本編(脚本)
〇魔法陣2
あくまでちょっとした出来心のつもりだった。
大した理由じゃないけど、少しくらいは気分がスカーっとすればいいかなって。
だから、あんな事になるだなんて・・・・・・・
〇寮の部屋(ポスター無し)
七瀬 毱奈「な、何もんだ、お前!」
???「ふふふ・・・・・・私か?」
???「私は・・・・・・お前が呼んだ『悪魔』さ」
〇教室
七瀬 毱奈(あの後の記憶がまるまる消えて、いつの間にか朝になっていた)
七瀬 毱奈(アレは夢だったんだろうか?)
七瀬 毱奈(まあ夢だろうな。ありえねえもん)
七瀬 毱奈(ネットで目にした悪魔召喚の儀式を冗談で真似してみたら、自分を『悪魔』だなんて言い出す女が現れるなんて・・・・・・)
七瀬 毱奈(夢に決まってるって)
???「夢ではございませんわ〜」
七瀬 毱奈「なっ!?お前!?」
???「朝から馬鹿でかい声を出すものではありませんわよ、七瀬さん」
同級生「おはよう、阿来馬さん!」
???「おはようございます。今日も清々しい朝ですわね」
同級生「むしろ乾燥しすぎて髪パッサパサだよー!阿来馬さんのサラサラヘアが羨ましーなー」
七瀬 毱奈「おい、お前!」
同級生「ひえええ!?な、なんでしょう七瀬さん!」
七瀬 毱奈「こいつが誰だかわかってんのかよ!」
同級生「だ、誰って・・・・・・どこをどう見ても阿来馬さんでしょ?七瀬さんの隣の席の!」
阿来馬 月夜「そう!隣の席の阿来馬 月夜ですわ」
七瀬 毱奈「はあ?そんなわけ・・・・・・」
教師「おーい、ホームルーム始めっぞ。お前ら席につけー!」
同級生「それじゃあまた後でね!阿来馬さん!」
阿来馬 月夜「ええ」
七瀬 毱奈(なんで親しそうに話してるんだ?こんな奴昨日までいなかったってのに!)
教師「今日の日直は・・・・・・阿来馬だったか。朝礼を頼む」
阿来馬 月夜「かしこまりましたわ」
阿来馬 月夜「起立!礼!」
七瀬 毱奈(どういうこった・・・・・・)
七瀬 毱奈(同級生も担任の教師もまるでこの女が元からこのクラスの生徒だったみたいの扱ってやがる)
〇寮の部屋(ポスター無し)
阿来馬 月夜「全員の認識を変えておいたのさ。悪魔の力ならこの程度は容易いものだ」
七瀬 毱奈「確かに、お前は正真正銘の悪魔みてえだな」
阿来馬 月夜「おや?案外素直に信じるのだな」
阿来馬 月夜「てっきりお約束の「手品か何かだろ!」とでも喚くとばかり思っていたぞ」
七瀬 毱奈「こっちはお前に一か八かの賭けをして呼び出したんだ。今更疑ってもしょうがない」
七瀬 毱奈「んで、どんな願いも叶えてくれるんだろ?」
阿来馬 月夜「当然だ。喜ぶがいい、人間よ。私は悪魔の中でも高位の存在・・・・・・叶わぬ願いなど無きに等しいわ」
阿来馬 月夜「まあ、相応の代償は頂いてはいくがな」
阿来馬 月夜「さあ、願いを言え人間!貴様の矮小で低俗な望みをバシッと叶えてやろう!」
七瀬 毱奈「わ、笑うなよ?」
阿来馬 月夜「ふっ、もったいつける奴だ」
阿来馬 月夜「安心しろ。高位の悪魔であるこの私が、たかが人間如きに意表を突かれるなど天地がひっくり変えても決してあり得ぬ!」
七瀬 毱奈「と・・・・・・」
七瀬 毱奈「友達が欲しい・・・・・・」
阿来馬 月夜「・・・・・・」
阿来馬 月夜「ぶはははははははははははははっ!!!ひーひひひひひひ!!」
〇黒
〇寮の部屋(ポスター無し)
阿来馬 月夜「痛いではないか」
七瀬 毱奈「うっせ。高位悪魔様は人間如きのパンチなんて平気だろ」
阿来馬 月夜「それはおいといて、ふむ。友達か」
七瀬 毱奈「あたしこんな風体だからさ。おまけに無愛想だし」
七瀬 毱奈「みんなからやたらと怖がられるんだ」
阿来馬 月夜「昼間の同級生への高圧的な態度を見ればすぐに察する」
