ハッピーエキサイティン~恋する乙女は戦略家!?~(脚本)
〇教室
トシ「おーい、ナツ好みのマンガ描いたぜー!」
ナツ「お、マジか!」
ナツ「ジャンルは?」
トシ「お色気マンガ」
ナツ「おいこら」
フサコ「あらあら、ナツヒコ君も男の子ねん♪」
ナツ「あんた誰だよ?」
トシ「ナツ・・・オレは悲しいよ」
ナツ「何で?」
トシ「オレが描いたマンガで興奮するなんて・・・」
ナツ「・・・何だと?」
トシ「え?」
ナツ「自分の描いたお色気マンガで興奮される なんて、本望じゃないのか?」
トシ「え? え?」
ナツ「全お色気マンガ家に謝れぇぇぇ!!」
トシ「ゔゔ・・・ごべんなざぁぁい・・・!」
トシ「恥ずがじがっだがら ごまがじまじだぁぁぁ・・・!」
ナツ「恥ずかしがることはない」
ナツ「お色気マンガは・・・世界を救う」
トシ「うん・・・!」
ナツ(かわいいやつめ)
〇通学路
ハッピー♡エキサイティン
~恋する乙女は戦略家!?~
メグミ「私の名前は折笠恵(おりかさめぐみ)!」
メグミ「春峰高校(はるみねこうこう)に通う 高校1年生!」
メグミ「みんなからはメグメグって呼ばれてるよ!」
メグミ「きゃー! 風でスカートがめくれたー!」
ナツ「そうはならんだろ」
トシ「暴風なんだよ」
ナツ「世界滅ぶよ?」
〇通学路
タクヤ「メ、メグミッ!?」
ナツ「暴風だったわ」
トシ「な?」
ナツ「やかましい」
〇通学路
メグミ「スカートの中覗いたでしょ〜!?」
メグミ「もぉ、えっちなんだからぁ〜!」
タクヤ「こ、これは誤解だよ!」
メグミ「ふーんだ! 次はないんだからねっ!」
ナツ「この世界では服が吹き飛ぶのが普通なの?」
トシ「ハプニーング!」
ナツ「そんな『サプラーイズ』みたいなノリで 滅亡のインシデント語られても・・・」
トシ「『滅亡のインシデント』・・・」
ナツ「勢い任せのセリフ拾わないで」
トシ「すまんすまん」
トシ「この世界は風が強くて たまに衣服がはだけてしまうんだ」
トシ「通称『滅風(めっぷう)のインシデント』」
ナツ「やめろー!!」
〇更衣室
メグミ「次はプールだ! 着替えないと!」
ナツ「冬服着てるけど?」
トシ「温水プールさ」
ナツ「へぇ」
トシ「な、何だよ、その目は?」
ナツ「別にぃ〜?」
トシ「・・・・・・」
ナツ「じぃ~」
トシ「・・・うぅ、いじめないでぇ〜!」
ナツ(かわいいヤツめ)
〇更衣室
タクヤ「さてと、水着に着替えるか」
タクヤ「男子更衣室は確か──」
メグミ「え・・・!?」
タクヤ「え・・・?」
メグミ「きゃー!! タクヤ君のえっちぃぃぃ!!」
タクヤ「こ、これは誤解だよ!」
タクヤ「いてっ!」
メグミ「あっ・・・!」
メグミ「タ、タクヤ君がいけないんだからねっ!」
タクヤ「ごめん」
タクヤ「でも、ここ男子更衣室なんだけど」
メグミ「え、ウソ・・・!?」
メグミ「・・・ホントだ」
メグミ「ご、ごめん」
タクヤ「あ、いや、こっちこそノックしないで ごめん」
メグミ「う、うん」
メグミ「でも、入ってきたのがタクヤ君で 良かった」
タクヤ「え、何か言った?」
メグミ「べ、べ、別にっ!」
メグミ「いつまで覗いてるのよ!」
メグミ「早くあっち行って!」
タクヤ「あ、ああ、ごめん・・・!」
タクヤ「ああっ! 足が滑ったぁ!」
タクヤ「・・・いてて」
タクヤ「あれ? なんか柔らかい・・・?」
メグミ「〜〜〜!」
タクヤ「ご、ごごごごご、ごめんっ!!」
メグミ「タ〜ク〜ヤ〜く〜ん」
メグミ「今日という今日は許さないんだからぁ!!」
タクヤ「ひょえ~!」
ナツ「ベッタベタ!」
ナツ「二重の意味でベッタベタ!」
トシ「ほう?」
トシ「王道である『ベタ』と密着している 『ベッタベタ』をかけたってことか」
トシ「さすがナツ、頭の回転が早いな」
ナツ「解説するなー!」
〇男の子の一人部屋
タクヤ「・・・ん?」
メグミ「タクヤ君ッ!?」
タクヤ「メグミッ!?」
タクヤ「どうして部屋にッ!?」
メグミ「きゃあああああああああッ!!」
メグミ「タクヤ君のえっちぃぃぃぃぃ!!」
タクヤ「ごふッ!」
〇通学路
タクヤ「遅刻する~!」
メグミ「タクヤ君、遅いぞ~?」
タクヤ「メグミッ!?」
タクヤ「さっきまで部屋にいたのにッ・・・!?」
