスマスだけど・・・」
サンタクロース「耳悪いのかなこのトナカイ」
サンタクロース「さっき私「やっぱクリスマスはピザっしょ〜」って言ってたよね」
サンタクロース「どうして分かりきった質問をするのかな 理解にメリー苦しみ」
トナカイ「理解に苦しむのはこっちじゃい！」
トナカイ「サンタはん、あんた自分の仕事忘れとるんちゃいまっか？」
サンタクロース「仕事・・・？」
トナカイ「プレゼントォ！」
トナカイ「子供たちにプレゼントを配るのがあんたの仕事でしょ！」
サンタクロース「・・・」
サンタクロース「はぁ・・・トナカイくん」
サンタクロース「時代はリモートだよ」
サンタクロース「家にいながらでも、プレゼントを配ることはできるのさ」
トナカイ「・・・！」

〇トラックのシート

〇クリスマス仕様の畳部屋
トナカイ「でも、どうやって？」
サンタクロース「ふふん！ 世の中には便利なサービスがあるのだよ」
サンタクロース「贈り物を指定した時間にきっちり届けてくれる、便利なサービスがね」
トナカイ「まさか・・・」
サンタクロース「というわけで、今年から私は下請けを雇うことにしました」
サンタクロース「元請けの私は一歩も動かず、プレゼントを配ることができるって寸法よ」
トナカイ「あんたにサンタとしてのプライドはないんか？」
サンタクロース「フライドポテト？」
トナカイ「・・・」

〇トラックのシート
宅配業者「お姉ちゃん」
宅配業者「何？」
宅配業者「私、フライドポテト食べたい」
宅配業者「今は我慢よ」
宅配業者「この仕事が片付いたら、そのお金で」
宅配業者「やだよ！私は今食べたい！」
宅配業者「だって今日はクリスマスだよ！」
宅配業者「みんなパーティーしてるのに どうして私たちは・・・」
宅配業者「・・・」

〇クリスマス仕様の畳部屋
サンタクロース「あっはっはっ！」
サンタクロース「今夜はパーリィ！パーリィナイッ！」
トナカイ「ちょっと、ハメ外しすぎですって」
トナカイ「近所迷惑ですよ！」
サンタクロース「私はついに・・・自由を手に入れた！」
サンタクロース「こんなん、ハメ外さずにいられっか！」
サンタクロース「ぷはー！」
トナカイ「サンタさぁぁん！」

〇トラックのシート
宅配業者「・・・そうね」
宅配業者「こんなのおかしい」
宅配業者「お腹空いたよぉ」
宅配業者「・・・革命」
宅配業者「え？」
宅配業者「革命・・・私たち社会の奴隷は、革命を起こす権利があるの」
宅配業者「えっ、えっ」
宅配業者「さぁ、パーティーの始まりよ！」
宅配業者「お姉ちゃん!?」

〇住宅地の坂道

〇ゆるやかな坂道

〇一軒家の玄関扉

〇クリスマス仕様の畳部屋
サンタクロース「あっはっ」

〇クリスマス仕様の畳部屋
トナカイ「な、なんだ!?」
宅配業者「プレゼントを届けに来たわ！」
宅配業者「受け取りなさい！」
サンタクロース「うひっ！」
「サンタさん！／お姉ちゃん！」
宅配業者「まだ足りない？ ならこれもあげるわ！」
宅配業者「し、仕事辞めたら、お金が」
宅配業者「大丈夫。報酬は頂くもの」
宅配業者「わぁ、ピザだ！」
宅配業者「お酒もあるわね」
「乾杯〜！」
サンタクロース「私の酒が・・・ピザが・・・」
サンタクロース「自由が・・・」
トナカイ「サンタさん・・・」
トナカイ「働きましょう」
トナカイ「ゲップで返事しないでください」

