異世界からの移住家族

嬌乃湾子

異世界人みほ、バイトする(脚本)

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〇狭い畳部屋
みほの父「うぅーぃ」
みほの父「おうみほ、まだ起きてたのか」
「・・・うわっ」
みほの父「けっ、なんでぇ」

〇簡素な部屋
みほの父「フガッ」
みほの父「フガッ!」
みほ「・・・」
みほ「くっさぁ!」
みほ「いつまで寝てるの?起きて!」
みほの父「んが!?」
みほの父「み、みほ、何かあったのか!?」
みほ「何も無いわよ、朝よ、あーさ!」
みほ「私今日早いからさっさとご飯食べて!」

〇川沿いの原っぱ
  私、みほと父、妹のみみは異世界人
  母は私が幼い頃に亡くなった
  この世界では転生者が増加したせいで父は職にあぶれてしまい
  私達家族は地球に移住する事に決めた

〇狭い畳部屋
  父は地球で働き
  私達は今ではここの世界にすっかり馴染んてる
  ここでは体力の消費も魔法で回復出来なくて不便だけど
  私は今、やりたい事があるんだ
みほの父「今日学校休みだろ。こんな朝早く起こしやがって」
みほ「実は私」
みほ「今日バイトなの」
みほの父「なっ・・・」
みほ「やだ、みみまで目から血を流しちゃって!」
みみ「お、お姉ちゃんがバイトやるなんてさ」
みみ「で、どんなバイトやるの?」
みほ「さやちゃんのお父さん、カフェをやっててね」
みほ「人手が足りないって言うから今日だけお店手伝うんだ!」
みほの父「初耳だ、どういうこってぇ!」
みほ「何?えりちゃんも来るのよ」
みほ「あっちの世界みたいにモンスターがいる訳じゃ無いし、安心だって!!」
みほの父「・・・確かに相手は人間だ」
みほの父「だがしかし!」
みほの父「男と云うものは狩猟本能ってものを持っているのだぞ」
みほの父「そんな所に娘をやるなど」
みほの父「許さぬ!」
みほ「その狩猟本能とやらの話を年頃の娘にしてくる父って何?」
みみ「でもお姉ちゃん人見知りだし、カフェなんて出来るの?」
みほ「店に出なくても皿洗いとか幾らでも仕事はあるわ」
みみ「本当に大丈夫~?」
みほ「もう、今更断れないの!」
みほ「さやちゃん言っていたけど、繁盛期は戦場なのよ」
みほ「それに私」
みほ「ずっとリア充に憧れていたの!」
みほ「だからあと宜しく、じゃーねー」
みほの父「みほぉ!」

〇おしゃれなレストラン
さやかの父「君たちがさやかの友達かい?今日は宜しく頼むよ」
みほ(うわぁ・・・さやちゃんのお父さんってカッコいい!)
みほ(うちのお父さんと全然違うわ!)
「はいっ、お願いします!」
さやか「それじゃ始めましょ」
「いらっしゃいませ~」

