ハラタマ♪キヨタマ♬お稲荷さま(脚本)
〇神社の本殿
坐潟 卓(いましがた すぐる)「彼氏ができますように ハラタマ、キヨタマ」
お稲荷「・・・で、彼氏ってどんなんがええねん」
坐潟 卓(いましがた すぐる)「わっ!誰ですか?人のお祈り盗み聞きするのは」
お稲荷「ワシに頼み事しといて盗み聞きとは何やねん!」
坐潟 卓(いましがた すぐる)「私は神様にお願いしたんです」
お稲荷「ワシがその神様や」
坐潟 卓(いましがた すぐる)「えっ?今何て・・・」
お稲荷「せやからワシが神様や」
坐潟 卓(いましがた すぐる)「神様?」
お稲荷「せや」
お稲荷「ワシこそこの神籬の祭神」
お稲荷「懸けまくも畏く言わまくも尊き 産土神のお稲荷や」
坐潟 卓(いましがた すぐる)「お稲荷さん?」
お稲荷「気安く「お稲荷さん」ゆうな」
お稲荷「「お稲荷サマ」やろ!「サマ」!」
坐潟 卓(いましがた すぐる)「でも何で神様なのに関西弁なんですか」
お稲荷「神様が関西弁しゃべったらあかんのかい!」
坐潟 卓(いましがた すぐる)「神様っぽくないってゆうか・・・」
お稲荷「何弁なら神様っぽいねん」
お稲荷「薩摩弁で「おいどんは神様でごわす」ゆうたら神様っぽいんかい!」
坐潟 卓(いましがた すぐる)「そうゆう訳じゃ・・・」
お稲荷「それよかさっきの話や」
お稲荷「ねえちゃん男欲しいゆうとったな」
坐潟 卓(いましがた すぐる)「私「ねえちゃん」じゃありません」
坐潟 卓(いましがた すぐる)「坐潟 卓(いましがた すぐる)です」
坐潟 卓(いましがた すぐる)「それに欲しいのは「男」じゃなく 「彼氏」です」
お稲荷「どっちも同じや」
坐潟 卓(いましがた すぐる)「でも男が欲しいって言ったら」
坐潟 卓(いましがた すぐる)「まるで私が男とやりたくって我慢できない肉食系女みたいじゃないですか」
お稲荷「違うんかい!男とやりたくって我慢できない肉食系女やないんかい!」
坐潟 卓(いましがた すぐる)「こんなカワイイ肉食系女いません」
お稲荷「なに!」
坐潟 卓(いましがた すぐる)「私の「彼氏が欲しい」は」
坐潟 卓(いましがた すぐる)「キラキラシュワワのカワイイ乙女心なんです」
坐潟 卓(いましがた すぐる)「私こんなにカワイイのに彼氏いないんです」
坐潟 卓(いましがた すぐる)「友達はみんな彼氏いるの私だけ彼氏できないんです」
坐潟 卓(いましがた すぐる)「こんなにカワイイのに・・・」
お稲荷「性格に難があるようやな」
坐潟 卓(いましがた すぐる)「え?どこが?」
坐潟 卓(いましがた すぐる)「性格も見た目と同じでカワイイですよ」
坐潟 卓(いましがた すぐる)「私、”お茶目でお転婆あわてんぼ、時々センチになっちゃう・・・」
坐潟 卓(いましがた すぐる)「・・・ドジっ娘てへぺろ系キャラ”って設定でブイブイ言わせてるんですよ」
お稲荷「今の発言に性格の歪みがつぶさに現れとることに自分で気づいとらんのが問題や」
お稲荷「まあええ」
お稲荷「懸けまくも畏く言わまくも尊きこのお稲荷の神通力にかかれば」
お稲荷「どんな性格の悪い女にも男の千人や二千人たちどころにできるよってな」
坐潟 卓(いましがた すぐる)「そんなにいりません 一人で結構です」
お稲荷「大船ん乗ったつもりでおやええ」
お稲荷「早速これから男漁りや 街へ繰り出すで」
坐潟 卓(いましがた すぐる)「男漁り・・・」
〇渋谷の雑踏
お稲荷「見てみ 男がウジャウジャおるで」
お稲荷「漁りがいあるゆうもんや」
坐潟 卓(いましがた すぐる)「「漁りがい」って・・・そんな下品な言い方やめてください」
お稲荷「男漁るのに下品もヘッタクレもあるか!」
お稲荷「ほな早速、テキトーに見繕ってくるわ」
お稲荷「調達してきたで」
お稲荷「まずはエントリーナンバー1番」
お稲荷「鵜戸野 大木(うどの たいぼく)や」
鵜戸野 大木(うどの たいぼく)「あ、僕は 鵜戸野大木じゃなくて鈴木・・・」
お稲荷「いらんことぬかすな! 名前なんどうでもええやろ!」
お稲荷「今日からお前は鵜戸野大木や! 神様に文句たれるとバチ当たるど!」
鵜戸野 大木(うどの たいぼく)「文句言いません」
鵜戸野 大木(うどの たいぼく)「鵜戸野大木でガマンします」
お稲荷「どや、気にいったか?」
坐潟 卓(いましがた すぐる)「ちょっと私のタイプとは・・・」
お稲荷「あかんか?」
お稲荷「じゃあ次、エントリーナンバー2番」
