今宵、エトワールにて。(脚本)
〇レトロ喫茶
ユリカ「みなさーん! クッキーが焼き上がりましたー!」
ノア「お~、おいしそ~」
ルイ「動物クッキーか。可愛らしくていいね」
ユリカ「よろしければ、おひとつどうぞ!」
ノア「どれどれ~・・・ ・・・モグモグ・・・」
ノア「ん~、おいし~!」
ルイ「では私も・・・」
ルイ「・・・うん、とてもおいしいね!」
ユリカ「喜んでもらえて嬉しいです! たくさんあるのでいっぱい食べてくださいね!」
ノア「はーい、じゃあ遠慮なく~♪」
エリカ「あら、とてもいい匂いがするわね。 クッキーを焼いたのかしら?」
ユリカ「あ!お姉様!」
ユリカ「見てください!動物さんのクッキーを焼いてみたんです!」
ノア「めっちゃおいしいよ、エリカっちも食べてみ~」
エリカ「それじゃあ、ひとついただこうかしら」
エリカ「・・・ふふ、とってもおいしいわ。 クッキーを焼くのが上手になったわね、ユリカ」
ユリカ「えへへ、お姉様に褒めてもらえるなんて嬉しいです!」
そのとき、ベルの音とともに、店のドアが開いた。
恐る恐る店内へと入ってきたのは、一人の少女。
エリカ「・・・あら?」
ルイ「お客様のようだね」
小春「あ、あの・・・私、気が付いたらこのお店の前にいて・・・」
小春「どうしてここにいるのか、自分にも分からないんですけど・・・」
小春「ここは、一体・・・?」
エリカ「どうぞこちらへ。 詳しいお話は、席に座ってゆっくりと」
エリカ「紅茶はお好きかしら?」
小春「あ、でも私、今お金持ってなくて・・・」
ルイ「お金なんていらないさ。 ここは特別な場所だからね」
小春「え・・・? で、でも・・・」
ユリカ「ここは星屑のカフェ、エトワール。 普通のカフェとは、少し違います」
ノア「この場所を必要とする人が、自然と導かれてやってくる」
ノア「あたしたちが提供するのは、おいしい紅茶にお菓子、それから・・・」
エリカ「ひとときの、心の休息」
小春「心の、休息・・・」
エリカ「私は店主のエリカと申します。 こちらは従業員のユリカ、ノア、ルイ」
ノア「どもども~」
エリカ「あなたのお名前は?」
小春「あ、えっと、小春っていいます」
エリカ「小春さん。素敵なお名前ね」
エリカ「こちらのお席へどうぞ。 今、紅茶をお持ちするわ」
小春「あ、ありがとうございます」
ユリカ「よろしければ、こちらのクッキーもどうぞ」
小春「わぁ、可愛いクッキー・・・ えっと、いただきます」
小春「・・・あ、とってもおいしい」
ユリカ「うふふ、よかったです。 遠慮なく食べてくださいね!」
エリカ「さあ、ダージリンティーをどうぞ」
小春「いい匂い・・・」
ルイ「ダージリンティーにはリラックス効果がある。 口に合うといいんだが」
小春「とってもおいしいです、ありがとうございます」
ルイ「そうか、それならよかった」
小春「・・・・・・」
ノア「・・・なんか、浮かない顔だね」
小春「あ、えっと・・・」
小春「すみません、やっぱり私、帰らないと・・・」
エリカ「ごめんなさい、いろいろと驚かせてしまったかしら」
小春「い、いえ!全然そんなこと・・・」
小春「えっと、たしかにびっくりはしましたけど、紅茶もクッキーもとってもおいしくて・・・」
小春「だけど私、ゆっくりしてたらだめなんです」
ルイ「それはなぜだい?」
小春「受験勉強、しなくちゃいけないから」
ユリカ「受験勉強・・・」
小春「私、今の成績じゃ行きたい大学に行けないんです」
小春「だから勉強しないと・・・」
小春「ゆっくりしている時間があるなら、勉強しないといけないんです」
小春「だから、私はこれで──」
ルイ「キミのその気持ちはとても立派だ」
ルイ「だが頑張りすぎるあまり、必要以上に自分を追い込んでしまっていないかい?」
小春「え・・・?」
ルイ「キミはとても、疲れ切った顔をしている。 わずかな時間さえ惜しんで勉強しているんだろう」
ルイ「誰にだって、休憩は必要だよ。 それがなければ壊れてしまう」
エリカ「小春さん、紅茶とクッキーはお気に召したかしら」
小春「あ・・・はい、とってもおいしかったです」
エリカ「紅茶とクッキーを召し上がっていたとき、あなたはとっても穏やかな表情をしていた」
エリカ「おいしいものにはね、人を笑顔にする力があるの」
ユリカ「このお店には、心の休息を必要とする人が導かれてやってきます」
ユリカ「ということは、小春さんの心がこの店を必要としたということです」
ノア「ここは、時間の流れが普通の世界とはちょっと違うから」
ノア「時間を無駄にしちゃうかも、とかって気にしなくても大丈夫だし」
ルイ「キミの心が休まるまで、ここにいればいい」
小春「・・・本当に、いいんですか?」
エリカ「ええ。それが今のあなたに必要なものだから」
小春「・・・・・・」
ルイ「クッキーと紅茶だけでは寂しいかな? ケーキもあるが、一緒にどうだろうか」
ノア「あたしのオススメはね~、モンブラン、イチゴショート、レアチーズ、ショコラ・・・」
小春「ふふっ、そんなにいっぱい食べられないです」
ノア「大丈夫~、残りはあたしが食べるからさ~」
ユリカ「もう、ノアさんったら~」
小春「あははっ」
エリカ「ふふ、よかった。 やっと笑顔になってくれたようね」
ユリカ「さあ、みんなでクッキーを食べましょう!」
小春「はい!」
〇女の子の一人部屋
小春「・・・・・・」
小春「・・・ん?」
小春「あれ・・・? 朝・・・?」
小春「あれは、夢・・・?」
小春「・・・・・・」
小春「・・・でも、紅茶もケーキもクッキーも、とってもおいしかったし」
小春「みんな、いい人だったな」
小春「なんだかすごく、心がすっきりした気がする」
小春「・・・よし、今日も頑張ろう!」
〇レトロ喫茶
星屑のカフェ・エトワール。
今日も、心の休息を必要とする誰かが、店にやってくる。
エリカ「いらっしゃいませ、ようこそエトワールへ」
エリカ「さあ、どうぞこちらへ。 おいしい紅茶とケーキはいかが?」
本当にほのぼのとした癒やされるカフェですね。みんなかわいいし。ほっとするお話です。
では私にはレアチーズケーキを
紅茶はよくわからないのでとりあえずダージリンとか言ってみます♪
カフェエトワール。疲れた人の憩いの場。美味しいものは心を癒してくれる。
私の近くにもないものか?
ぶらっと立ち寄ってみたい。