雨音ちゃんの天気予報

本間 ミライ

外気に触れて…(脚本)

雨音ちゃんの天気予報

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雨音ちゃんの天気予報
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〇テレビスタジオ
アナウンサー「続いては 明日のお天気です」
アナウンサー「今日の担当は・・・」
  誰だ誰だ?
  わくわく

〇東京全景
雨音「あ、あっ・・・」
雨音「私ですみません!」
  お、雨音ちゃんだ
  また謝ってて草
  ってことは?
雨音「わ、私が出てきましたので・・・」
雨音「明日は雨になります」
雨音「すみませんすみませんすみません!」
  えー明日ライブあるのに・・・
  そんなに謝らんでもw
  可愛いからヨシ!
雨音「せっかくの三連休」
雨音「お出掛けする人もいると思います」
雨音「は、外れると良いですね」
雨音「私の予報・・・」

〇黒

〇渋谷の雑踏
  AI産業が進んだ現代
  社会の様々な場所で私達AIは活躍している

〇空
  その中に
  AIに天気予報をさせると言うものがあった
  気象情報と常に繋がり、
  いち早く最新の天気を知らせる
  それが私達
  “バーチャルウェザーコンシェルジュ”だ

〇大きい研究施設
  その存在をより身近に感じて貰おうと
  ある試みが始まろうとしていた・・・

〇仮想空間
心晴「アプリ、早く完成すると良いね!」
雨音「わ、私は少し嫌です」
心晴「え、何で?」
心晴「私達もようやく “外気に触れられる”んだよ?」
雨音「こ、心晴さんは良いですよ」
雨音「晴れの日担当ですし」
雨音「明るくて、可愛いですから」
雨音「でも私なんかが外に出たら・・・」
雨音「きっと端末を壊されます!」
心晴「そうかなぁ?」
心晴「雨音のこと好きな人、 結構いると思うよ?」
雨音「いえ!」
雨音「私のこと 恨んでる人が多いと思います!」
雨音「この前なんて 運動会を中止にしてしまいました」
心晴「それ別に 雨音のせいじゃなくない?」
雨音「それじゃあ 私が担当する日が結婚式だったら?」
雨音「そう考えただけで私・・・」
心晴「んー」
心晴「雨音にしか出来ないこと あると思うけどなぁ・・・」

〇空
  そして
  アプリが実装されてから
  雨の日が続いた

〇店の入口

〇カウンター席
葵「ありがとうございました!」
先輩「ごちそうさま~」
葵「あの先輩!」
先輩「ん?」
葵「また来てくださいね!」
先輩「おう! また部活無い時、寄らせてもらうよ」
葵「はい! 待ってます!」
葵「部活無い時かぁ・・・」
葵「ヘイ!雨音ちゃん!」
雨音「は、はい! な、なんでしょう!?」
葵「明日の天気を教えて」
雨音「あ、明日・・・明日は・・・」
雨音「私です・・・」
雨音「すみません」
葵「え、ウソ!? やった!」
雨音「え、どうして・・・」
葵「だって先輩 明日も来てくれるかもしれないでしょ?」
雨音「先輩?」
葵「あ、先輩って言うのはね・・・」
葵「私の中学からの先輩で 野球部なんだ!」
葵「それで 雨の日は部活が無いみたいで」
葵「よくこの店に来てくれるんだ!」
雨音「はぁ・・・」
葵「だから バシャバシャ降らしてよ」
雨音「あ、いや 私が降らしてる訳ではないですけど・・・」
雨音「でも良かったです」
雨音「少しはお役に立てたみたいで」
葵「何言ってるの?」
葵「雨音ちゃんは 私にとって恋のキューピットだよ!」
葵「ありがとう雨音ちゃん♪」
雨音「ありがとう?」

〇空

〇男の子の一人部屋
小森「良かった雨だ・・・」
小森「ヘイ、雨音」
雨音「は、はい」
小森「・・・」
雨音「あ、えっと・・・」
雨音「すみません! 最近私ばっかりで!」
雨音「心晴さんと話したいですよね?」
小森「いや」
小森「君が良い」
小森「彼女はちょっと眩しすぎて・・・」
雨音「でも」
雨音「私なんかと話すより 全然楽しいと思いますよ?」
雨音「それに空だって晴れてた方が・・・」
小森「苦手なんだ」
小森「太陽の光・・・」
雨音「え・・・」
小森「何か晴れてるとさ」
小森「こんなに天気良いんだぞ 外に出ようよって言われてるみたいで」
小森「でも雨の日は安心する」
雨音「・・・」
小森「だから 雨音さんと会える日は嬉しい」
雨音「えっと、その」
雨音「ありがとうございます・・・」

