ただ君を守ろうと

三ツ木沢

ただ君を守ろうと(脚本)

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〇黒
「もしもし」
「成績表と健康診断結果、確認しました。 いずれも良好ね」
「今後ともこの水準を維持すること」
「じゃあ、また来月に・・・どうしたの?」
「一緒に食事?」
「あなた何か勘違いしてない?」
「姉さんたち・・・あなたの両親が事業で世界を回っているから、私が代わりに指導監督にあたっているだけ」
「血縁関係上やむを得ないと思っているけど、なれなれしくしないでくれる?」
「変な下心を持つ暇があったら、同じ学校のOGでもある私の顔を潰さないよう学業に励むこと!」
「それじゃあ、改めて来月」

〇教室
謎の少女「うわあ・・・怖いねえ。これが君の叔母さんかあ」
主人公「あいつとの会話はいつもこんな調子さ。こっちから打ち解けようとしても・・・無駄だった」
謎の少女「ねえ、どんな顔してるの?写真とかある?」
主人公「持ってるわけないだろ!」
謎の少女「あ、そ、そうだよね・・・最後にあったのが小学生の頃?顔もあんまり覚えてないよね・・・ごめん、変なこと聞いちゃったね」
主人公「い、いや・・・僕も怒鳴って悪かったよ」
主人公「こんな話ばかりして、謝るのは僕の方だよな・・・」
謎の少女「ううん、気にすることないよ! むしろ・・・私に言えてほんの少しでも心が楽にならなかった?」
主人公「それは・・・」
謎の少女「よかったあ」
謎の少女「この教室で君と初めて会ったときは、夕日がとってもきれいとか他愛もない話で終わったけど、なんか、心が暖かくなったんだよ」
謎の少女「教室に夕日が差し込むと、体がポカポカするけどさ、私、心もポカポカするようになってたんだよね」
謎の少女「これからも悩みを素直に打ち明けてくれていいんだよ」
主人公「ありがとう・・・」
謎の少女「辛かったら、また会おうね。心を温め合お?」

〇空
  実を言うと、僕は彼女のことをほとんど知らない。
  制服は間違いなくこの学校のものだが、知り合いに聞いてみても、誰も彼女のことを知るものはいなかった。
  まさに秘密に包まれた存在。
  だがそんなことはどうでもよかった。
謎の少女「ねえねえ、どうしたの?」
謎の少女「なんでもないって、うそでしょ」
謎の少女「顔を見ればわかるよ。悩んでます。苦しいですって」
謎の少女「話すだけでも、気が楽になるよ」
謎の少女「私は誰かって?あなたの方こそだあれ?」
謎の少女「互いに秘密にしておいたほうが、気楽に話せない?」
  彼女は、彼女だけは、親が金持ちだ、文武両道の優等生だと、人を表面からしか見ない連中とは違う。
  彼女との、放課後の空き教室でのひとときは、自分のすべてを打ち明けられる、大切な時間だった。

〇空
  それなのに・・・

〇教室
謎の少女「そっか・・・」
主人公「・・・」
謎の少女「私たちのことがばれちゃったんだ・・・」
主人公「ああ・・・」
謎の少女「叔母さんは私のことも全部知っているんでしょ?なんて言ってた?」
主人公「僕が知る必要はないって。それより貴重な学習時間を浪費して、恥ずかしいとは思わないのかって」
謎の少女「ははは・・・言われちゃったね」
謎の少女「こうなったらしかたないね」
謎の少女「お別れパーティーってことで、どっか行こ」
謎の少女「たまには空き教室以外でも話したいなって、色々探してたの」
謎の少女「こんな喫茶店でスイーツをぱくついたり」
謎の少女「そ、その後はアクセサリーショップを見てま、わったり・・・」
謎の少女「プレゼントに奮発してもらったら、いよいよあなたとお別れ・・・」
主人公「しない!」
主人公「いや、させない!」
主人公「もうあいつの好きにさせるもんか、必ず君のことを認めさせる!」
謎の少女「本当・・・?信じていいんだね・・・」
主人公「ああ、もうあいつの好きなようにはさせない!君を絶対守り抜いてみせる!」

〇宇宙空間
  叔母に、直接話したいことがあるから自宅に来てくれとメールを入れると、今日の日付と時刻だけが返信されてきた。
  僕が何を話したいか、検討はついているだろう。
  今夜というのは意外だったが、そんなことで怯んでいられない。
  どんなことがあっても、彼女を守り抜く。

〇高級マンションの一室
謎の少女「初めて君のうちに来たけど・・・豪華だねえ」
主人公「家には金はあるのさ。金だけは・・・」
  そのまま僕らは待った。
  なぜだ?なぜ来ない?
  時間に遅れた試しのない人なのに・・・
主人公「くそっ・・・」
謎の少女「うふふ、慌てるのもしょうがないよね」
叔母「あなたと話すときはいつも時間ぴったりに通話を始めてたからね」
叔母「完全に固まっちゃったか」
謎の少女「やっぱりオバさんの制服姿なんて、 若い男の子が見たら引いちゃうのかなあ」
謎の少女「なんてね。やっとわかった?」
謎の少女「あなたのガールフレンドの正体は君の叔母さんでしたー」
謎の少女「そんなに驚かなくてもいいでしょ、私と姉さんが何歳違いだと思ってんの?」
謎の少女「あなたとは姉弟と言っても通るよ」
主人公「な、なんでこんなことを・・・」
謎の少女「私と同じ学校に入ったって聞いて、運命を感じたの」
謎の少女「忍び込んだら、すぐにあなたと出会えた。やっぱり惹かれあっているんだよ、私達」
謎の少女「楽しかったし、懐かしかった。制服も、遅刻したとき使った抜け道も、なにも変わってなかった」
謎の少女「でも、あなたが本格的に私のことを調べ始めれば、こんな嘘すぐにばれる」
謎の少女「だから、仕上げに入ったの」

〇手
謎の少女「あなたが小学生の時からずっと狙っていたんだから」
謎の少女「誰にも渡さない。 絶対に離さない・・・」
主人公「ぼ、ぼくはどうすれば・・・」
「簡単よ」
「私を堅く抱きしめて誓ったでしょ、 どんなことがあっても君を守るって」
「あなたは勇気を振り絞って私から私を・・・フフフ、守ってくれたんだから、 あとはずっと一緒にいてくれればそれでいいのよ」
「・・・二人でゆっくり、あの教室で夕日を眺めましょう」

コメント

  • ミステリアスな少女との穏やかな空気感からの突然の展開、驚きと恐怖感に襲われました。この落差の大きさが一層の衝撃を与えてくれますね。

  • 突然ホラーになる急展開よかったです!
    びっくりしますよね。
    読んでてまさか!みたいな感じになりましたから笑
    いくら若くても、叔母さんが制服着て学校に来てるとは考えつきませんよね。

  • 途中まですごい良いカップルだなぁ、青春だなぁと思っていたのですが…汗
    いつの間にかホラーになってて…いやでも年齢は関係ない…いけます…笑

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