リピート(脚本)
〇黒
〇黒
〇沖合
〇地下に続く階段
〇黒
〇近未来の通路
〇黒
〇諜報機関
ドク「やあ」
アイ「・・ドク」
アイ「どう?あの青年」
ドク「・・ああ」
ドク「記憶は消されてると思う」
アイ「・・そう」
アイ「その方が幸せかもね」
アイ「でも、 なんで彼だけ生かされてたんだろ?」
ドク「恐らく、 あの青年の放出するエネルギーが」
ドク「研究対象になってたんだろう」
アイ「え? エネルギーって?」
ドク「彼の想念が生み出すパワーだよ」
ドク「心に強い想いを描いてるんだ」
ドク「同じ女性の姿を 脳内で繰り返してる」
アイ「・・ふーん」
〇近未来の手術室
〇黒背景
〇沖合
〇黒背景
ユウ「・・・」
ユウ「・・・え?」
ユウ「ここは?」
〇諜報機関
ドク「お、意識が戻ったようだな」
アイ「・・・」
〇黒
〇近未来の手術室
ドク「やあ、気分はどうだい?」
ユウ「・・えっ、と、あの」
ユウ「あなたは?」
ドク「私はドクターだ」
ユウ「・・ドクター」
ドク「キミ、 自分が誰だか判るかな?」
ユウ「え? そんなの・・」
ユウ「えっ、あれっ?」
〇暗い洞窟
〇近未来の手術室
ユウ「わからない・・」
ユウ「そんな・・・」
ユウ「なんで・・」
〇黒
18年前
〇東京全景
〇UFOの飛ぶ空
〇荒廃したセンター街
〇荒廃した街
〇荒廃した国会議事堂
〇黒
ドク「世界は、 一瞬で変わってしまった」
ユウ「そ、そんな・・」
ドク「そして、多くの男達が戦死した」
ドク「その結果」
ドク「女性達が戦いに参加する事態となった」
ユウ「・・・」
〇荒廃した街
ナギ「来たわ!」
アイ「まかせて」
ナギ「さすが! 我が部隊のエース!」
アイ「ドクが発明した武器のお陰よ」
〇黒
〇近未来の手術室
ドク「君は、敵の施設に捕らえられていた」
ドク「それを、我々の仲間が救出したんだ」
ユウ「・・・」
ユウ「そんな話・・・」
ユウ「信じられません」
ドク「まあ、いきなりじゃ無理もないが・・」
ユウ「・・・」
ドク「しかし、 ヤツらのテクノロジーは凄まじい」
ドク「我々の科学を遥かに超越してる」
ドク「君はヤツらに捕まってから」
ドク「成長が止まってるはずだ」
ユウ「え?」
ユウ「まさか・・」
〇黒
〇兵舎
アイ「・・・」
ユウ「・・あ」
ユウ「あの、 君が僕を助けてくれたって・・」
アイ「うん、そうだよ」
ユウ「・・ありがとう」
アイ「うん」
アイ「気分はどう?」
ユウ「・・・」
ユウ「何て言うか・・」
ユウ「悪い夢の中にいるみたいだよ」
アイ「そう」
アイ「でも、これは現実なの」
ユウ「・・・くっ」
ユウ「・・・うぐっ」
ユウ「・・・ゴメン、涙が」
アイ「・・大丈夫」
アイ「いつか、 ドクが敵の弱点を見つけてくれるわ」
ユウ「・・・」
ユウ「・・・・うん」
アイ「ねえ? キミの事、何て呼べばいい?」
ユウ「え?」
ユウ「ゴメン、名前も思い出せないんだ」
アイ「じゃあ、キミはユウね」
ユウ「・・・ユウ」
〇黒
〇朝日
〇荒廃したハチ公前
〇荒廃したハチ公前
〇荒廃した教会
〇荒廃したショッピングモール
〇荒廃した市街地
ユウ「・・はぁ」
ユウ「ドクの話は本当なんだな・・」
アイ「大丈夫よ。 未来はきっと明るいわ」
ユウ「アイは前向きだね」
アイ「え?」
アイ「だって、そう信じてるから」
ユウ「・・強いんだな」
ユウ「ねえ? アイの家族ってどこにいるの?」
アイ「・・・家族はいないわ」
アイ「私は捨てられてたの」
ユウ「えぇ?」
ユウ「そんな・・」
ユウ「ゴメン・・」
アイ「いいの」
アイ「拾ってくれた ドクが私の家族よ」
ユウ「そうなんだね」
アイ「ねえ? 自分の事、何も思い出せない?」
ユウ「・・うん」
〇沖合
〇荒廃した市街地
ユウ「同じ女の子が、 何度も頭をよぎるけど」
ユウ「誰だか判らないんだ」
アイ「そう・・・」
アイ「多分、ユウの大切な人ね」
ユウ「そうなのかな・・」
ユウ「そうだとしても、 もう生きてないと思う」
アイ「・・・」
アイ「でも、 そんなに想われてるなんて、羨ましい」
ユウ「え?」
アイ「私は戦いしか知らないから」
ユウ「・・・」
〇黒
〇基地の広場(瓦礫あり)
ナギ「ねえ?」
ナギ「この戦い、いつまで続くと思う?」
アイ「じき終わるはずよ」
ナギ「・・そう願うわ」
〇黒
〇朝日
ユウ「ねえ、アイ?」
アイ「なに?」
ユウ「朝の陽射しって」
ユウ「奇跡的に美しいと思わない?」
アイ「・・・うん」
アイ「平和を感じる・・」
ユウ「ホントだね」
アイ「でも、ずっと平和になったら」
アイ「私は存在価値が無くなるかな」