タクヤ「わぁ! こんなところに石が!」
メグミ「えっ──!?」
タクヤ「うっ・・・! ち、窒息する・・・!」
メグミ「〜〜〜!」
メグミ「タ〜ク〜ヤ〜く〜ん!」
メグミ「この・・・えっちぃぃぃぃぃぃ!!」
タクヤ「がっは!」
〇学校の廊下
タクヤ「部活に遅れる~!」
タクヤ「あ! バナナの皮がぁ!」
メグミ「あ、タクヤ君、これから部活──?」
タクヤ「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」
メグミ「えっ!?」
タクヤ「・・・なんか、やらかい」
メグミ「〜〜〜!」
メグミ「タ〜ク〜ヤ〜く〜ん!」
メグミ「この・・・えっちぃぃぃぃぃぃ!!」
タクヤ「ぐはあッ!!」
メグミ「成・敗」
メグミ「・・・・・・」
メグミ「もおっ! タクヤ君ったら・・・!」
ナツ「そうはならんだろ」
トシ「なるんだよ」
ナツ「あ、うん、そう・・・」
トシ「そろそろナツもムラムラしてきただろう?」
ナツ「声がデカい」
ナツ「視線が痛い」
トシ「やったな!」
ナツ「やってくれたなぁ!?」
〇高い屋上
タクヤ「話って何?」
メグミ「あのね、私──」
メグミ「興奮すると、頭が良くなるの」
ナツ「何そのカミングアウト!?」
ナツ「お色気マンガ特有の謎設定!」
〇高い屋上
タクヤ「実は俺も・・・興奮すると、強くなるんだ」
ナツ「お前もか!」
ナツ「何コレRPG?」
トシ「お色気マンガだぞ?」
ナツ「知っとるわい!」
〇高い屋上
メグミ「私たち・・・相性いいね」
メグミ「タクヤ君とだったら、私──」
タクヤ「え? 何だって?」
メグミ「I don't care any more! (んもぉっ! 知らなぁいっ!)」
タクヤ「Just a minute, Megumi! (ちょ待てよ、メグミ!)」
トシ「タクヤは興奮し過ぎると耳が悪くなるんだ」
ナツ「酔ってんじゃない?」
トシ「強さの代償さ」
ナツ「代償払ってんのメグメグじゃね?」
ナツ「てかこれファンタジー?」
トシ「お色気マンガだ」
ナツ「そう・・・か?」
〇闇の要塞
こうして私たちは魔王の城にまで
やってきた。
ナツ「ファンタジーじゃねーか!」
トシ「はっは! 騙されたな!」
トシ「『滅風のインシデント』なんて 非現実的だろう?」
ナツ「・・・・・・」
トシ「ぐえっ!」
ナツ「なんかむかつく」
トシ「ひどいっ!」
〇神殿の門
魔王「ぐふっふっふっ!」
魔王「かわいいなぁ、かわいいなぁ!」
魔王「そのおなごを我が奴隷にしてくれるわ!」
タクヤ「そうはさせない!」
タクヤ「メグミは俺のものだ!」
メグミ「タクヤ君・・・!」
タクヤ「興奮するほど俺は強くなる!」
タクヤ「つまり──戦うほど強くなるってことさ!」
タクヤ「うぉぉぉおおおおおお!!」
魔王「矮小な人間がっ!」
メグミ「タクヤ君、後ろッ!!」
タクヤ「え!? 何だって!?」
タクヤ「ぐはぁっ!」
魔王「我に勝つなど笑止!」
魔王「捻り潰してくれるわ!」
タクヤ「ぐっ・・・!」
タクヤ「な、何だって・・・!?」
メグミ「タクヤ君、危ないっ!!」
タクヤ「え!? 何だって!?」
タクヤ「ぐわぁぁぁぁぁぁっ!!」
メグミ「タクヤくぅぅぅぅん!!」
ナツ「メグメグ、足引っ張ってない?」
トシ「ヒロインとはそういうものさ」
ナツ「ひどい偏見」
〇神殿の門
タクヤ「これで、トドメだーッ!」
魔王「ぐわわわわわわわぁ〜!」
タクヤ「これが・・・俺たちの力だ」
メグミ「タクヤ君! やった!」
ナツ「どうやって勝ったの?」
トシ「愛の力だよ」
トシ「ナツにはまだ早いかもな」
ナツ「いや、オレ彼女いるし」
トシ「えっ!?」
トシ「・・・・・・」
トシ「そ、そう、か・・・なら、わかるな」
トシ「ははっ・・・はっ、は・・・」
トシ「・・・しゅん」
???(はは、オレに彼女なんているわけないだろ)
ナツ(からかいがいのあるヤツめ)
ナツ(・・・しゅん)
〇神殿の門
タクヤ「ぐぅ・・・!」
メグミ「タクヤ君っ!?」
メグミ「何で!? 致命傷は負ってないのに!」
タクヤ「興奮するということは血の巡りが早くなるということ」
タクヤ「それを繰り返せば徐々に寿命は縮んでゆく」
タクヤ「わかっていたことだよ」
