〇教室
トシ「おーい、ナツって女好き？」
ナツ「嫌がらせ？」
トシ「すまん、男好きだったか」
ナツ「オーケー、トシナリ。 静かにして」
トシ「はっは！ オレはグーグルじゃないぜ？」
ナツ「悟れ」
トシ「男好きのナツに朗報だ！ ザ・漢って感じのマンガ描いてみた！」
ナツ「ヤンキーマンガみたいな感じ？」
トシ「当たらずも近からず、って感じだな！」
ナツ「的外れじゃねぇか」

〇廃ビルのフロア
コウリュウ「弱ぇヤツに居場所はねェ！ 出てけ！」
コウリュウ「『黄龍組（こうりゅうぐみ）』の 面汚しが！」
キリン「ぐっ・・・！」
コウリュウ「ひゃーはっはっはっ!!」

〇入り組んだ路地裏
キリン「・・・確かにオレは弱ェ」
キリン「鉄砲玉としての責を果たせねェ くらいに・・・」
キリン「だが、容赦なく仲間を切り捨てるヤツは 漢じゃねぇ！」
キリン「そのせいでアイツは・・・！」
キリン「オレはもう・・・あの場所には戻らねェ！」
キリン「ここでテッペン獲ってみせる！　絶対に！」

〇空
　　KOKORONOKORI　〜堕天使の涙〜

〇教室
ナツ「未練たらたらじゃねぇか」
トシ「堕天使は泣かない・・・」
トシ「そいつは、ほとばしる汗さ」
ナツ「きたなっ」

〇ゲームセンター
下っ端「ああん？ テメエ、ここが『朱雀ーズ』のシマって わかってんのか？　ああん？」

〇教室
ナツ「語呂わるっ！」
トシ「純粋なヤツらなのさ」
トシ「ケンカでしか己を証明できないような・・・」
トシ「不器用だろう？」
ナツ「センスの問題でしょ」

〇ゲームセンター
下っ端「コ、コイツつえーぞ!?」
下っ端「１人で100人倒しやがった！」
キリン「オマエか？ 『朱雀ーズ』の頭（かしら）張ってる っつう熱森朱雀（あつもりすざく）は」
スザク「そうだ」

〇教室
ナツ「燃えてね？」
トシ「発火系男子ってヤツだ！」
ナツ「取扱注意ってこと？」
トシ「ヤツの燃えるハートが表面上に 浮き彫りになった結果さ」
ナツ「いやわからん」

〇ゲームセンター
スザク「ここはガキの遊び場じゃねェんだがなァ」
スザク「しょうがねェ、オレがお守りしてやんよ」
スザク「覚悟しなァ!!」

〇空
　　──そしてオレは四天王の１人を倒した。

〇教室
ナツ「乱丁？」
トシ「正規本だぞ？」
ナツ「ウソであれぇ・・・！」

〇古びた神社
下っ端「ああん？ テメエ、ここが『青龍ズ』のシマって わかってんのか？　ああん？」

〇教室
ナツ「デジャヴだ」
トシ「語呂いいだろ？」
ナツ「残りがわかっただけに素直にうなずけない」
ナツ（（『白虎ズ（びゃっこず）』に 『玄武ズ（げんぶず）』か・・・））

〇ボクシングジムのリング
ビャッコ「ここは『白虎クラブ』！」

〇教室
ナツ「かわいい〜！」
ナツ「──とはならねーよ！」
トシ「はっは！　意表を突かれただろ？」
トシ「『白虎クラブ』は虎柄が義務なんだ」
ナツ「仲良しサークルじゃん」
トシ「しかも！　みんな自作！」
ナツ「手芸部！」

〇屋敷の牢屋
ゲンブ「オレは四天王の中で最強！ 『GENBU（げんぶ）』のリーダー 灰村玄武（はいむらげんぶ）！」
ゲンブ「オレの一撃を食らって立っていた者は いない！」
ゲンブ「食らえ！ 玄武パンチ！」
ゲンブ「玄武キック！」
ゲンブ「玄武ラリアット！」
ゲンブ「玄武キャメルクラッチ！」
ゲンブ「G・E・N・B・U！」
キリン「これが・・・世界の壁・・・！」

〇空
　　その後、オレは最後の四天王を倒した。

〇教室
ナツ「過程が謎〜！」
トシ「知りたい？」
ナツ「ぜんぜーん！」
トシ「・・・しゅん」
ナツ「き、聞きたいなぁ！」
トシ「え？　ほんとに!? しょうがねぇなぁ！」
トシ「ぺらぺらぺらぺら・・・」
ナツ「・・・・・・」
ナツ（（・・・かわいい））

〇廃ビルのフロア
キリン「ようやくこの時が来た」
キリン「『黄龍組』をぎゃふんと言わせる その日が・・・！」
コウリュウ「最近、シマを荒らしてるヤツってのは テメェのことだったのか」
コウリュウ「桐麒麟（きりきりん）！」

〇教室
ナツ「桐麒麟（きりきりん）!?」
トシ「キリキリンだ」
ナツ「キリキリンか・・・」
ナツ「キリキリン・・・」
トシ「語呂がいいだろ？」
ナツ「認めたくない〜！」