〇一軒家の玄関扉
サンタクロース「うぅ、寒い」
サンタクロース「ソリ、どこに閉まったっけ」
トナカイ「倉庫では？」
サンタクロース「そっか・・・あっ」
トナカイ「トラックが倉庫を塞いでる・・・」
サンタクロース「トラック・・・」
サンタクロース「そうだ・・・ 今年はトラックで運ぼう」
トナカイ「正気ですか？」
サンタクロース「ちょっと酔ってるけど、正気」
トナカイ「飲酒運転じゃないですか・・・」
サンタクロース「そんなこと言ったら ソリも飲酒運転だし・・・」
トナカイ「仕方ないですね」
トナカイ「僕に乗ってください」
サンタクロース「・・・正気？」
トナカイ「はい。気合い入れて走るので、振り落とされないでくださいよ」
サンタクロース「・・・分かった」
サンタクロース「私も気合い入れないとな」
サンタクロース「・・・って、わっ！」

〇宇宙空間
サンタクロース「うっ、すごい揺れる」
サンタクロース「酔ってきたかも」
トナカイ「吐かないでくださいよ」
トナカイ「ゲップもやめて」
サンタクロース「うぃ〜」
トナカイ「ちょっと！ 何飲んでるんですか！」
サンタクロース「うへへ・・・」
サンタクロース「あっ」
サンタクロース「綺麗・・・」
トナカイ「僕の毛並みがですか？」
サンタクロース「・・・いい毛並みだぁ」
サンタクロース「トナカイにしておくには勿体無いぜ」
トナカイ「何するつもりですか!?」
サンタクロース「剥製にしてやるぅ！」
トナカイ「相当酔ってますね・・・」

〇可愛い部屋

〇学生の一人部屋

〇古風な和室

〇空

〇空

〇川沿いの道
サンタクロース「ふぅ・・・疲れた・・・」
トナカイ「もう朝ですね」
サンタクロース「二度とやらん、こんなこと」
トナカイ「来年も頑張りましょう」
トナカイ「朝刊かな？」
サンタクロース「朝から大変だねぇ」
トナカイ「もう始発の時間かぁ」
サンタクロース「・・・」

〇住宅街の道

〇駅のホーム

〇オフィスのフロア

〇川沿いの道
サンタクロース「みんな、働いてるんだなぁ」
トナカイ「じゃないと社会は回りませんし」
サンタクロース「・・・」
サンタクロース「私たちがいなくても、社会は回るよね」
トナカイ「くっ、余計なこと言った・・・」
サンタクロース「・・・」
サンタクロース「あははっ！」
サンタクロース「冠婚葬祭と一緒でさ」
サンタクロース「無くてもいいけど、無いとなんだか締まらないものがあるよね」
トナカイ「・・・そうですね」
サンタクロース「私たちの働きで、世界はこんなにも素敵な朝を迎えられるんだ」
サンタクロース「やりがい・・・感じちゃう♡」
トナカイ「やっぱりまだ酔ってます？」
トナカイ「うぇ」
サンタクロース「それにしてもこの朝焼け、やけに明るい」
サンタクロース「なんか燃えてる？」
トナカイ「あれ・・・」

〇一戸建て
消防士「くそっ、火が強い！」
消防士「ったく！こんな朝っぱらから・・・！」
宅配業者「ふにゃあ」
宅配業者「燃えてるね〜」
宅配業者「きゃんぷふぁいにゃ〜」
「あ・・・あ・・・」
サンタクロース「我が家が・・・」
トナカイ「燃えとる・・・」
サンタクロース「そ、そんなことある？」
サンタクロース「一仕事終えて帰ってきたら、家が燃えてるとか」
サンタクロース「そんな酷い仕打ち、ありえる？」
トナカイ「一緒に山で暮らします？」
サンタクロース「くっ」
サンタクロース「仕方ない」
サンタクロース「こういう時は上司に相談だ」

〇幻想空間
天使「はいはーい」
天使「どったの？サンタちゃん」
　　先輩！家が燃えちゃいました！
天使「あらら、それは困ったね」
　　どうか、先輩の力で元に
　　やべっ
天使「・・・」
天使「汚い子には何もあげません！」

〇一戸建て
サンタクロース「そんな・・・」
宅配業者「もしかしてほーむれす？」
宅配業者「わたしたちも〜」
トナカイ「こうして、三人と一匹の奇妙な暮らしが始まったのであった」
トナカイ「完」