ぬいイズ降臨ing(脚本)
〇黒背景
あなたの名前は──
『ペコ』
???「ペコはんかぁ かいらしい名前やねぇ」
???「ギャピ!」
ペコ「ぼくは」
ペコ「ペコ・・」
???「素晴らしいステッチだ、レディ」
???「ん」
ペコ「ここは・・」
〇教会の控室
ワニのぬいぐるみ「ようこそ」
アッサム「私の名はアッサム」
アッサム「安心したまえ」
アッサム「皆、レディから魂を授かった」
アッサム「君の同胞だよ」
ペコ「レディ?」
キツネのぬいぐるみ「うちらを縫ぅてくれはった」
キツネのぬいぐるみ「ヘーゼル家のご令嬢──」
キツネのぬいぐるみ「メアリはんのことや♪」
メアリ「ん」
キツネのぬいぐるみ「ほんで」
マツリ「うちはマツリいいます」
マツリ「よろしゅうお頼申します~♪」
メンフクロウのぬいぐるみ「オルヅォ!!」
オルヅォ「だゾ」
ペコ「よ、よろしく」
オルヅォ「ギャピピ」
ママ「みんな 賑やかね」
アッサム「グッモーニン、マダム」
アッサム「新入りの歓迎をしていたところさ」
ママ「あら、名前は?」
メアリ「ペコだよ」
ママ「とっても可愛くできてる」
メアリ「ん」
ママ「歓談のところ悪いのだけど」
ママ「占いの依頼があるわ」
ママ「内容は軽そうだから」
ママ「貴方たちに任せるわね」
アッサム「承知したマダム」
ママ「メアリ、ごめん」
ママ「今日一緒にお買物に行く予定だったけど」
ママ「ママ、急用でこれから出掛けなきゃ ならなくなっちゃったの」
メアリ「・・うん」
メアリ「じゃあ」
メアリ「パパのお手伝いでもする」
メアリ「ペコ、行こ」
ペコ「ぼ、ぼく?」
ペコ「ま、待ってよ~」
マツリ「ほな うちらも支度しまひょか」
〇お化け屋敷
パパ「これはこっちに、っと」
パパ「ん~この渋さ」
パパ「いいよね~」
パパ「あれ?」
パパ「ママとお買物は?」
メアリ「ママ、忙しいって」
パパ「あらら」
メアリ「何か手伝う」
パパ「んー、大丈夫!」
パパ「品出しは終わってるからね」
パパ「メアリは 明日から新しい学校なんだし」
パパ「ゆっくり休んでたら?」
メアリ「ん・・」
眼鏡の女の子「あ、あのっ すみません」
眼鏡の女の子「この辺りで新しく」
眼鏡の女の子「ぬいぐるみ屋さんができるって聞いて・・」
パパ「わあ」
パパ「知ってもらえてて嬉しいな」
パパ「明日から本格的に開店だよ」
眼鏡の女の子「そうなんですね!」
パパ「メアリと同い年かな?」
パパ「『のりと小学校』の生徒さん?」
眼鏡の女の子「そうです!」
パパ「うちの娘も明日から転入するんだ」
パパ「仲良くしてあげてね」
眼鏡の女の子「転校生!」
エミ「私、エミ! よろしくね」
メアリ「ん」
メアリ「メアリ」
メアリ「よろしく」
エミ「メアリちゃんが連れてる その子かわいいね!」
メアリ「ペコだよ」
エミ「私もぬいぐるみ大好きなの」
エミ「この子はエマニエル!」
エマニエル「はにゃ~どうも~」
ペコ「こんにちは」
エマニエル「あれ~ぼくの声が聞こえるの~?」
エミ「今・・ペコくん動いた?」
メアリ「ん」
メアリ「気のせい」
メアリ「他の人の前では」
メアリ「動いちゃだめ」
エミ「大丈夫?」
メアリ「ん」
メアリ「何でもない」
メアリ「そのぬいぐるみ」
メアリ「すごく大切にしてるんだ?」
エミ「あ、うん・・!」
エマニエル「そうなの~いつもありがとうなの~」
メアリ「エマニエルが感謝してる」
