いかないで、私の王子さま

蒸気

6話 ふたりだけの秘密(脚本)

いかないで、私の王子さま

蒸気

今すぐ読む

いかないで、私の王子さま
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇コンサートの控室
夢咲 すみれ「千秋楽頑張りましょうね!」
速水 千明「そうだね!頑張ろう!」
  すみれは普段と変わらなかった
  彼女の態度がありがたかった
  なぜなら千秋楽に専念したかったからだ
夢咲 すみれ「千明へ届いたお花の数がすごかったわよ」
夢咲 すみれ「ロビーに入らなくて、廊下にも溢れてた程だから」
速水 千明「そうだったの?」
速水 千明「まだ少し時間に余裕あるから見てこようかな」
夢咲 すみれ「そうね!」
夢咲 すみれ「千明・・・」
速水 千明「ん?」
夢咲 すみれ「ごめんね・・・千明や優斗さんに迷惑をかけて」
速水 千明「・・・」
速水 千明「私はすみれがいたから、桜丘でここまで頑張ってこれた」
速水 千明「すみれのことが大好きだし、尊敬している」
夢咲 すみれ「私だって・・・」
速水 千明「でもすみれが思っている好きと私の好きは違っていた・・・」
夢咲 すみれ「大丈夫よ。気にしないで」
夢咲 すみれ「思っていたこと吐いちゃったら楽になったわ」
夢咲 すみれ「・・・これからも良い友達でいてくれる?」
速水 千明「・・・」
速水 千明「もちろん」

〇大ホールの廊下
速水 千明「ちゃんと集中しなくちゃ・・・」
速水 千明「うわっ!」
蓬莱まどか「千明さん、驚かせてすいません!」
蓬莱まどか「花粉でくしゃみとまらなくて」
  廊下にたくさんのスタンド花が置かれていた
速水 千明(真梨子おばさまからのお花だ)
速水 千明(平子さんからも来ている)
速水 千明「こんなにあるとは思わなかった・・・」
蓬莱まどか「それほど千明さんが愛されてるってことですよ」
蓬莱まどか「やっぱり千明さんがやめてしまうの悲しいです」
蓬莱まどか「わたし絶対に千明さんみたいになりますから!」
速水 千明「応援しているよ」
速水 千明「だからそんなに泣かないで」
速水 千明「あの怖いメイクさんが怒るよ?」
蓬莱まどか「怒られるのいやです~」

〇舞台袖
速水 千明(わたしの最後の公演)
速水 千明(これまでたくさんの人が私のことを応援してくれた)
速水 千明(最後まで理想の速水千明でいなくては)
速水 千明「よし、行こう!」

〇謁見の間
  舞台は問題なく進み──
  ついに終盤
  王宮の宮殿で記者会見が開かれる場面
  身分を隠していたふたりはお互いの素性を知る
  女性は王女──
  男性は新聞記者だと
  女王は記者に一人一人に挨拶をする
速水 千明「ジョー・ブラットレーです」
夢咲 すみれ「お会いできて光栄です」
  ふたりの間にあったローマでの出来事は誰一人知らない
  誰も知ることはない
速水 千明(まるで私とすみれのように)
夢咲 すみれ(誰も知らない私たちだけの秘密)

〇高層ビルの出入口
田淵 優斗「アキちゃん、お疲れ様」
速水 千明「ヒロくん、ありがとう!」
田淵 優斗「アキちゃんは本当にファンのひとから愛されているんだなと思ったよ」
田淵 優斗「すみれさんの気持ちもわかったかもしれない」
速水 千明「えっ?」
田淵 優斗「みんなの恋人である、アキちゃんを独占したいという強い気持ち」
田淵 優斗「さすがに下着になるまでやるとは思わなかったけど・・・」
速水 千明「ヒロくんまで巻き込んでごめん」
田淵 優斗「大丈夫。気にしないで」
速水 千明「すみれも、ごめんって言っていたよ」
速水 千明「わたしは舞台に立ててこられて、幸せだった」
速水 千明「たくさんの人が『速水千明』を愛してくれたか」
速水 千明「だから、私は私のために生きたい」
速水 千明「斉藤亜紀がしたいのはヒロくんと一緒に夢を叶えること」
田淵 優斗「ありがとう」
田淵 優斗「帰ろうか」
速水 千明「うん」

〇黒
  The end

ページTOPへ