巌流島(脚本)
〇テレビスタジオ
続いてはガジェット漫才 巌流島のお二人でーす
こじろう「待たせたな」
きゃー
むさし「わしな最近パソコンで漫才の原稿書き始めてん」
こじろう「おう、よく小脇にラップトップ抱えてるの目にするな」
むさし「最初は紙、ノートにネタを書き溜めてたんやけどな ノートは冊数が増えてくると管理が面倒やねんな」
こじろう「せやなー、駆け出しのころはよくこいつんちでネタを考えてたんやけど こいつが横着で掃除をせえへん」
こじろう「「のおと、のおと」ってノートを よくなくすねん」
むさし「そんで今度はスマホ スマホはいつも肌身離さず持ち歩くやろ だからなくさへんし」
むさし「文章も無限に保存できる 検索も容易や」
こじろう「せやねん、こいつ 一時期、ずーとスマホで一日中ゲームしてんのかと思ったら」
こじろう「いきなりスマホに向かって独り言 言い出して 気が狂ったかと思うたわ」
むさし「うーん、わしフリック入力が苦手やねん そんで、いっそ音声入力に変えてみよかな思ってな」
むさし「でもな」
むさし「東京特許許可局いうやろ」
むさし「でもあいつ」
むさし「東京トルネード渡嘉敷くん って認識しよるねんなー」
こじろう「それはお前の活舌が悪すぎや」
むさし「そんで結局パソコンに落ち着いてん」
こじろう「そうなんですよ、こいつ 器用に人差し指だけで原稿書くんですわ」
むさし「しかもなー パソコンとスマホってデータの共有できるんで フラーっとどっかでかけても」
むさし「ネタを思いついたら スマホにぱぱーっとメモしておくだけで パソコンですぐに編集作業ができるんですわ」
むさし「便利な世の中になったもんで」
こじろう「ほんま、こいつもすっかりIT坊やですわ」
むさし「そんで最近ちょっと不可解なことがあってん」
こじろう「なに?」
むさし「なんかな、見られてるような気がするねん」
こじろう「原稿が?」
むさし「わしらって舞台に上がるときスマホを楽屋に置いていくやん?」
こじろう「そうなんですよ 万が一、着信音が鳴ったりしたら大変ですからねー」
むさし「そんで、たまにメモの位置とかが微妙に変わってる時がある気がすんねんな」
こじろう「こわ!産業スパイってことかいな」
むさし「うん、でもパスワードでロックしてるし ロッカーにしまってるやろ」
むさし「ほんで、まさかの通信傍受かと思うて VPNを導入して・・・」
こじろう「ないないない!わしらの漫才にそんな大掛かりな 産業スパイのかかわる余地ない!」
むさし「せやねん 結局、これでしたわ」
こじろう「あー、ゆいちゃんね」
こじろう「こいつ、コンビ結成前からずぅっと付き合ってる ゆいちゃんいう彼女さんがおるんですけどね」
むさし「最近わしらもぼちぼち売れ出したやろ」
こじろう「手前味噌ですけどね、こうしてテレビにもちょくちょく出してもらえるようになって」
むさし「そんで、ゆいのやつがどうやら嫉妬し始めたみたいなんですわ」
こじろう「あー、よくあるやつやね 売れ出すと地方営業行くたびに 現地妻ができたりして」
むさし「ほんで、家に来るたびにパソコンやらスマホのぞくようになったみたいで」
むさし「挙句の果てにはGPSロガーですわ」
こじろう「GPS! そこまで行動監視されてお前どうすんの?」
むさし「どうもせえへんよ、やましいことしてるわけでもなし」
むさし「そんでな、監視されてることを逆手にとって なんか意趣返しできへんかなと思ってな」
こじろう「プリズンブレイクかー」
むさし「監視されてるっちゅうことは 逆に言うと監視を逃れさえすれば自由ってことやろ」
こじろう「まあね」
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