エミ「えっ?」
メアリ「こころが集まると」
メアリ「魂になることがあるの」
メアリ「だからそのぬいぐるみは」
メアリ「エマニエルになれたんだ」
エミ「うぅん・・?」
エミ「難しいことはよく分からないけど・・」
エミ「嬉しいときも寂しいときも」
エミ「側にいてくれる」
エミ「私にとっては大切な、家族・・」
エミ「だよ」
メアリ「うん」
メアリ「わかるよ」
パパ「あっそうだ」
パパ「僕たち 最近引っ越してきたばかりで」
パパ「この街のこと よく知らなくてね」
パパ「よかったらメアリに 近所のこと教えてもらえないかな?」
エミ「じゃあ少し案内しよっか!」
〇川に架かる橋
エミ「へえ~お父さんは骨董屋さんなんだ」
メアリ「ママは占いもやってる」
エミ「すごいねえ」
メアリ「現代社会に適応してかないと 生活費を工面できないって」
メアリ「ママが言ってた」
エミ「け、結構シビアなんだ・・」
メアリ「あれは?」
エミ「あのお地蔵さん?」
〇山中の滝
この街ではずっと昔
大きな川の氾濫があったんだって
〇水中
当時の人が
水害がもう起こらないように
供養と願いを込めて
お地蔵さんを建てた――
そんな話だったかなぁ
〇川に架かる橋
エミ「あっ」
エミ「私そろそろ帰らないと」
メアリ「案内、ありがと」
エミ「うん!」
エミ「また学校で会おうね!」
お地蔵さんの霊「あんた」
お地蔵さんの霊「あたしが分かるのかい?」
メアリ「ん」
お地蔵さんの霊「おどろいた」
お地蔵さんの霊「人と話すのはいつぶりかね」
ペコ「ずっとここにいるの?」
お地蔵さんの霊「そうさね・・」
お地蔵さんの霊「いつまでもこんな所に居ても 仕方ないんだけど」
お地蔵さんの霊「息子とはぐれちまったのが 心残りでねぇ」
お地蔵さんの霊「やんちゃで」
お地蔵さんの霊「いたずら好きで」
お地蔵さんの霊「あの日も川に遊びに行くなんて言って・・」
お地蔵さんの霊「ばかだねぇ」
お地蔵さんの霊「とにかく 親には心配かけるもんじゃないよ」
お地蔵さんの霊「かけていいのは面倒だけさ」
メアリ「・・」
メアリ「面倒は」
メアリ「かけてもいいの?」
お地蔵さんの霊「そうさ」
お地蔵さんの霊「子供の特権だ」
メアリ「でも」
メアリ「ワガママ言ったら」
メアリ「嫌でしょ?」
お地蔵さんの霊「何だい」
お地蔵さんの霊「あんたはいい子だね」
お地蔵さんの霊「でもね」
お地蔵さんの霊「ちょっとくらいは言わなきゃ」
お地蔵さんの霊「親は案外寂しいもんなのよ」
〇お化け屋敷
〇教会の控室
ママ「ふぅ」
ママ(お母様には困ったわ)
ママ(ネクロマンサーの存続も)
ママ(後継も分かるけれど)
ママ(ひとりの親として)
ママ(あの娘をどこまで巻き込むか・・)
ペコ「ママさん おかえりなさい」
ママ「メアリは?」
ペコ「自室で寝ちゃったよ」
ママ「そう・・」
ママ「新しい環境だもの 疲れたわよね」
ママ「娘の付き添い、ありがとね」
ママ「様子、どうだった?」
ママ「ほら、あの娘・・遠慮しがちでしょ?」
ママ「ひとりで抱えこんでないか心配なのよ」
ペコ「メアリ本当はね」
ペコ「ママさんとのお買物」
ペコ「すっごく楽しみにしてたと思う」
ママ「それは」
ママ「・・」
ママ「とても悪いことをしてしまったわね・・」
〇おしゃれなリビング
オルヅォ「前後左右カクニーン」
オルヅォ「人影ナーシ」
オルヅォ「ギャピ 侵入成功☆」
アッサム「ここか」