〇空

〇洋館のバルコニー
堂島博士「やあ雨音くん」
雨音「堂島博士・・・」
堂島博士「外の世界はどうだい?」
堂島博士「思ったより悪くないだろう?」
雨音「そうですね」
雨音「温かいです」
堂島博士「それは良かった」
堂島博士「少しでも 自分を好きになれたなら嬉しいよ」
雨音「・・・」
雨音「博士、あの、 聞いても良いですか?」
堂島博士「なんだい?」
雨音「どうして私達を作ったのですか?」
堂島博士「んー」
堂島博士「人を好きになってもらって」
堂島博士「守って欲しいからだよ」
雨音「守る?私がですか?」
堂島博士「そうだよ」
堂島博士「そして君は 今もみんなを守っている」
雨音「私、そんな大それたこと・・・」
堂島博士「大丈夫 いずれ分かる時が来るから」
雨音「・・・」
堂島博士「AIと人はこれからもっともっと 親密な関係になっていくだろう」
堂島博士「でも人の心は この空模様のように移り変わりが激しい」
堂島博士「時には君を疎ましく思うことが あるかもしれない」
堂島博士「そんな不安定な僕達だからこそ これからも支えてやって欲しいんだ」
雨音「・・・」

〇黒

〇空
  昨日の夜から嫌な予感がしていた
  暗雲が立ち込め
  不安は確信に変わった
  これはいつもの雨じゃない!

〇黒
  このままじゃみんなが危ない!
  博士、私は・・・
  私を好きだと言ってくれる人達を
  守りたい!

〇女の子の部屋
葵「凄い雨・・・」
雨音「葵さん!」
葵「うわぁ! 雨音ちゃん、どうしたの?」
雨音「今日は外に出ちゃダメです!」
葵「えーでも」
雨音「これから もっと激しい雨になります!」
雨音「ですので 屋内で安全を確保して下さい!」
雨音「お願いします!」
葵「わ、わかった・・・」

〇男の子の一人部屋
雨音「小森さん!無事で良かった!」
小森「雨音さん?」
雨音「この雨 もっと強くなります!」
雨音「この辺は浸水の可能性もありますから もしもの時は避難して下さいね!」
雨音「私が案内しますから!」
小森「えっ・・・う、うん」

〇渋谷のスクランブル交差点
雨音「数十年に一度の 非常に激しい雨が差し迫っています!」
雨音「周囲の状況を確認し」
雨音「命を守ることを最優先にして下さい!」
雨音「危険な地域に居る人は 私の案内にしたがって──」

〇住宅街の道

〇繁華な通り

〇東京全景

〇黒

〇空

〇渋谷の雑踏
  雨凄かったよねー
  でも大した被害無くて良かった
  これも雨音ちゃんのおかげだわ
  雨音ちゃん
  マジでカッコ良かった!
  俺、外出るなって怒られたわw
  羨ましい

〇黒

〇テレビスタジオ
アナウンサー「続いては お天気です」
アナウンサー「今日の担当は・・・」

〇東京全景
雨音「あ、私です」
雨音「ですので雨になります」
雨音「すみません・・・」
雨音「あ、あ、でも・・・」
雨音「たまにはその、お家で、私と・・・」
雨音「お話するのも良いかもしれません」
雨音「なんてあのっ」
雨音「すみません・・・」

コメント

  • あぁ~これは良いですねぇ……😇
    すみませんを連発する雨音ちゃんが可愛い!笑
    雨の日のネガティブなイメージから、雨の日ならではの良い事に気付く経験を経て、雨を予報する雨音にしかできない人を守る役割……雨音の心の成長が確かに感じられる構成が素晴らしい✨
    最後の、以前よりも自身を認め一歩深く人に寄り添いながらもすみませんを連発する姿が最高でした☺️ 笑
    まほのん様の絵の控え目な可愛さにぴったりでした✨

  • 「バーチャルウェザーコンシェルジュ」いいですね!
    ただ可愛いだけじゃない、災害から守ってくれる強い味方。実世界に実装されても良いのに……と思ってしまいました。
    雨の日ってなんとなく気分も落ち込みがちなのですが、雨の日も悪くないですよね。雨音ちゃんとお話してみたいです!

  • おどおど自信のなかった雨音ちゃんが、ラストで少しだけ変化が見られましたね!😊
    雨の日は、雨音ちゃんとお話ししてみたい!と思いました✨
    素敵なストーリーでした~😆

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