反転/貪欲の手掌

HTR.24

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〇川沿いの原っぱ
俺「俺だって 俺だって」
俺「俺、だって・・・・・・」
???「中学校まで当たり前のように学校に通える」
???「文字の読み書きができ、食事に危険がない」
???「十分に整ったインフラを享受し、水や電気、インターネットに困らない」
???「紛争や内戦が殆ど起こらず、高い安全性が確保されている」
???「・・・・・・ああ、羨ましい オマエ達のあらゆるものが羨ましい」
???「俺の明日をも知れない人生と違い、明日が当たり前でありながら、求めるものの際限がない!」
???「それでいて自らの被害者意識に酔いしれる様が恨めしい! 疎ましい!」
???「それらが俺達のものであったなら、どれほど」
???「どれほど」
???「どれほど、人間であれたろう」
???「もっと、恋できたろうか」
???「もっと、愛に生きれたろうか」
???「もっと、お腹は膨れていたろうか もっと、喉は潤っていたろうか」
???「もっと、知識があったろうか もっと、危険を知れたろうか もっと、やり方を知っていられたろうか」
???「もっと、」
???「もっと、もっと、もっと・・・・・・!」
???「もっと、俺達は生きることは出来たのだろうか」
???「いや、それでも俺達は生きている」
???「”生きてやる”」
???「だから、お前のそれは才能に過ぎない」
???「自惚れるな 自惚れるな」
???「俺だって」
???「俺だって!」
???「俺だって・・・・・・」

〇川沿いの原っぱ

〇川沿いの原っぱ
俺「ああ、俺だって」

〇空
  男は
  他の何より確かな一歩を強く、強く、
  踏み出した。

コメント

  • かつて「ホームレス中学生」を出版した芸人さんが、蛇口をひねってお湯が出てくるだけで幸せだと言った言葉が忘れられません。豊かさは上を見てもキリがないし、逆も然りですね。自分が何を望んでいるかを自分がわかってあげることができればいいのですが、「人は他者の欲望を欲望する」と言いますから簡単なことではないですね。この物語の主人公は最後に少し気づきがあって、一歩を踏み出せたようで良かったです。

  • 物欲を満たすことや、高いステイタスを持つことで得られることより、自分の内面から生まれる達成感や愛情で幸せを感じられること。【俺】の問い掛けてくれた言葉プラス、そんなことを感じさせてもらえました。

  • 心にグサッとささりました。
    今の世の中は物に溢れ、平和にボケ、危機感なく生活できているからこそ、本来持つべきハンガリーさがなくなってるのかもしれませんね。

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