白雪さんは仕返しがしたい

鍵谷端哉

白雪の苦悩と桜治の笑顔(脚本)

白雪さんは仕返しがしたい

鍵谷端哉

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〇華やかな寮
白雪 姫乃(借りを作ったら、必ず返す。それが私の、モットー。つまり、やられたら、やり返すってこと)
白雪 姫乃(まあ、倍にして返すってほどじゃないけど、とにかく、やられっぱなしは絶対に嫌)
白雪 姫乃(この物語は、私がある人物に仕返しをするものだ)

〇華やかな寮
  桜治が走って来る。
桜治「白雪先輩― !お待たせしましたー・・・ あっ!」
  桜治が転ぶ。
白雪 姫乃「ちょっと、何やってるのよ。大丈夫?」
桜治「あうう・・・ 。痛かったですぅ」
白雪 姫乃(・・・ くっ。涙目を浮かべてる顔も、可愛いわね)
白雪 姫乃「ほら、涙拭いて。立てる?」
桜治「はい・・・」
  立ち上がる桜治。
白雪 姫乃「それにしても、桜治くん。遅かったわね。何してたの?」
桜治「すいません。掃除当番だったので」
白雪 姫乃「もう、そういう時はメール送りなさいって言ってるでしょ。心配したじゃない」
桜治「す、すいません・・・」
白雪 姫乃(よし、ここであっさりと許してあげることで、優しさと年上の余裕というのを見せつけてあげるわ)
白雪 姫乃(さあ、私にメロメロになりなさい!)
白雪 姫乃「まあ、仕方ないから許してあげるわ。でも、次からは気を付けるのよ、いいわね?」
桜治「はい!」
白雪 姫乃「ふふ。いい返事ね」
桜治「えへへ。優しい白雪先輩、大好きです」
白雪 姫乃「・・・・・・」
白雪 姫乃(うわーー!その笑顔、可愛い過ぎるのよ!私の攻撃にカウンターを合わせてくるなんて、ズルい!ズルいわ!)
白雪 姫乃「そ、それじゃ、行くわよ」
桜治「はい」

〇川に架かる橋
桜治「今日はどこに行くんですか?」
白雪 姫乃「加賀見公園の裏にある森よ。あそこなら、珍しい花がたくさんあるからね」
桜治「僕、頑張って、綺麗な花、集めますね」
白雪 姫乃「文化祭までもう時間がないからね。今回で10種類以上は採取しておきたいわ」
桜治「・・・ 部員、入ってきますかね?」
白雪 姫乃「どうかしらね。押し花部なんて、マニアックなところに入りたいなんて人、いないと思うわよ」
桜治「先輩。ごめんなさい」
白雪 姫乃「ん?なにが?」
桜治「僕・・・ 。先輩と二人きりのままの方がいいって思っちゃってます。だから、部員、増えないといいなって・・・」
白雪 姫乃「・・・ ・・・」
白雪 姫乃(うわー!可愛い!不意打ちなんて卑怯よー!くっ!こうなったら)
白雪 姫乃「そうね。私も、桜治くんがいれば、それでいいわ」
白雪 姫乃(どう?かなりのサービス台詞よ!これは効いたでしょ?)
桜治「先輩、手を繋いでいいですか?」
白雪 姫乃「へ?あ、うん。いいけど・・・」
桜治「ありがとうございます」
  スッと手を繋いでくる桜治。
白雪 姫乃(えええー!私の台詞にリアクションなし?しかも、手を繋ぐって・・・)
白雪 姫乃(しかも、恋人繋ぎじゃない!ううっ!心臓がどきどきし過ぎて、もたないわ)

〇山中の川
桜治「先輩、足元、気を付けてくださいね」
白雪 姫乃「あ、ありがと」
桜治「あ、ここなら、川を飛び越えられそうですよ。・・・よっと!」
  桜治がジャンプして、小川を飛び越える。
白雪 姫乃「へえ。桜治くん、結構、運動能力高いわね。・・・私、飛べるかしら」
桜治「大丈夫です!僕が受け止めますから、全力で飛んでください」
白雪 姫乃「・・・ ・・・」
白雪 姫乃(くぅ・・・ ・・・ 。桜治くん。可愛い顔で華奢な体つきに見えて、結構、筋肉あるのよね)
白雪 姫乃(ギャップ萌えを仕掛けてくるなんて、ズルいわよ)
白雪 姫乃「じゃ、じゃあ、行くわよ!・・・ ・・・ えい!」
  姫乃がジャンプするが、ズルと滑る。
桜治「あっ!」
白雪 姫乃「きゃあっ!」
桜治「危ない!」
  バシャと二人が川に落ちてしまう。
桜治「先輩!怪我はありませんか?」
白雪 姫乃「う、うん。大丈夫。・・・ ・・・ それより、ごめんなさい。私のせいで濡れちゃったわね」
桜治「僕のことはいいんです。先輩に怪我がなくて、よかったです」
白雪 姫乃「・・・・・・」
白雪 姫乃(うう・・・ 。濡れた桜治くんは、なんかいつもと違って、格好いい・・・)
白雪 姫乃(しかも、何気に私を受け止めてくれるとか・・・。もう、ホント、なんなのよー!)

〇林道
  服を絞ぼると水が滴り落ちる。
桜治「川が浅くてよかったですね」
白雪 姫乃「そ、そうね・・・くしゅっ!」
桜治「先輩、大丈夫ですか?・・・タオル、持ってくればよかったですね」
白雪 姫乃「・・・・・・」
白雪 姫乃(は、恥ずかしいけど、これはチャンスよ。さすがの桜治くんでも、耐えられないはず)
白雪 姫乃(さあ、顔を真っ赤にして、私に胸キュンするのよ!)
  バッと、制服の上を脱ぐ姫乃
桜治「え?せ、先輩?」
  服を絞る姫乃。
白雪 姫乃「こ、これで、少しは乾くのが早くなればいいんだけど・・・」
白雪 姫乃(ど、ど、ど、どうかしら?さすがに、女の子の下着姿には動揺を隠せないでしょ?)
  バサっと服を姫乃の肩に羽織らせる桜治。
桜治「僕のシャツです。大分、乾いてると思うので、着てください」
白雪 姫乃「あ、ありがとう・・・」
白雪 姫乃(うう・・・ 。渾身の一撃だったのに、上手く躱された上に、反撃されたわ)
桜治「あ、そうだ、先輩。お腹減りませんか?」
白雪 姫乃「え?」
桜治「おやつ持ってきたんです」
  カバンをガサガサと漁る桜治。
桜治「よかった。袋に入れてたから濡れてなかったです」
白雪 姫乃「アップルパイ?」
桜治「はい。先輩が食べたいって言ってたので、焼いてきたんです」
白雪 姫乃「え?これ、桜治くんが作ったの?」
桜治「はい!」
白雪 姫乃「凄いわね。桜治くん、いいお嫁さんになりそう」
桜治「えへへ。それじゃ、先輩、お婿に来てください」
白雪 姫乃「・・・ ・・・」
白雪 姫乃(うわーん!またやられたー!私ばっかり、胸キュンするのズルい― !)
白雪 姫乃(私も、桜治くんを胸キュンさせたいー!桜治くんを私に惚れさせて、骨抜きにしたいー!)
白雪 姫乃(・・・ はあ。桜治くんにはやられてばっかりね。でも、私は諦めない。絶対に桜治くんに仕返ししてみせるわ!)
  終わり。

コメント

  • いちいちキュンとくることを言ってくるのは反則ですね。
    これは天然なのか…狙ってたらキザすぎるけど…。
    見ているこっちがニマニマしてしまいますね!

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