ユウ「・・・そんな訳ないだろ!」
アイ「え?」
ユウ「なんでそんな事言うんだよ!」
アイ「・・・ユウ」
ユウ「あ、ゴメン! 大きな声だして・・」
ユウ「アイがいないと、僕は、その・・」
ユウ「困るんだ・・」
〇荒地
ナギ「いつもながら、いい腕ね」
アイ「ねえ、ナギ」
ナギ「なに?」
アイ「キレイな夕陽だね」
ナギ「え?」
ナギ「ど、どうした?」
〇兵舎
ユウ「足音で判ったよ、アイ」
アイ「そう・・」
ユウ「今日も無事で良かった」
ユウ「いつも、君の無事を祈ってるよ」
アイ「私は、そんな簡単に死なないよ」
ユウ「うん。 判ってる」
ユウ「でも、僕には祈る事しか出来ないから」
アイ「それだけで充分」
ユウ「これからも 君の為に祈り続けるよ」
アイ「ありがとう」
〇黒
〇黒
〇黒
〇宇宙空間
〇地球
〇黒
〇沖合
〇黒
〇黒
〇村に続くトンネル
ユウ「ねえ、アイ」
アイ「なに?」
ユウ「僕の頭に浮かぶ女の子の事が」
ユウ「少しだけ判ったよ」
アイ「・・・誰なの?」
ユウ「いや、誰かは判らないけど」
ユウ「彼女は未来に生まれる人だよ」
ユウ「まだこの世に存在していないんだ」
アイ「なんで判るの?」
ユウ「・・・なんとなくだけど」
アイ「そう・・」
ユウ「そして、 この争いも、もうすぐ終わると思う」
アイ「そうだったらいいね」
ユウ「うん」
ユウ「ねえ、アイ?」
アイ「なに?」
ユウ「僕と結婚して欲しい」
アイ「えっ?!」
ユウ「二人で共に戦おう」
アイ「・・・」
アイ「うん・・・いや」
アイ「はい!」
〇新緑
〇美しい草原
ユウ「こんなキレイな場所、 まだ残ってるんだね」
アイ「うん」
アイ「他の場所も、 戦いが終われば、再生するわ」
ユウ「子供達の為にも」
ユウ「絶対に、この惑星を守らないとね」
アイ「うん」
アイ「ホントにそう思う」
アイ「いつの日か、」
アイ「子供達と一緒に、 こんな場所を散歩してみたい」
ユウ「必ず出来るよ!」
ユウ「近い将来にね!」
アイ「うん!」
〇花模様
〇地球
〇黒
ユメ「これが私の両親の」
ユメ「出逢いの物語」
〇草原
〇朝日
ユメ「本当にキレイ」
ユメ「奇跡的に美しい世界」
ユメ「父と母はこの世界を」
ユメ「命と引き換えにして、守ってくれた」
ユメ「ありがとう」
ユメ「心から感謝します」
ユメ「私は絶対に」
ユメ「二人の事を忘れません」
ユメ「いつまでも・・」
ユメ「永遠に・・」
〇地球
〇菜の花畑
〇菜の花畑
〇菜の花畑
〇草原の道
〇草原の道
〇草原の道
〇桜並木
〇桜並木
〇桜並木
〇桜並木
〇黒
〇黒
〇実験ルーム
〇黒
〇黒
〇実験ルーム
エイリアン3「uitgkbt.fxblop?」
例の地球人、どうだ?
エイリアン1「seqmgryp」
幸せそうですよ
エイリアン1「XzyH.mlc.ytrefBhgs」
脳内で同じ物語を
延々と繰り返してます
エイリアン3「ZPlkmdw」
面白いな
エイリアン1「Xqtglizcgq」
興味深いですね
エイリアン1「Qwpu.VwiuNzeYmaq」
しかし
こんな数値は初めてです
エイリアン1「1wDbbiop9」
驚異的です
エイリアン3「sqtbY6tpl.btqFrlobha」
研究対象としては
最高の素材だな
エイリアン1「XmjYKuP」
間違いありません
〇黒
〇実験ルーム
エイリアン3「dpytvb.miqSemc9Snvr?」
ヤツの物語の登場人物は
実在するのか?
エイリアン1「Kutm.FeqloHbewp」
さあ、何とも言えません
エイリアン1「Cvglj.awjigrySlbuyrwV」
少なくとも
彼の中には存在してるでしょう
エイリアン3「NLiub」
警報か
エイリアン1「rroinbWqzq?」
侵入者でしょうか?
エイリアン3「・・・」
〇黒
〇黒
〇黒
〇沖合
〇地下に続く階段
〇黒
〇近未来の通路
〇黒
re-peat
最初と最後がつながっているウロボロスの物語だからタイトルがリピートだったのか。娘のユメは果たして過去から来たのか未来からきたのか。ユウがユメを強く思い続ける限りこの物語は永遠にリピートするんでしょうね。救いがあるような切ないような不思議な読了感でした。
色々と読む人によって感じ方、捉え方が異なりそうですね。
そんなところがこの作品の魅力でしょう!
自分は想像というか、妄想というか、現実では無いのだろうなぁと感じます。
二回読んで理解した気がするけど、全ては少年の妄想か?それを救いに来る女性の足音でポジティブに考えれるかどうか?で難解な結末のような気がしたと思っています。