〇おしゃれなレストラン
みほ(い・・・忙しくて目が回る)
みほ(皆、周りを見ることも無く慌ただしく動き回ってるよ)
みほ(もう!指先一つで料理を作って持ち運べれば楽なのに)
みほ(どうして魔法も使えないの?)
みほ(お客さんの事を考えなきゃいけないし)
みほ(足を引っ張る事も出来ないのに)
みほ(メンタル折れそう・・・)
みほ(毎日仕事行ってこんな事続けてるお父さんって・・・)
さやかの父「君!」
さやかの父「悪いけど、この料理出してきてくれないか」
みほ「は・・・はいっ」
えり「みほちゃん、あのお客さん」
えり「さっき私に電話番号聞いてきたわ。気を付けてね」
みほ「わかった、ありがとう!」
みほ(えぇー・・・)
みほ(気を付けないと、気を付けないと・・・)
  カチャカチャ
客(カレシ)「何だこの娘、頭に変なツノみたいなの生えてさ」
客(カレシ)「あれ?」
客(カレシ)「でもよく見ると結構可愛いじゃん」
客(彼女)「ちょっと!」
客(カレシ)「何だよ」
客(彼女)「また他の女の子に声かけて、何なの」
客(カレシ)「別にいーじゃん」
客(彼女)「ちっとも良くないわ、デートしてるのよ私達!」
客(カレシ)「ふっ」
客(カレシ)「確かにお前は俺の女だ」
客(カレシ)「だからよぉ」
客(カレシ)「釣った魚に餌はやらないんだよ!」
客(彼女)「・・・私の事、厭きちゃったの?」
みほ(これがお父さんが言っていた狩猟本能っていうやつなの?)
みほ「この人、イケメンのくせに彼女には冷たいし」
みほ(おならもしないなんて)
みほ(なんてつまらないの!!)
さやか「みほちゃん・・・」
客(カレシ)「あーあ、変な店員のお陰でぶち壊しだよ」
客(カレシ)「何なんだ一体よぉ」
さやかの父「いらっしゃいま~」
さやかの父「せ・・・」
みほ「あ・・・」
みほ「お父さん!?」
みほ「・・・その格好」
みほの父「戦が始まっていると聞いてやって来た」
みみ「はは、この世界ではスマホって便利なもんがあるからすぐ見つけられたんだ」
みほの父「此処は世界は違えど、みほ達にとってまさに」
みほの父「血で血を洗う戦場の場!!」
みみ「だからってお父さんがその格好する必要無いけどね」
みみ「私達、フツーのお客さんで来ただけだし」
客(カレシ)「・・・」
客(彼女)「なぁんだ、今日ってコスプレイベントだったの!」
みほ「そ・・・」
みほ「そうなんです!」
みほ「お二人様、喧嘩する程素敵なカップルに見えますね~」
客(彼女)「まあこの子ったら、喧嘩する程仲が良いなんて」
「・・・」
客(カレシ)「俺が悪かったよ」
客(カレシ)「別に厭きた訳じゃ無いし」
客(カレシ)「けど、そもそもお前が悪いんだぜ」
客(カレシ)「俺の事見ないでインスタに写真上げてばっかでさ!」
客(彼女)「・・・こっちこそごめんね」
客(彼女)「貴方の事、これからはちゃんと見るから」
みほの父「みほ」
みほの父「この世界では剣も魔法も使えない」
みほの父「だがしかし!」
みほの父「それらを使わずとも己のスキルを磨くのが此の場所」
みほの父「お前は父を踏み台にして越えるのだぁ!」
みほ「うん!」

〇おしゃれなレストラン
「み・・・みほちゃん!」
覚醒した(?)みほ「今日はスペシャルコスプレで店を盛り上げています!」
覚醒した(?)みほ「大変お待たせしました、パスタサラダとハンバーグセットです!」
覚醒した(?)みほ「いらっしゃいませ~ご注文お伺いします!」
さやか「凄いわみほちゃん」
えり「めっちゃ頑張ってる!」
「私達も負けてられない!!」
  かくして彼女達は店の繁盛期を何とか乗り越えたのだった
みほの父(みほ・・・)
みほの父(まるで母さんを見ているようだよ)
みほの父(こうやって大人の階段を登るのか)

〇狭い畳部屋
みほの父「帰ってきたぞ」
みほ「・・・お父さん」
みほの父「おう、なんでぇ」
みほ「・・・今日もお疲れさま」
みほの父「お、おう」
みほの父「ぶぅーーぃ」
みほの父「喉に染みるぜぇ~!」
みほ「・・・」
みほの父「出るもんはしゃーない。ははは!」
みほ「お客様」
みほ「当店はおならは禁止しているので罰金がとして一万円頂きます」
みほの父「ふざけるな、このぼったくりバーめ!」
みほの父「て言うか、ここは俺の家だぁ」
  終

コメント

  • 娘のバイト先にフル装備で偵察に来るお父さん、いい人だな〜。それにしてもどんな仕事してるんだろう。みみちゃんは普段学校とかに行ってるの?不思議感あふれる魅力的な一家でした。

  • 父、妹とともにかなり個性的な家族ですね。みほもなかなか機転も利くし、覚醒もしちゃったし、立派に働いてましたね。楽しいお話でした。

  • 怪人キュビスムです。僕の作品を2つも採用して下さり、ありがとうございます。誰にも使わないだろうと思っていたので、とても感激です。主人公の年頃の女の子らしい可愛さがすごく伝わりました。ストーリーも面白かったです。

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