アッサム「ジグソーパズルのピースが見つからない という依頼主の家は」
マツリ「あほくさ・・」
マツリ「占いとぬいぐるみの無駄づかいやわ」
オルヅォ「無くしモノ 見つかルって」
オルヅォ「評判にナったもんナ」
アッサム「これもれっきとした仕事」
アッサム「少しでもヘーゼル家の家計が 潤うのならオーライではないか」
アッサム「さて」
アッサム「場所の見当はどうだろうか、マツリ」
マツリ「とぉぜん」
マツリ「うちのハナに迷いはあらしまへん」
マツリ「こっちや」
〇おしゃれなリビング
マツリ「棚の隙間に挟まってはるわ」
マツリ「アッサムはんの杖 貸しとくれやす」
アッサム「マツリ君 まさかと思うが」
アッサム「私の素敵なステッキを その埃にまみれた隙間に」
アッサム「・・」
アッサム「すてきな、ステッキ・・」
アッサム「フフ」
アッサム「なんてな」
マツリ「はぁいほじほじ」
アッサム「マツリ君!!」
パズルピースの霊「うわっ!」
パズルピースの霊「何すんだよ!」
オルヅォ「ア」
オルヅォ「憑いてル」
パズルピースの霊「今かくれんぼ中なんだ」
パズルピースの霊「邪魔すんなよ」
アッサム「なるほど」
アッサム「ピースの方が隠れていたワケか」
オルヅォ「オルヅォたち そのピース 欲しギャ」
パズルピースの霊「えー」
パズルピースの霊「こっから出てけってこと?」
パズルピースの霊「やだね」
〇空
パズルピースの霊「そんなことよりさ」
パズルピースの霊「俺と遊ぼうぜ」
パズルピースの霊「鬼ごっこで!」
アッサム「待てっ!」
アッサム「逃がすな!オルヅォ!」
オルヅォ「ヨッシャ」
オルヅォ「アイヤ待たれーイ!」
〇高級住宅街
オルヅォ「アイツ速エー!」
アッサム「くっ」
アッサム「霊媒に『呼べ』れば 動きを止められるが」
マツリ「そこまでしよう思たら」
マツリ「せめて名前がわからんと」
パズルピースの霊「どうした!」
パズルピースの霊「ここまで来いよー!」
〇教会の控室
ペコ「窓の外から声が・・」
ペコ「パズルピースが飛んでる!?」
アッサム「ペコ!」
アッサム「そいつを捕まえろ!」
ペコ「メェっ!?」
パズルピースの霊「そう簡単に捕まらないぞ!」
オルヅォ「ゼェハァ・・」
アッサム「やんちゃ&いたずらボーイ」
アッサム「困ったものだ」
ペコ「やんちゃで・・いたずら・・?」
〇川に架かる橋
オルヅォ「3匹ハっ」
オルヅォ「ォ、重~~~~!」
アッサム「どの辺りだ?」
ペコ「あっちの・・川沿いのほう!」
パズルピースの霊「鬼さんこちらー!」
アッサム「よし」
アッサム「誘導しよう」
ペコ「お地蔵さんの」
ペコ「おかあさーん!」
お地蔵さんの霊「あんたはさっきの──」
お地蔵さんの霊「あれは」
お地蔵さんの霊「タカシ・・?」
パズルピースの霊「へへーん追いつけないだろ~!」
お地蔵さんの霊「タ・・」
〇雷
タカシの母「タカシぃィイーー!!!!」
〇川に架かる橋
タカシ「うえっ!?」
タカシ「かーちゃん!?」
アッサム「奴の名前!」
マツリ「やるで」
〇水たまり
カガレ カタシロ
タカシノ霊糸ヲ手繰リ
ソノヨルベニ綴ザセ
〇川に架かる橋
タカシ「なっ」
タカシ「す、吸われ」
タカシ「う、動けねえ!」
アッサム「我々の家元は まじないを生業としていてね」
オルヅォ「オルヅォたチは 見習いだケド」
マツリ「こんくらいはお手のもんやわ」
ペコ(すごい・・!)