〇廃ビルのフロア
キリン「四神黄龍（しかみこうりゅう）！ オレとタイマンを張れ！」
コウリュウ「いいだろう」
コウリュウ「先代から・・・兄貴から受け継いだ黄龍組」
コウリュウ「舐められたままじゃいられねェから なァ!!」
キリン「弱者の気持ちがわかったかよ？」
コウリュウ「ぐっ・・・！」
下っ端「ま、まさか黄龍さんが劣勢に なるなんて・・・！」
下っ端「あのキリキリンってやつ、やべーぞ！」
下っ端「キリキリン・・・！」
「キリキリン・・・！」
コウリュウ「おのれ、キリキリン・・・！」
コウリュウ「これでオレを倒したつもりか!?」
キリン「まだだ！」
キリン「まだボッコボコにしてやる！」
コウリュウ「あんぎゃあー！」
コウリュウ「・・・ぐぅ」

〇教室
ナツ「羅生門かな？」
ナツ「衣服まで取らなくても・・・」
トシ「黄龍への憎しみがキリキリンを 突き動かすのさ」
トシ「キリキリンは・・・もう、止まらない」
ナツ「キリキリン・・・」
ナツ「・・・・・・」
ナツ「はっ・・・！ 丸め込まれるところだった！」
ナツ「おのれキリキリンめ・・・！」
トシ（（しめしめ））

〇廃ビルのフロア
キリン「弱いモンは弱ェ」
キリン「だが、ハートが燃えている限り オレたちは高みへ行ける」
キリン「なのにテメエは弱者を切り捨てた！」
キリン「アイツは仲間たちのために自分から オトリになったってのに・・・！」
キリン「テメエはアイツを見殺しにした！」
キリン「アイツは・・・タクローはテメエよりも よっぽどリーダーに向いてたってのにだ！」
キリン「武力だけじゃテッペン取れねェってこと 思い知ったか!?」
コウリュウ「・・・オレたちは力でのし上がってきた」
コウリュウ「今さらそいつを変えるつもりはねェ」
キリン「・・・そうかよ」
キリン「じゃあ『黄龍組』に明日はねぇな」
コウリュウ「何だと・・・!?」
キリン「進歩の先にしか進化はねェ」
キリン「停滞の先には・・・衰退しかねェんだ」
キリン「時代に取り残されてるんだよ、テメェは」
キリン「・・・龍之介さんの時代に、よォ」

〇黒

〇廃ビルのフロア
コウリュウ「兄貴・・・」
キリン「・・・・・・」
コウリュウ「・・・何のつもりだ？」
コウリュウ「手なんか差し伸べやがって。 コケにしてんのか？」
キリン「黄龍組には・・・龍之介さんには 世話んなった」
キリン「オレはタクローと背中合わせあった この場所でテッペンをとりてェ」
キリン「テメエも、おんなじキモチなんだろ？」
コウリュウ「・・・くそ。 寒いこと言うガキだぜ」
コウリュウ「オレたちゃあ、過去の亡霊に取り憑かれてるんだろうなァ」
キリン「ふん、んなもん武器にでもしちまえばいい」
キリン「オレたちの拳は過去の英雄につくられてるんだからな」
コウリュウ「・・・そうだな」

〇入り組んだ路地裏
キリン「♪オーイエー 　マイブラザー」
キリン「♪オマエを失ったあの日から 　オレの背中の翼はもげた」

〇空
キリン「♪空も飛べねェフォーリンエンジェル 　あの日の景色が甦る」

〇壁
キリン「♪紅、黒鉄混じったアスファルト 　自ら悟った明日はないと」

〇黒
キリン「♪だがオレ立ち上がり 　だがオレ蘇り」

〇空
キリン「♪オマエのソウルを胸に抱いて 　カモン！レッツゴー！ヒァウィーゴー！」

〇廃ビルのフロア
キリン「センキュー・・・」
キリン「行こうぜ、コウリュウ」
コウリュウ「ぶっ倒れんなよ？」
キリン「望むところだ」

〇ビリヤード場
コウリュウ「♪ヘイユー、マイブラザー！」
コウリュウ「♪テメエがいなくなったあの日から！ 　オレのメガネのレンズは砕けた！」

〇空
　　KOKORONOKORI　~堕天使の涙~

〇教室
ナツ「結局戻るんかーい！」
ナツ「いや、タイトルでわかってたけどぉ！」
トシ「燃えたかい？」
ナツ「大炎上だよ」
トシ「嬉しいこと言ってくれるな！」
ナツ「あ、通じてないな、これ」
トシ「♪ヘイユー！ 　マイブラザー！」
トシ「♪オレの燃えたぎる不滅のソウル 　オマエの心に降り注ーぐ」
トシ「センキュー・・・」
トシ「じ〜」
ナツ「やらねーよぉ!?」
トシ「・・・しゅん」
ナツ「ヘ、ヘイユー！」
ナツ「♪キッズにヤングなソウルにバカウケ！ 　アイアムヤングなソウルフード！」
ナツ「イエー・・・」
トシ「ヘタだな」
ナツ「おどれぇぇぇえええっ!!」