強引に編集してくる賞子さん

スヒロン

エピソード1(脚本)

強引に編集してくる賞子さん

スヒロン

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〇教室
  舞姫は、スマートフォンに必死に漫画を描いていた。
四条舞姫「早く描かないと・・・」
編州賞子「ねーえ、舞姫え?」
四条舞姫「あ、賞子さん!」
編州賞子「なあーにをコソコソと?」
  ニイ、と賞子の口角が悪魔のように上がる
編州賞子「隠れて漫画を描いてる!? あんた、私に隠れて何をやってるの!?」
四条舞姫「うぐ、ごめんなさい・・・!」
編州賞子「あんたの漫画なんか!」
編州賞子「あんたの作品は・・・」
編州賞子「そーぜつに面白いんだから、もっとみんなの前で堂々と書けと言ってるでしょ!!」
四条舞姫「う・・・でも」
編州賞子「あんたは天才なのよ! 何度言えば分かるの!?」
四条舞姫「けど、まだ賞には全然引っかからないし」
編州賞子「グッハハハハ!! そんなものは関係ないわ!」
編州賞子「あ、ほら。あんたの悪い癖よ! 少女雑誌は、線はもっと太め。特に顔の輪郭は!」
四条舞姫「そうか・・・!」
編州賞子「そして、なんでも台詞で表現するのもよくないわ!」
  ザワザワとざわめくクラスメイト
  おい、編州のヤツ、また舞姫ちゃんを責めてるぞ
  編州、美人だけど性格キツそうだしなあ
編州賞子「タイトルは『神のあとしまつ』?」
四条舞姫「あ、流行り映画のパロディだから」
編州賞子「あんたは、本当に・・・」
編州賞子「最高ね! このタイトルなら、誰でも食いつくわよ!!」
編州賞子「私に隠して、こっそり描いたら承知しないわよ?」
四条舞姫「は、ハイ!」
編州賞子「さあ、どんどんプロットを出してきな!」
四条舞姫「賞子さん・・・いつもどうして、そこまで編集してくれるの・・・?」
四条舞姫「けど、指示も的確だし、まるでプロ編集みたいだわ。ようし、もっと描いてみよう!」

〇教室
四条舞姫「さあて、今日は変わったプロットで描いてみた」
四条舞姫「賞子さんに怒られなければいいけど」
編州賞子「舞姫え! 今日もキッチリ持ってきたんでしょうねえ?」
四条舞姫「はい・・・」
編州賞子「もしもあまり進歩していなければ」
編州賞子「あんた、これはどういうこと?」
四条舞姫「う・・・」
編州賞子「クッキャキャキャ!」
  怪鳥のような、賞子の声
編州賞子「こんな面白いギャグ、読んだこともないわよ ケッヘヘ!」
四条舞姫「その笑い声・・・誤解されるよ? 賞子さん!」
編州賞子「周りなんて、どうでもいいのよ! これなら、どのコンクールでも通る!」
編州賞子「クッキャキャキャ! タイトル『人情街道』で親子ものと思わせての超絶ギャグ!」
編州賞子「私の見込んだ舞姫ね! キイエッヘヘ!」
四条舞姫「クラス1の美人なのに、何故そんな笑い方に?」
編州賞子「じゅるるる。あんたのこの玉稿を編集できると思うと、ヨダレが垂れてくるわ」
編州賞子「けれど、あんたの目標を忘れちゃ駄目よ。それはズバリ、世界一の漫画家になること」
四条舞姫「そんな目標だっけ!?」
編州賞子「けれど、CG絵だからこそ、さらに念入りに修正しないとね」
四条舞姫「ねえ、賞子さん?」
四条舞姫「賞子さんも、漫画を描いていたことがあるの?」
編州賞子「・・・」
四条舞姫「私、いっつも両親の帰りが遅いから、いつもスマホをいじってる内に、漫画を・・・」
四条舞姫「けど、出版社の人たち、スマホで描いた絵に抵抗があるみたいで、どこも受け付けてくれなくて」
編州賞子「まあ、古い体質だからね」
四条舞姫「どうして、色んなことを知ってるの?」
四条舞姫「やっぱり賞子さんも、漫画を?」
編州賞子「・・・漫画なんて、描いてるはずがない」
編州賞子「あんたは、そんなこと気にしなくていいの。さあ、けれどあんたは色付けが下手ねえ。ここをこうして、さらに色彩感を・・・」
四条舞姫「スゴイ! いつも賞子さんの手にかかると、色使いが一気に変わるわ!」
四条舞姫「けれど、賞子さんを誤解されたくないわ」

