読切(脚本)
「──チェックメイトですわ、お姉サマ」
〇豪華な部屋
御楽院 始終「・・・」
御楽院 欠無「あらあら、お姉サマ。お黙りになるとは珍しい」
御楽院 欠無「それとももう諦めになりまして?」
御楽院 始終「まだ勝負は終わってない」
御楽院 始終「結論を急ぐのは良くない癖だぞ、欠無」
書記「えっ、えっ、いったいなにが起きたんです?」
生徒会長「御楽院の姉、始終と妹の欠無による究極【アルティメット】鬼ごっこ・・・」
生徒会長「その決着がついたところだよ、書記くん」
書記「でもゲームは始まったばかりじゃ!?」
〇大きな木のある校舎
生徒会長「究極鬼ごっこは誰もいない学校で行われる」
〇学校の廊下
生徒会長「妹の欠無が選んだ甲、乙、丙の3人の鬼が、」
〇田舎の学校
生徒会長「姉の始終が選んだα、β、γを追いかけるのが、究極鬼ごっこだ」
生徒会長「そして今──」
生徒会長「開始5分にしてβとγが捕まり、残りはαひとりとなった」
〇豪華な部屋
書記「でも、どうしてそんなに早く?」
書記「彼らだって隠れていたはず!誰か見てなければ見つからない!」
生徒会長「確かに敷地内には審判と中継スタッフ以外は入れないが・・・」
御楽院 欠無「そんなの簡単ですわ」
〇見晴らしのいい公園
御楽院 欠無「学園の敷地外で私の親衛隊が大勢見張っているのですもの!」
御楽院 欠無「グラウンドは広いですが、そんな周りから見えるところに隠れたのは下策でしたわね」
〇豪華な部屋
書記「──!?」
生徒会長「確かにルール違反ではないな」
御楽院 欠無「これで次期生徒会長の座は私のものですわね!」
書記「ところで生徒会長を決めるのに、なんでこんなことを?」
生徒会長「私が決めた。面白そうだから」
書記「はぁ・・・」
御楽院 欠無「残るはαですが、時間の問題です」
書記「βとγはまだ動けるんですよね」
生徒会長「動けるが、この状況でαの所へ行けば場所を知らせるようなものだ」
御楽院 欠無「クズふたりはグラウンドでオロオロするばかり」
御楽院 欠無「αの位置をクズたちに教えなかったのはナイスでしたわね」
御楽院 欠無「ですが・・・」
〇学校の廊下
御楽院 欠無「私が選んだ甲乙丙はいずれも実力者ばかり」
御楽院 欠無「それに比べてγは天体観測が趣味の根暗男」
御楽院 欠無「βはラーメンが好物の肥満巨漢」
御楽院 欠無「αだけは普通ですが、それでも甲乙丙には遠く及ばない」
御楽院 欠無「所詮クズどもでは実力者には勝てませんわ」
〇豪華な部屋
御楽院 欠無「全校生徒にお姉サマに協力しないよう根回しした甲斐がありましたわ!」
御楽院 欠無「αはうまく校内に隠れたようですが、すぐに見つけますわ」
御楽院 欠無「なにせ外から覗きやすい校内ですもの」
書記「どうしてそんな覗きやすい設計に?」
生徒会長「私がした。面白そうだから」
書記「今すぐリコールされてください」
御楽院 欠無「脱落したクズふたりの監視を外してαを探すように命令しました」
御楽院 欠無「これで私の勝ちですわ」
御楽院 始終「・・・ふふっ、見つかるといいね」
〇豪華な部屋
御楽院 欠無「・・・」
御楽院 始終「制限時間は30分。25分経って残り5分だ」
御楽院 始終「どうした。すぐに見つけるんじゃなかったのか?」
御楽院 欠無「外から見えない死角は全て調べたはず」
御楽院 欠無「もし移動すれば外から見つかる」
御楽院 欠無「なのに、どうして・・・」
御楽院 始終「欠無、お前はもっと頭の良い奴だと思ってたよ」
御楽院 始終「期待外れだ」
御楽院 欠無「ぐっ、くうう!」
御楽院 欠無「私はまだ諦めてませんわよ!」
御楽院 欠無「隠れてるわけじゃない。移動はしている。でも見つからない・・・」
御楽院 欠無「見られても問題なく移動できる・・・?」
御楽院 欠無「──分かりましたわ!」
〇学校の廊下
乙【オツ】「クソが!!どこにいやがる!!」
御楽院 欠無「──審判」
御楽院 欠無「審判を探してくださいまし!αは審判に変装してます!」
審判「──!!」
