3日目(脚本)
〇ファミリーレストランの店内
あきらを見送るとぼくはメニューを取り出し
今日の晩御飯を選び始めた
しばらくして
何かが激しく衝突する音と
窓越しに伝わってくるびりびりという
振動に驚き外を見た
言いようのない不安に駆られて席を立った
財布から小銭を取り出す手が小刻みに震えた
〇海岸線の道路
外に出ると
冬の外気をまとった霧雨が肌を突き刺した
ぼくは衝撃を感じた方角を向いて歩きだした
足取りは重い
皮膚を刺す寒気とは裏腹に
歩を進めるたびにみぞおちにたまっていく
生ぬるく息苦しいもやのような感覚
やがてぼくは見知らぬ異世界に迷い込んだ
みなれない道
知らない店
知らない看板
ぼくを異世界から引き戻したのはひときわ明るい光だった
いや光の粒たちか
大きなT字路に人だかりができている
街灯の光
さわぎで秩序を失った車のヘッドライトの光
歩道のやじ馬たちのスマホの光
思い思いの方向に発せられた光だったけれど
その光に照らされた顔は必ずある一点を向いていた
ぼくが無意識に目をそらしていた一点に
トラックだった
トラックは何かの外壁に頭から突っ込んでいた
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