メグミ「そんな・・・やだ、やだよぉっ・・・!」
メグミ「きゃあ!」
メグミ「・・・ほら、タクヤ君」
メグミ「興奮するほど強くなるんでしょ?」
メグミ「だったら、もっと私を見て、触れて、 感じて・・・!」
タクヤ「・・・・・・」
メグミ「お願い、だからっ・・・!」
メグミ「私、興奮するほど頭が良くなるなんて ウソなの・・・」
メグミ「特殊な能力なんて、私にはない」
メグミ「ホントは、タクヤ君と、もっと・・・!」
タクヤ「・・・・・・」
メグミ「バナナの皮仕込んだのも」
メグミ「小石を並べておいたのも」
メグミ「全部私・・・私なんだよ?」
メグミ「暴風を吹かせたのだって──」
ナツ「神様なの?」
ナツ「天候操るとか、すごすぎでしょ」
トシ「ちょっとマンガ貸して」
ナツ「ん? ああ・・・」
トシ「かきかき」
トシ「ほら」
〇神殿の門
メグミ「バナナの皮仕込んだのも」
メグミ「小石を並べておいたのも」
メグミ「全部私・・・私なんだよ?」
メグミ「『滅風のインシデント』だって──」
ナツ「ト〜シ〜ナ〜リ〜!」
ナツ「お前今書き直したなぁ〜!?」
トシ「ご、誤解だっ!」
ナツ「んもぉ〜!」
ナツ「今日という今日は許さないんだからぁ!」
トシ「ぎゃああああ!!」
ナツ(・・・乗せられてしまった)
〇神殿の門
メグミ「私、ずっと・・・タクヤ君が好きでした」
メグミ「いや、これからもずっと・・・好きだよ」
メグミ「好きです」
メグミ「タクヤ君・・・」
メグミ「タクヤ君・・・!?」
メグミ「あ・・・」
タクヤ「生きてて、良かった・・・」
タクヤ「オレも、メグミが好きだよ」
タクヤ「だから・・・どうか、幸せに・・・」
タクヤ「なって、くれ・・・」
メグミ「タクヤ君・・・?」
メグミ「タクヤ君っ!!」
〇闇の要塞
メグミ「風が・・・泣いている」
メグミ「まるで、私の心模様・・・」
メグミ「Ah...」
〇魔界
メグミ「Yes, just now I’ve realized my feeling. (私は今、自分の気持ちに気付いたよ)」
メグミ「I just wanted to be with you forever. (ずっと一緒にいたかっただけだったんだ)」
メグミ「I’ve gotten smarter. (私・・・頭が良くなったよ)」
メグミ「Mr.Takuya... (タクヤ君・・・)」
メグミ「Our love is forever... (私たちの愛よ、永遠に・・・)」
ナツ「なんか『賢くなる=英語』ってのが バカっぽい」
トシ「やっぱフランス語にするべきだったか?」
ナツ「まずは言語から離れるところだな」
〇教室
トシ「どうだ、ナツ? 興奮したか?」
ナツ「興奮・・・というか、不覚にもキュンと してしまった」
トシ「やったぜ!」
ナツ「お前に、な」
トシ「え・・・!?」
フサコ「あんたたち、またバカやってるのね」
フサコ「よくも飽きないものだわ」
ナツ「あんた誰?」
フサコ「ま、せいぜい仲良くやるのね」
ナツ「だからあんた誰?」
トシ「ナツ、お前の気持ちはうれしいが」
トシ「その・・・オレは──」
ナツ「ん? ああ、さっきのウソだよ」
トシ「ッ!?」
ナツ「サプラーイズ!」
トシ「男の純情を弄びやがってー!」
フサコ「トシナリ君があんな顔するなんて 珍しいこともあったものね」
ナツ「まだいたのか」
トシ「オレが伝えたかったこと・・・」
トシ「それは──お色気は世界を救うってことさ」
ナツ「盗作野郎め! オレのセリフだぞ!?」
トシ「ええい、黙れぇ!」
トシ「食らえ! 滅風のインシデント!」
トシ「びょぉぉぉ!」
ナツ「オレのセリフだって!」
ナツ「・・・いや、いらないけど!」
トシ「びりびりびりびり!」
トシ「きゃあああっ!!」
ナツ「お前が脱ぐのかよ!」
トシ「原作再現♪」
ナツ「もう許してくれ~!」
メグメグみたいに大胆に色気たっぷりに意中の彼をグイグイ引き寄せられたいいのになあ。男子高生が抱く憧れの設定条件のようで、トシ先生の腕もなりますね。
いつにも増してトシとナツのイチャイチャぶりがすごくて、せっかくのお色気マンガのメグミとタクヤのイチャイチャが目立たなかったような気がする。フサコがいい味出してます。