奥歯に鶏肉が挟まって…

しばしば

エピソード1(脚本)

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〇おしゃれなリビングダイニング
父「おい、タカシ!」
父「なんだ、その赤い髪は!」
タカシ「別にいいだろ、髪色くらい」
父「よくない! にわとりのトサカみたいなじゃないか!」
タカシ「ちょっ、何だよ、ニワトリって」
父「大体、お前、今、就活中だろ」
父「こんなことしてる場合じゃ・・・・・・」
タカシ「あー、もう、うっせえな!」
母「もう2人とも、落ち着いて」
母「ほら、ご飯できたから、タカシも食べなさい」
タカシ「いただきまーす♪」
タカシ「って、こんなマズいご飯、食えるかよ!」
タカシ「焦げて真っ黒じゃねえか!」
母「うー、お母さん、一生懸命に作ったのにぃ」
父「こらっ、母さんに謝りなさい!」
タカシ「あー、もう、うんざりだ」
タカシ「こんな家、出て行ってやる!」
父「ああ、勝手にしろ!」
母「タカシィィー!」

〇飲み屋街
  タカシは飲み屋街を歩いていた──
タカシ「あー、なんかむしゃくしゃするな」
タカシ「おっ、鳥貴●じゃん!」
タカシ「ラッキー♪」
タカシ「俺の好きなお肉ナンバーワンは と、り♪」
タカシ「やっぱ肉といえば、牛や豚より 鶏肉だろ♪」

〇大衆居酒屋
「店員)いらっしゃいませー♪」
「店員)ご注文は?」
タカシ「つくねチーズに、ネギ塩、たれかわに、 砂ずりと、ひざなんこつと・・・・・・」
タカシ「あと、生ビール♪」
「店員)かしこまりました♪」
  数分後──
タカシ「かぁー♪うまい♪」
タカシ「焼き鳥とビール、最高〜♪♪」
「ちょっと、お隣いいかな?」
タカシ「んあ?」
ニワトリ「いや〜、いい飲みっぷりだね♪」
タカシ「オイィィ!!」
タカシ「一番ここにいてはいけない奴じゃねえか!」
ニワトリ「ネギ塩が、やっぱ美味いな」
タカシ「しかも、焼き鳥、食ってんのかよ!」
タカシ「共食いじゃねえか!」
ニワトリ「ところで、お前、家出してきたな?」
タカシ「ちっ、何で分かるんだよ」
ニワトリ「野生の勘だよ♪」
タカシ「何だよ、それ」
ニワトリ「まあまあ、私が話を聞こうではないか」
  ニワトリが1杯奢ってくれると言うので
  タカシは訳を話し始めた──
ニワトリ「ふーむ・・・・・・」
ニワトリ「まだまだお前は、ひよっこだな」
タカシ「お前に何が分かるんだよ!!」
ニワトリ「お前は、恵まれてるぞ」
ニワトリ「私はな、」
ニワトリ「私は母1人に育ててもらったのだが・・・・・・」
ニワトリ「その母も・・・・・・」
ニワトリ「うっ、うっ、 ケコッ、ケココッ」
  ニワトリは、鳴いた
  いや、泣いた────
タカシ「おい、無理して話さなくても」
ニワトリ「その母も家を出てから ずっと音信不通なんだ・・・・・・」
ニワトリ「だから、私は母を今探している」
ニワトリ「おっ、そうだ! 母探しを手伝ってくれないか?」
タカシ「はあ?! 何で、俺がそんなこと・・・・・・」
ニワトリ「むむっ」
タカシ「な、なんだこれ」
タカシ「うっ、何か奥歯に鶏肉が挟まって・・・・・・」
タカシ「気持ち悪い・・・・・・」
ニワトリ「ふふふ、しばらくは取れないぞ」
ニワトリ「鳥の呪いじゃ」
タカシ「くっ、地味に辛いやつじゃないか」
ニワトリ「爪楊枝でも取れなくしておる」
タカシ「最悪じゃん」
ニワトリ「手伝ってくれたら、解いてやろう」
タカシ「くっ、仕方ないな、探すぜ」
ニワトリ「ふっふっふ♪そうこなくっちゃ♪」