乙【オツ】「反応しやがったな!?テメーがαか!!」
審判「・・・やば」
α【アルファ】「始終!すまん!バレた!」
〇豪華な部屋
御楽院 始終「残り5分を切ってる。力の限り逃げたまえ」
御楽院 欠無「無駄ですわ。精鋭3人がαを追い詰めています」
御楽院 欠無「αが辿り着く場所はただひとつ──」
〇学校の屋上
御楽院 欠無「逃げ場のない屋上ですわ」
甲【コウ】「α、よう頑張った。でも終わりや」
乙【オツ】「舐めた真似してくれたじゃねえか!!」
丙【ヘイ】「αきゅん・・・今行くね」
〇豪華な部屋
御楽院 欠無「私はいつもお姉サマの下でしたわ」
御楽院 欠無「勉強も運動も芸術も、遊戯さえも勝てない」
御楽院 欠無「常に私は上【アネ】を見てきてたのに、お姉サマは誰も見ていない」
御楽院 欠無「何者も視界に入らないお姉サマはひとりぼっち・・・」
御楽院 始終「・・・」
御楽院 欠無「でも、それも今日でおしまい」
御楽院 欠無「全てはこの時の為に──」
御楽院 欠無「アナタに勝つ為に!!アナタに並ぶ為に!!」
御楽院 欠無「アナタに私を見てもらう為に!!」
御楽院 欠無「勝たせてもらいます!お姉サマ!」
〇学校の屋上
御楽院 欠無「さあαを捕まえるのです!」
〇豪華な部屋
御楽院 始終「流石は我が妹。見事な手際だった」
御楽院 始終「確かに私は文武両道、眉目秀麗、完璧超人のお姉サマだ」
御楽院 始終「私にとっては全人類が下であることは認めよう」
御楽院 始終「ただしひとつだけ欠無さえも誤解していることがある」
御楽院 欠無「誤解・・・?」
御楽院 始終「欠無が常に私を見てきたように──」
御楽院 始終「私もずっと下【イモウト】を見ていたよ」
〇学校の屋上
α【アルファ】「・・・」
乙【オツ】「消えた!?」
丙【ヘイ】「いや、違う」
甲【コウ】「アイツ・・・」
〇空
甲「飛んだんや!」
α【アルファ】「うわああああ!!」
〇大きな木のある校舎
γ【ガンマ】「あと3歩前です、β!」
β【ベータ】「ぬおおおお!!」
α【アルファ】「し、死ぬ・・・」
γ【ガンマ】「でもナイスキャッチでしたよ」
β【ベータ】「いくらおデブだからって受け止めるの無茶があるよぉ」
〇豪華な部屋
御楽院 欠無「そんな・・・」
書記「残り時間は30秒。下まで降りる時間は・・・」
生徒会長「決まり、だな」
御楽院 欠無「・・・今回も私の完敗、ですわ」
御楽院 始終「欠無の敗因はもう分かっているな」
〇学校の屋上
御楽院 始終「確かに欠無の人選は見事だ」
御楽院 始終「優秀かつ精鋭・・・だからこそ見落とした」
〇大きな木のある校舎
御楽院 始終「最初に脱落したふたりをクズとみなし──」
御楽院 始終「放置してしまった」
御楽院 始終「真に警戒するべきは彼らだった」
〇豪華な部屋
御楽院 始終「上に立つ者ならば、下の者の素質を見極めなければいけない」
御楽院 始終「優秀な人間で囲うのもいいが、たまには下を見てみるといいさ」
御楽院 始終「その時にもう一度勝負しよう、我が妹」
御楽院 欠無「うっ、うぅ・・・」
御楽院 欠無「流石ですわ、お姉様サマ!」
御楽院 欠無「私、一生ついていきます!」
生徒会長「おや、ふたりはいがみ合ってるはずでは」
書記「会長も割と鈍いですね」
書記「どう見ても相思相愛の姉妹ですよ」
御楽院 始終「それと私はαと付き合うことにしたから、会長の座は欠無に譲ろう」
御楽院 欠無「えっ、はっ?つ、付き合う?」
御楽院 欠無「──絶対」
御楽院 欠無「そんなこと絶対許しませんわー!!」
美少女姉妹のイザコザやイチャイチャって絵になりますね。始終と欠無というネーミングもかっこいい。あと、生徒会長と書記が進行役と解説者みたいで何気に重要な役回りでしたね。生徒会長はスカしているけど微妙にポンコツな感じで面白かったです。
とてもテンポ良く読ませていただきました!
姉妹愛、いいですね…☺️
追い詰めた所からの逆転劇。
最後のやり取りはニヤニヤしっぱなしでしたね。
姉妹の決闘もっと見たいです。