タカシ「くそぉ」
タカシ「こっから出せーっ!」
タカシの母「こンのっ・・」
タカシの母「どこほっつき歩いてたんだい!!」
タカシ「ってえええ!!」
タカシ「何すんだよ!!」
タカシの母「あんたの帰りを」
タカシの母「どんだけ待ったと思ってるの!」
〇山中の滝
タカシの母「勝手に流されて!」
タカシ「あ、あれは・・」
タカシ「ちょっと足滑らせただけだって」
タカシの母「必死に探したよ・・」
タカシの母「なのに・・っ!」
〇川に架かる橋
タカシの母「ほんとに・・」
タカシの母「ばかだね・・っ!」
タカシ「か、ちゃん・・」
タカシ「ごめん・・グスッ」
タカシ「ごめんなさい・・おれ・・」
〇川に架かる橋
タカシの母「皆さんには迷惑かけたねぇ・・」
アッサム「我々も無事に 探し物を確保した」
アッサム「ノープロブレムだ」
タカシ「じゃ! 俺、帰るわ!」
タカシの母「ったく調子いいんだから・・」
タカシ「楽しかった!」
タカシ「また、遊ぼーな!」
アッサム「ああ」
アッサム「シー・ユー・レイター」
アッサム「アリゲーター・・」
マツリ「しょぉもな・・」
オルヅォ「今フザけるトコじゃネーゾ」
アッサム「大真面目だ」
アッサム「これには アフター・ワイル・クロコダイルという 正当なる返し方があってだな」
マツリ「あんたはどれか言うたらカイマンやろ」
〇教会の控室
ママ「昨日はお疲れ様」
ママ「依頼人、すごく感謝してたわ」
アッサム「お安い御用さ」
ママ「メアリ」
ママ「昨日は約束守れなくて」
ママ「本当にごめん」
メアリ「仕方ないよ」
ママ「必ず埋め合わせをさせてちょうだい」
メアリ「あのね・・」
メアリ「ママが淹れてくれた」
メアリ「紅茶が飲みたい・・な」
ママ「そんなこと」
ママ「かしこまらなくたって いつでも淹れてあげるわ」
ママ「学校から帰って来たら ティータイムにしましょう」
メアリ「うん!」
アッサム「・・愛」
アッサム「実に素晴らしきかな」
マツリ「ペコはんお手柄やったなぁ」
オルヅォ「チョー助かっタ」
ペコ「みんなも凄かった!」
ペコ「あの 寝巻ファンシー みたいなやつ!」
オルヅォ「ネクロマンサー ナ」
マツリ「ペコはんにも やれるんとちがいます?」
ペコ「そうなの!?」
マツリ「知らんけど」
(適当)
アッサム「どうだペコ」
アッサム「ここでの暮らしは」
ペコ「うん」
ペコ「きっと」
ペコ「退屈しないね」
メアリ「じゃ いってきます」
メアリ「ペコ、行こっ」
ペコ「うん!」
スチルすごく綺麗で、見やすく、凄く素敵でした✨😍
そして、ぬいぐるみが動くというファンシーな設定でありながら、ヒューマンのど真ん中を突いてくるようなストーリーで、最後の方はジーンとなって、涙がじわっと出てきました✨😊🌸
心が温まるお話で好きですね✨
そして、メアリが奥ゆかしくて可愛いです・・・これから回を重ねるにつれてたくさん甘えられるようになっていけたらいいなぁーなんて思いました✨
TRPG! やったことはないですが、とある動画で一時期ハマってたことがありますね( ´ ▽ ` )
ぬいぐるみ達それぞれのキャラが立ってて、会話を想像するだけでも楽しそう…!
そしてアニメを見たような満足感!!
楽しかったです!!
美麗なスチルの信頼感から立ち絵違和感は早々に消え去って楽しく読めました!
人間の家族もまだまだ課題があるので、ぬい達がそれをなんとかしていく方向性でもお話が出来そうで、可能性を感じました。