阿来馬 月夜「だが、内容そのものはともかく、私を呼べる程だ。欲の強さは相当だな」
阿来馬 月夜「いいだろう!叶えてやる!」
七瀬 毱奈「本当か!?」
阿来馬 月夜「早速始めようか」
阿来馬 月夜「ピリカララッキョウオイシーナー!」
七瀬 毱奈「おい、その呪文で大丈夫なのかよ!?」
阿来馬 月夜「安心しろ。明日にはお前には友達100人出来てるぞ。たぶん」
七瀬 毱奈「たぶんって何だよ。そこは断言しとけ」
阿来馬 月夜「アフターサービスだ。時間をすっ飛ばしてやるとしよう」
阿来馬 月夜「ピリカラキュウリトオミソシルー!」
〇教室
同級生「おはよー!阿来馬さん!七瀬さん!」
七瀬 毱奈「え?あ・・・・・・お、おはよう・・・・・・」
同級生「学校終わったら今日もカラオケ行こうねー!今度は点数で負けないんだから!」
七瀬 毱奈「あ、ああ。そうだな」
同級生「はよー、2人とも。例のドラマ見たー?」
同級生「聞いてよ、昨日ママがさー」
同級生「さっきの問題解けたか?頼む、またノート化してくれよ七瀬!」
七瀬 毱奈「こ、これは・・・・・・」
阿来馬 月夜「あら〜良かったですわね〜」
阿来馬 月夜「友達がこんなにたくさん!モテモテで羨ましいですわ〜」
〇黒
七瀬 毱奈(確かに、これで友達はいっぱい出来た)
七瀬 毱奈(でも、これってただのマインドコントールじゃないか)
七瀬 毱奈(それって本当に友達って言えんのか?)
〇寮の部屋(ポスター無し)
七瀬 毱奈「悪い。今更だが、やっぱ元に戻してくれ」
阿来馬 月夜「ほう?せっかく友達が出来たのにか?」
七瀬 毱奈「あんなのは友達じゃない。都合の良い操り人形にしただけだ」
阿来馬 月夜「ふむ。そこに気付かぬ愚か者でも無かったか」
七瀬 毱奈「まあでも一応願いは叶えてもらったからな。代償ってのは好きに持ってけ」
阿来馬 月夜「律儀な奴だな、お前は」
阿来馬 月夜「言っておくが、安くはないぞ」
七瀬 毱奈「勝手にしろ。もう腹は決めてんだ」
阿来馬 月夜「では、もらっていくぞ。契約は果たされた!」
阿来馬 月夜「ピリカラゴボウノピリカラニー!」
七瀬 毱奈「だからそんな呪文で良いのかよ!っつーかピリカラ2回も言ってんじゃねーか!」
〇月夜
阿来馬 月夜「ふふっ、お前の矮小な願いを叶えるのも悪くないひと時だったぞ」
阿来馬 月夜「これからは自力で良き友を作ってみるがいい」
阿来馬 月夜「では、さらばだ」
〇寮の部屋(ポスター無し)
七瀬 毱奈「ああ、あばよ・・・・・・」
七瀬 毱奈「・・・・・・」
七瀬 毱奈「礼の一つくらい言ってやれば良かったかな」
〇教室
阿来馬 月夜「いや、礼には及びませんわ」
七瀬 毱奈「ズッコーン!」
七瀬 毱奈「帰ったんじゃねえのかよ!」
阿来馬 月夜「だって、これが『代償』ですもの」
七瀬 毱奈「はあ?」
阿来馬 月夜「『お前の時間』を貰っていく事にした」
阿来馬 月夜「覚悟してもらおうか。なにせ私は・・・・・・」
阿来馬 月夜「そりゃあもう欲深い悪魔ですもの」
阿来馬 月夜「代償はたっぷり頂きますわ」
七瀬 毱奈「・・・・・・とんでもない奴と契約しちまったみたいだな」
なんだかんだ二人の相性がぴったりだなあ、と思っていたのでラストで両者の利害が一致して友達になったのには納得です。これがほんとの「悪友」ですね。
なんだかピリ辛な物が食べたくなる!
ラッキョウ食べたい。
願い事叶えた後帰ったかと思ったら🤣
呪文のクセが強く、レパートリーが豊富で面白いです!
どれもご飯のお供に合いそうです(笑)
自分はゴボウのピリ辛煮が好物です✨
悪魔の儀式はロクな事が無いとは言いますが、彼女の場合は友達ができてグッドエンドなのでしょう……きっと。