知られてはいけない【秘密】

あずま

読切(脚本)

知られてはいけない【秘密】

あずま

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〇明るいリビング
ただし「俺は彼女に知られてはいけない 【秘密】がある」
ただし「彼女とは幼なじみで 結婚前提で付き合っている」
ただし「だけど俺は昔」
ただし「人殺しの容疑で捕まりかけた」
ただし「しかし やっていないという結果になり」
ただし「今に至っている」
ただし「その事は彼女も 知った上で付き合っている」
ただし「本当に知られてはいけないのは ここからだ」
ただし「実は 俺は人を殺している」
ただし「しかも 彼女のお父さんを‥」

〇工事現場
「それは数年前 彼女にと会う前の出来事‥‥」
お父さん「おい!ただし! 何回言ったらわかるんだ!」
ただし「はい、すいません」
ただし「彼女のお父さんと 仕事場が同じだった‥」
ただし「毎日理不尽なことで 怒られ」
ただし「俺の怒りは 頂点に達していた」
ただし「そして俺は考えた」
ただし「あいつを 『殺してやる』と」
ただし「緻密な計画を考えた」
「そしてある雨の日‥」
ただし「下にあいつがいる」
ただし「この鉄板を落としたら」
ただし「事故であいつを 殺すことができる」
ただし「そう思った時には 鉄板は落ちていた」
ただし「人殺しで捕まりかけたが」
ただし「現場の事故ということで 肩がついた」
ただし「よし、計画通りだ」

〇川沿いの公園
「そして数年後‥」
「彼女とばったり 街で会ってしまう」
ただし「今日も仕事疲れたな」
みな「あれ? ただし君?」
ただし「おお、みな! 久しぶりだな!」
みな「中学校以来だね!」
ただし「ああ、そうだな!」
「久しぶりの 再会で話は盛り上がった」
「そして あの話題に移っていく」
みな「私のお父さん 仕事の事故で亡くなったんだよね」
ただし「そうなんだ。 それは残念だね」
「この時 俺は知らなかった」
「彼女のお父さんを 殺したということを」

〇海辺
「そして数ヶ月後」
ただし「俺たち付き合わないか?」
みな「いいよ」
「俺たちは付き合った」

〇海辺
「そして数時間後」
みな「懐かしいなこの場所」
みな「この場所 よく家族で来てたんだ」
みな「これ その時の写真」
ただし「ただしはその写真を見て焦った」
ただし「これみなのお父さん?」
みな「そうだよ」
ただし「(俺はみなのお父さんを殺してしまった)」
ただし「(だけどあれは事故として死んだんだ)」
ただし「(俺は殺してない)」
「そう自分に言い聞かせた」
みな「ただし君?どうしたの?」
ただし「い、いやなんでもない」

〇明るいリビング
ただし「それが俺の 彼女に知られてはいけない」
ただし「【秘密】である」
みな「私は小さい頃から」
みな「お父さんが嫌いだった」

〇綺麗なリビング
「それは私が高校生の頃」
お母さん「お父さん飲み過ぎよ」
お父さん「うるせぇな」
お父さん「誰のおかげで いい暮らしできてると思ってるんだ」
お母さん「だけどあなた お医者さんにも止められてるじゃない」
お父さん「ごちゃごちゃ うるせぇんだよ!」
「ゴンッ!!︎」
「お母さんはDVを受けていた」
みな「(お母さん可哀想)」
みな「(こんな人死んだらいいのに)」
「毎日そう思っていた」

〇綺麗なリビング
「高校を卒業し ある日の出来事」
お母さん「お父さん弁当忘れたみたいだから 届けてくれない?」
みな「いいけど」
みな「お父さんから毎日 暴力を受けて」
みな「辛くないの?」
お母さん「私は大丈夫よ」
お母さん「あなただけには 矛先を向けたくはないから」
みな「お母さん‥‥」

〇工事現場
「そして彼女は見てしまった‥」
みな「ここがお父さんの 仕事場だよね?」
みな「ん?あれは ただし君」
みな「お父さんと同じ所で 働いてたんだ」
「そして事件は起こった」
「しかし みなの心は意外に穏やかだった」
みな「(これでお母さんが楽になる)」
みな「(ただし君にお礼を言わなくちゃ)」

〇川沿いの公園
みな「ただし君は仕事終わりに」
みな「よくここに来ることは知っていた」
みな「あれ? ただし君?」
ただし「おお、みな! 久しぶりだな!」
「話が意外に盛り上がった」
ただし「俺、実は 人殺しで捕まりかけたんだよね」
みな「そうなの?」
ただし「あの時は焦ったわ(笑)」
みな「危なかったんだね(笑)」
みな「そこでお父さんの事を 言おうとしたけど」
みな「彼に変な女と思われたくなかったから」
みな「お父さんを殺してくれてありがとう」
みな「そんな事は言えなかった」

〇海辺
「数ヶ月後」
「私は完全に彼のことが好きだった」
ただし「俺たち付き合わない?」
みな「いいよ」
みな「だけど私は迷っていた」
みな「お父さんの事言うべきか 言わないべきか」
みな「そして 彼の反応を見て決まる事にした」
みな「お父さんの写真を見せて」
みな「何か言ってたら あの場で見てたことも」
みな「お父さんが嫌いだった事も 全て言おうと思った」
みな「何も言わなかったら 全てを【秘密】にしようと思った」

〇海辺
「そしてお父さんの 写真を見せた」
みな「ただし君どうしたの?」
ただし「い、いやなんでもない」
みな「何も言わなかった」
みな「全てのことを【秘密】にしておこう」

〇明るいリビング
みな「それが私のただし君に 知られてはならない【秘密】」

コメント

  • 隠す意味の無い秘密だなぁ笑互いが互いのことを思ってのことかなぁ、てか、お父さんめっちゃ嫌われてるなぁ笑(まぁあんな性格なら嫌われるか💦)

  • 物語上、完結してはいないのに読んだ後にとても納得感を得ました。二人の事だから、結婚してもっと関係が深まったら、その時に告白し合うように気がします。どちらにせよ、害のない秘密だと思います。

  • お互いの秘密が共通点になってるんですね。
    どちらも言えないことですが、彼女は伝えたいんだろうな…と思いました。
    お礼を伝えたいというか。
    その後お母さんと平穏な日々を送らせてくれた人ですから。

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