宇宙的に良識ある社会人としての行動を

刀神凛太郎

読切(脚本)

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〇おしゃれなレストラン
  同僚の三枝未来子と、馴染みのイタリアンをランチに訪れた
  言うなれば、地球で初めての馴染みの店だ
  ・・・いや、違う、違う、違う!
  「東京で初めての」だ
  はっはっは。
  当然じゃないか、いまのはスルーしてくれ
三枝 未来子「え? なんか言った?」
嵐動 触流「い、いや。その・・・ひとりスゥイートさ」
三枝 未来子「スゥイート? ・・・もしかしてツイート? てか、ひとりゴトって意味?」
嵐動 触流「そ、そうだよ。スとりゴト、さ」
  地球人なみに、全身が汗ばんでいた。
  ・・・じゃない「人なみに」だ
三枝 未来子「ひ・と・り・ごと、ね。 ホントにあなたとしゃべってると時々、宇宙人と話してる気分になる」
  えっ!!
嵐動 触流「な、なぜ、それを?」
  あやうく叫びかけて、未来子の言葉は単なる言い回しだと気づいた
  いつものパスタを注文して食事を始めた
  と、視界のすみにあの男、来馬来人の姿が映った
  俺の視線に気づいた未来子が振り返ると、来馬はわざとらしく微笑んだ
来馬 来人「おやあ、お二人さん。お熱いねえ」
三枝 未来子「何言ってのよ。 来馬くんも一緒に食べる?」
来馬 来人「いやあ、邪魔しちゃ悪いから」
  とか、なんとか
  安っぽい恋愛ドラマもどきのやりとりのあと、結局、来馬は同じテーブルについた
  まったくの茶番だ。未来子の性格を読んでの、計算づくの行動だった
  お! 俺も、茶番などという言い回しを使えるようになったか
  言語能力の著しい向上だ。
  これは報告書の特記事項に追加しなくては・・・
  談笑しながら来馬はしきりに未来子をデートに誘おうとしていた
  一方で俺には、とっとと出てけ、という視線を投げかけてくる
  もとより俺と未来子は単なる同僚であり、来馬が冗談めかして言った交際関係にはない
  だが、第三者である俺の前で、こういう露骨な行為に出ることができる来馬には、逆の意味で興味を感じた
  と言うより、以前から奴には興味があり、調べていたのだが・・・
  いずれにしても俺には中座する理由はなく、また未来子もそれを望んでいるようだったので、来馬の視線は無視した

〇高い屋上
  その夜。
  俺は、勤務先の不動産販社の、モデルルームのあるビルの屋上で
  母星の上司である、スキャパム・スレグラルに亜空通信で報告を行っていた
嵐動 触流「地球人の生態についての報告は以上となります」
  勤務先を不動産販社にしたのは、地球人の多様な生態を観察する機会が多いからだ
スキャパム・スレグラル「・・・地球人に気づかれていないか?」
  ギクーう!!
嵐動 触流「そ、そんな気配は微塵もあり、あり、ありません、ですう」
  彼女は冷ややかに俺を見つめた
スキャパム・スレグラル「正体がバレたら、お前は原子分解してすべての証拠を消す。 忘れるな」
  会話の終了とともにパワハラ女上司の映像が消え、俺はほっと胸をなでおろした

〇豪華なベッドルーム
  俺は階下のモデルルームを覗いた。
  気になることがあったのだ

〇オフィスのフロア
  夕方、事務所で来馬が未来子に、モデルルームの模様替えについて相談していた
  今日いっぱいで決めなきゃ、と聞こえた

〇街中の道路
  俺は既に調査して来馬の性癖について知っていた
  時折、若い女を襲って

〇街中の道路
  その生命機能を停止させ、解体処理していることを
  処理の仕方が巧みなのか、解体された部位が発見されたことはなく
  彼女たちは単なる失踪として処理されていた・・・

〇豪華なベッドルーム
  我々の目的には影響せず、とくに支障もないので放置していたが・・・
  身近で同様のことを行われるのは問題だった
  未来子が不自然な失踪を遂げれば、最も近しい同僚の俺に、捜査の手が及ぶことになる
  それは避けたい
  ・・・予想と違ってモデルルームの照明は落ちていた
  が、すぐに異変に気づいた!
  ベッドの上に未来子が横たわっていた

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コメント

  • 宇宙人さんの慌て方とかおもしろかったです!笑
    地球にまだ慣れてないところとか、こういう人けっこう好きです。
    でも、バレたらヤバいんですよね?
    宇宙のお掃除ロボット欲しいです。笑

  • なんだか不思議な人たちが集まってしまいますね。
    宇宙人に殺人鬼?に…、結局はバラバラにし返しさせられるんですが、人間としての心が早く身につけば早く解決できたのかな?とも思ってしまいました笑

  • 人間と宇宙の掛け合い!?が楽しかったです。少しハラハラしながらドキドキしながら読ませて頂きました。ストーリの展開も上手にされていて引き込まれました。

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