〇飲み屋街
タカシ「そういえばさ、何で鳥●族、いてたの?」
ニワトリ「母が店にいるかと思ってな・・・・・・」
ニワトリ「焼き鳥屋だし・・・・・・」
タカシ「いや、それ、もうオカン 死んでるじゃねえか!!」
タカシ「って、そういえばお前のオカン、 どんな見た目なんだ?」
ニワトリ「うーん、そうだなぁ〜」
タカシ「って、あれじゃね?」
ニワトリ「いや、違う!」
ニワトリ「あれは母じゃない!」
ニワトリ「母は・・・・・・」

〇牧場
  私の母は、外国の牧場で父と出会った──
ニワトリ「ヘイ!ワッツ、ユア、ネーム?」
ニワトリ「マイネーム、イズ、ニワコ」
ニワトリ「アンドゥ、ユー?」
ニワトリ「マイネーム、イズ、トリタロウ」
ニワトリ「ナイストゥミートゥー」
ニワトリ「ナイストゥミートゥートゥー」
ニワトリ「ユー、アー、ビューティフル♡」
ニワトリ「オー、センキュー!」
ニワトリ「ンフ♡」
  2匹は恋に落ちた──
  そして、私が生まれた──
「ハッピーバースデー♫」
ひよこ「ピヨピヨ♫」
牧場の人「カモォォン、チキン!」
ニワトリ「クエッ・・・」
  ブーン
  だが、父は幼い私を置いて
  出て行ってしまった──
タカシ「お前の父さん、もしかして 連れていかれたんじゃ・・・」
ニワトリ「オー、ダーリン、イカナイデ・・・」
ひよこ「パ、パ・・・・・・」

〇牧場
  みんなが寝静まったある日の夜──
  母も消えた──
ニワトリ「いいかい? お母さんはお父さんを探しにいってくるから」
ニワトリ「いい子にしているのよ」
ニワトリ「すぐ戻ってくるからね」
ひよこ「マッ、マ・・・・・・」

〇飲み屋街
ニワトリ「・・・というわけなんだ」
タカシ「うー」
タカシ「お前に、そんないきさつがあったなんて」
タカシ「よし、絶対見つけるぞ!」
タカシ「お前の母ちゃんを!」
タカシ「そして、父ちゃんもな!」
ニワトリ「タカシィィ!」

〇渋谷のスクランブル交差点
  俺たちは、夜の街を駆け抜けていった
タカシ「あっ、あれは?」
ニワトリ「違う!母じゃない!」
ニワトリ「違う!父でもじゃない!」
ニワトリ「ノット母上!ノット父上!」
ニワトリ「チガァァァァウ!!」
ニワトリ「誰だ、お前は!!」

〇飲み屋街
ニワトリ「うう、やはり、見つからないな」
ニワトリ「もう、諦めるしか・・・・・・」
タカシ「諦めるんじゃねえ!!」
タカシ「俺も朝までずっと付き合うからよ!」
ニワトリ「いや、タカシの両親、心配するだろ」
ニワトリ「無理をするな」
タカシ「いいんだよ、俺の親のことなんか!」
ニワトリ「ばかやろオォ!!」
ニワトリ「親を大切にしろぉ!」
タカシ「お前に、そう言われちゃ・・・」
タカシ「でも、お前のこと、心配でよ・・・」
タカシ「って、あれは!」
ニワトリ「鳥貴●第2店舗じゃないか!」
タカシ「うっそ、まじかよ!ここにも鳥貴●が!」
  店の中から出てきたのは・・・・・・
ニワトリ「母上!」
  続く・・・

コメント

  • 途中でリアル鳥○族みたいなビジュアルの人が出てきてお茶吹きました。最後にあっさり毋鶏が登場して奥歯の鶏肉も吹っ飛びました。父鶏とは鳥貴○三店舗目で再会出来そうですね。

  • 楽しく拝読させていただきました。ナチュラルに生きた鶏が居酒屋に出てくる展開に思わず吹き出しました。

  • 現実的ではないのに、なぜかとてもリアルにその状況を想像できてしまう描写でした!私も若い時、かなり居酒屋で鶏肉を消費していたたちで・・・罪役感です。

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