〇豪華なリビングダイニング
四条舞姫「さあ、いよいよ仕上げないと」
四条舞姫「そうだわ・・・『なかぼん』の昔の受賞者を調べてみよう、何かヒントがあるかも」
四条舞姫「やっぱり昔の受賞作もレベルが高いなあ。この『色彩姉ちゃん』は独自の色使いだわ」
四条舞姫「え・・・? 作者『賞子と町子』・・・? そして、この色使いは・・・?」

〇教室
編州賞子「さあー舞姫。いよいよ、今日で仕上げるわよ?」
四条舞姫「いいえ賞子さん 残念だけど、今日で賞子さんからの編集はお断りするわ」
編州賞子「なな!?」
編州賞子「私なんか、もう要らないわよね」
四条舞姫「賞子さん、この第十回『なかぼん』で入賞作は?」
四条舞姫「この色使い。美人なのに物凄い笑い方のヒロイン!」
編州賞子「それは・・・」
編州賞子「いいえ、それは私の妹との共同作品よ」
編州賞子「私の妹は、天才だった 変な笑い方でクラスで浮いていた私を、上手くヒロインに仕立てた物語を」
編州賞子「けれど、病弱な妹はその作品を最後に亡くなった! 私は色付けだけ! 妹との共同作品として『色彩姉ちゃん』を!」
四条舞姫「私を、妹さんの代わりに?」
編州賞子「いいえ・・・私は、漫画の上手いあんたが隠れてコソコソと描いてるのを見ると、昔の私を見ているようで」
編州賞子「けど、私なんかの編集、もはや必要ないわよね」
四条舞姫「ねえ、賞子さん・・・今回も共同作として出さない?」
編州賞子「え?」
四条舞姫「私、ペンネームを考えてみたの!」
編州賞子「え・・・? 編舞姫子・・・?!」
四条舞姫「だって、キャラデザインも色付けもほとんど賞子さんがやってくれてるのに、私だけの作品じゃないよ!」
編州賞子「けれど、私なんかじゃ・・・」
四条舞姫「今まで、賞子さん程に漫画の知識がある人は見たことないわ!」
四条舞姫「私は、自分の友達を誤解されたくないわ賞子さんの凄さを、みんなに知って欲しい!」
四条舞姫「一緒に、世界No1の漫画家を目指しましょ?」
編州賞子「く・・・」
編州賞子「キエッヘヘヘヘヘ!! グッヒャヒャヒャ!!」
編州賞子「そこまで言うんなら、仕方ないわね! 共同作なら、さらに厳しくシゴくわよ!」
四条舞姫「うん!」
編州賞子「さあ、ここのギャグよ・・・! もっとオヤジギャグを前面に打ち出すべきだわ!」
編州賞子「ここまで私を喜ばせて、覚悟しなさい! 舞姫! グハハハハハ!!!」
四条舞姫「うん!」

コメント

  • そこらへんの漫画のギャグよりも面白い賞子さんの笑い声はクセになりますね。グッヒャヒャ、クッキャキャ、キエッヘヘってどうやって発声するのかもわからないけど怪鳥になった気分で使ってみたい。

  • 舞姫の見た目が可愛らしい雰囲気なのに漫画の内容が超絶ギャグなのがギャップでおもしろかったです。
    キツいことを言うのかと思いきや、舞姫の漫画をとても褒めちぎる賞子のキャラもおもしろくて好きです。
    これから2人でたくさん面白い漫画を作って欲しいと思いました!

  • 美少女だろうがなんだろうが、他人の目を気にせず自分の好きなように生きるって凄いなぁ。
    きっとお互いが天才なんだろうな、類は友を呼ぶ?

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