シャーロット

がっさん

エピソード3(脚本)

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〇美しい草原
  ちょっと
  トウコ
  目、閉じちゃってるわ
トウコ「...!」
  そうそう
  もっと笑顔を作って
トウコ「こう?」
  いい感じいい感じ
トウコ「あ...」
トウコ「この子、寝ちゃってる?」
トウコ「ねぇ、また今度にしない?」
  いいのよ、このままで
  あなた、写真苦手だし
  次いつ撮らせてくれるかわからないでしょ
トウコ「だって...」
トウコ「私は別に」
トウコ「この子との思い出で十分よ」
  それは違うわ、トウコ
  写真はね
  思い出を確かなものにしてくれるのよ
トウコ「...」
  そして、時には生きるための力にもなる
  あなたの娘にとっても、ね
トウコ「...」
トウコ「そうかも、しれないわね」
シャーロット「...ふぇ」
トウコ「あ...」
トウコ「起こしちゃったわね」

〇赤レンガ倉庫
  この手紙を読んでいるということは
  先生に会えたのね
  あなたが生まれたときのお話、
  ちゃんと聞けたかしら?
  私も、昨日のことのように覚えているわ
  次は、親友のモニカを訪ねてみて
  彼女に大切な写真を預かってもらってたの
  きっと今もパブで飲んでるわ
由希「...」
由希「気まぐれで書いてないよね...?」
由希「パブ...か」
由希「そういえば」
由希「晩年までお酒を飲んでたって」
由希「トラックのおじさんが言ってたな...」

〇シックなカフェ
由希「あの、すみません」
由希「モニカという方はいますか?」
キーラ「...」
キーラ「あなた、日本人?」
キーラ「彼女とどういう関係?」
由希(関係...)
由希「私の母が、彼女の親友でして...」
由希「ええと...」
キーラ「...」
キーラ「残念だけど」
キーラ「彼女は行方不明よ」
由希「えっ」
キーラ「ここ2週間、店に来ていないの」
由希「そんな...」
キーラ「貯まったツケも返さないで」
キーラ「まったく...」
由希「...」
由希「彼女の行くアテとかは...?」
キーラ「さあ...?」
キーラ「彼女、撮影で転々としてるから」
キーラ「どこにいるのかわからないわ」
キーラ「今頃、珍しい動物でも追っかけてたりして」
由希「連絡先はわかりますか?」
キーラ「いいえ」
キーラ「彼女、携帯は持たない主義みたいなの」
由希「携帯も...?」
由希「そう、ですか...」
キーラ「...」
由希「...」
キーラ「何か飲む?」
由希「えっと...」
由希「ミネラルウォーターを...」

〇シックなカフェ
  大切な写真を預かってもらってたの
  写真...か
  連絡手段もないのに
  どうやって探せばいいの...?
  このまま待ち続けても...
  ...?
  ヴァイキング...?
男性「んがーーー!!」
男性「喉が乾いて死にそうだ!!」
キーラ「ビールでいい?」
男性「おう、1杯頼む!!」
キーラ「彼ね、本物のヴァイキングなのよ」
由希「えっ!?」
キーラ「...あっはは!」
キーラ「冗談よ」
キーラ「彼、結婚式のゲストよ」
由希「えっと...」
由希「どういう...?」
キーラ「ヴァイキングの結婚式」
キーラ「島ではよくやるのよ」
由希「知らなかった...」
由希(コンセプト結婚式...みたいな感じかな)
キーラ「そうだ!」
キーラ「あなた、せっかくだから参加してみない?」
由希「えぇ!?」
由希「いやいや、部外者が参加しても...」
由希「それに、こんな格好じゃ...」
キーラ「大丈夫!みんな自由な格好してくるし」
キーラ「ドレスコードなんて、誰も気にしてないわ」
キーラ「それに」
キーラ「祝いたい気持ちがあれば、みんな大歓迎よ」
由希「はぁ...」

〇養護施設の庭

〇養護施設の庭
神父「オーディンと古き神々の前にて」
神父「彼女をあなたの最愛の妻として」
神父「生きている限り、愛し、尊重し続けると誓いますか?」
新郎「はい、誓います」
神父「オーディンと古き神々の前にて」
神父「彼をあなたの最愛の夫として」
神父「生きている限り、愛し、尊重し続けると誓いますか?」
新婦「はい、誓います」
神父「神々があなたたちを見守り」
神父「どんな嵐も乗り切りますように」
神父「それでは、剣の取り交わしを」
由希(...剣?)
キーラ「先祖ヴァイキングの剣よ」
キーラ「剣は代々、一族で受け継がれるの」
キーラ「剣を取り交わすことは」
キーラ「家族同士のつながりを表しているのよ」
由希「なるほど...」
由希(家族...か)
由希(なんかいいな...)
新郎「将来の息子、娘へ受け継ぐために」
新婦「家族を護るために」