お稲荷「地備 チビ太(ちび ちびた)や」
地備 チビ太(ちび ちびた)「文句言いません 地備チビ太で結構です」
地備 チビ太(ちび ちびた)「神様から頂いた名前 一生大切にします」
お稲荷「どや、素直な好人物やろ?」
坐潟 卓(いましがた すぐる)「この人もちょっと・・・」
お稲荷「あかんのかいな」
お稲荷「ほなエントリーナンバー3番な」
お稲荷「只野 雄矢治(ただの おやじ)や」
只野 雄矢治(ただの おやじ)「今日から只野雄矢治で~す」
只野 雄矢治(ただの おやじ)「宜しく~♡」
お稲荷「どや?」
坐潟 卓(いましがた すぐる)「年の差がちょっと・・・」
お稲荷「これもあかんか」
お稲荷「じゃあエントリーナンバー4番」
お稲荷「骨川 髑髏兵衛(ほねかわ どくろべえ)や」
骨川 髑髏兵衛(ほねかわ どくろべえ)「骨川髑髏兵衛っす」
骨川 髑髏兵衛(ほねかわ どくろべえ)「趣味はボディ・ビルディングっす」
お稲荷「どや?」
坐潟 卓(いましがた すぐる)「できれば人間のほうが・・・」
お稲荷「贅沢なやっちゃな」
お稲荷「もう在庫切れや また調達してくるわ」
坐潟 卓(いましがた すぐる)「あの・・・」
お稲荷「なんや?」
坐潟 卓(いましがた すぐる)「できればイケメンのほうが・・・」
お稲荷「注文が多いな」
お稲荷「まあええ イケメン見繕ってきたる」
お稲荷「待っとれ」
お稲荷「今度はええの揃ったで」
お稲荷「エントリーナンバー5番から9番 一挙に紹介や」
お稲荷「まず5番 赤い髪のイケメンレッド」
イケメンレッド「初めまして 僕、山田・・・」
お稲荷「山田やのうてイケメンレッドや! 神様怒らすとバチ当たるど!」
イケメンレッド「イケメンレッドです」
お稲荷「6番 青い髪のイケメンブルー」
イケメンブルー「イケメンブルーです」
お稲荷「7番 黄色い髪のイケメンイエロー」
イケメンイエロー「あ、これは黄色じゃなくて金髪・・・」
お稲荷「黄色や!」
イケメンイエロー「黄色い髪のイケメンイエローです」
お稲荷「8番 桃色の髪のイケメンピンク」
イケメンピンク「イケメンピンクです」
お稲荷「9番 緑の髪のイケメングリーン」
イケメングリーン「イケメングリーンです」
お稲荷「五人揃って美男子戦隊イケメンジャーやで どや?ええやろ?」
坐潟 卓(いましがた すぐる)「ほんとみんなイケメンばかり 誰にしようか迷っちゃうな♪」
お稲荷「迷わんでええ」
お稲荷「こいつらお前の彼氏にするのやめや」
坐潟 卓(いましがた すぐる)「えっ?」
お稲荷「ワシ芸能事務所作って こいつらアイドルグループとして売り出すことに決めたねん」
坐潟 卓(いましがた すぐる)「何で?」
お稲荷「カネが必要やねん」
お稲荷「少子化のせいか氏子も減って神社の経営も苦しいねん」
坐潟 卓(いましがた すぐる)「そんな・・・」
お稲荷「でも安心せい お前にはとっときの彼氏用意してある」
お稲荷「エントリーナンバー10番」
お稲荷「森野 熊五郎(もりの くまごろう)や」
森野 熊五郎(もりの くまごろう)「森野熊五郎です」
森野 熊五郎(もりの くまごろう)「僕と二人で幸せ見つけましょう」
お稲荷「どや?」
坐潟 卓(いましがた すぐる)「私やっぱりイケメンのほうが・・・」
お稲荷「何贅沢ゆうとんねん!」
お稲荷「お前賽銭一円しか入れとらんやろ!」
お稲荷「一円ならこいつで十分や!」
森野 熊五郎(もりの くまごろう)「僕は一円の値打ちは十分ある男です」
お稲荷「ほなワシはこれでもうサイナラや」
お稲荷「あとは二人で仲良うやりぃ」
お稲荷「ほなな」
坐潟 卓(いましがた すぐる)「うえ~ん。・゚・(ノД`)・゚・。」
森野 熊五郎(もりの くまごろう)「泣かないで」
森野 熊五郎(もりの くまごろう)「僕がついてるから」
坐潟 卓(いましがた すぐる)「びえ~ん。・゚・(ノД`)・゚・。」
教訓:賽銭ケチったらあかんで
あまりに面白すぎて、笑うことも忘れて真顔で最後まで一気読みしました。作者さんには笑いの神様が憑いてるみたいだから、一度「はらたまきよたま」してもらって少し楽になったほうがいいと思います。
タップの勢いが止まらないほどお話のテンポがよかったです。神様、いいキャラクターです!
私もお賽銭は割とケチるタイプです…。
たまに札とか入れる人いますが、知り合いの住職さんがベンツ乗り回してるのを見ると、入れたくなくなります。