〇養護施設の庭
司会者「皆さま、これにて式典は終了です」
司会者「これより、宴会場へ移動します」
司会者「花嫁を先頭に、ご家族のみなさん」
司会者「準備はよろしいですか?」
司会者「位置について!」
由希「...?」
キーラ「何してるの?」
キーラ「走るわよ」
由希「えっ、ちょっ」
由希「ええっ!?」
キーラ「宴会場までの移動はレースなの!」
由希「な、何で?」
キーラ「ふふふっ」
キーラ「わからないわ」
キーラ「競争なんて、ヴァイキングらしいじゃない?」
由希「私は、その」
由希「部外者だから」
由希「見ているだけで十分よ」
キーラ「何言ってるの」
キーラ「ヴァイキングの強さは、家族の団結よ」
キーラ「ここにいるみんな、家族なの」
由希「...」
司会者「よーい...」
司会者「スタート!!」
キーラ「ほらっ、早く!」
由希「...!」

〇赤レンガ倉庫

〇シックなカフェ
由希「...」

〇養護施設の庭
由希「...」
由希「ふぅ...」
  訪ねるべき人が見つからない以上、
  私ができることは、何も無いかもしれない。
由希(いっそのこと、もう日本へ...)
キーラ「ハイ、ジャパニ」
キーラ「いい走りっぷりだったわね」
由希「えっと...」
キーラ「キーラよ」
キーラ「パブのオーナー」
由希「さっきはありがとう、キーラ」
由希「わたしは由希」
由希「旅行者で、それと...」
由希「...」
由希「トウコの、娘」
キーラ「...」
キーラ「そうだと思った」

〇沖合

〇養護施設の庭
由希「この島に来てから」
由希「ずっと振り回されっぱなし」
由希「いや」
由希「もしかしたら、生まれてからずっと...」
キーラ「そう...」
キーラ「ミッコ、オールセン先生」
キーラ「そして今度はモニカ...」
キーラ「トウコは一体何を考えているのかしら」
由希「さぁ...」
キーラ「...」
キーラ「ねぇ、ユキはさ」
キーラ「怖くなかったの?」
キーラ「手紙を読むのも、この島に来るのも」
由希「...」
キーラ「...」
由希「うん...」
由希「怖かった...」
由希「ずっと」
由希「ずっと会いたかったのに...」
由希「もういないって」
由希「突然告げられて」
由希「『やっぱりお前が悪かった』って」
由希「真実を突きつけられないか」
由希「ずっと...」
由希「怖くて...」
キーラ「ユキ...」
キーラ「ずっと、ひとりきりで生きていたのね」
キーラ「あなたは、本当に勇気がある人」
キーラ「こんな状況でも、前を向こうとしている」
由希「...」
由希「ありがとう...」

〇結婚式場のテラス
キーラ「モニカを探しているのよね?」
キーラ「彼女が持っている、トウコの写真だっけ?」
由希「うん」
由希「彼女がまだ持っていたらだけど...」
キーラ「手伝うわ」
由希「えっ」
キーラ「私も一緒に、彼女を探す」
由希「...」
由希「ありがとう」
由希「正直、困ってたの」
キーラ「いいのよ」
キーラ「彼女のツケも返してもらわないと」
キーラ「私も困るからね」
由希「でも、探すアテは?」
由希「連絡先もわからないのに」
キーラ「そうね...」
キーラ「あっ」
キーラ「2週間とちょっと前だったかな」
キーラ「モニカと一緒に飲んでいた人を知ってるわ」
由希「ほんと!?」
キーラ「ほら、あそこで酔っ払ってる...」

〇店の入口
運送屋「うぅ〜...」
運送屋「ひっく!」

〇結婚式場のテラス
由希「...!?」
由希「おじさん...!?」

コメント

  • 美しい北欧の景色と、北欧の文化に触れられるような物語、そしてユキの迷いや苦しみが伝わり、あっという間に引き込まれました。キーラさん大好き!
    モニカはどこにいるのか。運送屋さんの導きで見つかるのか。続きが気になります!

  • いやーカッコいい作品ですね!
    色々海外のものを取材して書いてみたいと思わされました!!
    良いものをありがとうございました😃

  • ヴァイキング結婚式! 凄く楽しそうなイベントですね✨
    舞台は北欧という事もあり、ファンタジー素材を存分に生かした演出シーンがとても印象的でした!
    やはりあのトラックのおじさんがキーでしたか!
    キーラがユキの肩をポンポンと慰めてくれたシーンと、初登場時のおじさんの肩ポンポンとが重なって思わず込み上げてきました…!
    続きを楽しみにしてます!
    改めまして話題賞、おめでとうございます🎉

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