りおのカーニバル

まあやん

りおのカーニバル(脚本)

りおのカーニバル

まあやん

今すぐ読む

りおのカーニバル
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇川に架かる橋
  絆橋

〇川に架かる橋
おばちゃん「理央ちゃん」
理央「こんにちは」
おばちゃん「絆橋が出来て助かったわよ~」
おばちゃん「向こう行くの、今まで遠回りだったでしょ?」
理央「まあ」
おばちゃん「この橋作ってくれた高須議員は 私たちの味方よ!」
おばちゃん「今度の選挙も、お父さん応援するわよ」
理央「あっありがとうございます」
おばちゃん「じゃあ」
理央「・・・・・・遠回りしよ」

〇おしゃれなリビングダイニング
  高須家・ダイニングルーム
幸子さん「シチューのお代わりはいかがですか?」
理央「ありがとう でもあまり食欲なくて」
幸子さん「それは大変! これから病院に」
理央「大丈夫、食欲がないだけ」
理央「あっ!でも 幸子さんの料理はいつも美味しいよ」
幸子さん「ならいいのですが」
幸子さん「やっぱりひとりの食事は味気ないですよね」
理央「いつもの事だから」
高須 憲次郎「はあ、疲れた」
高須 憲次郎「僕にも夕食お願い」
幸子さん「旦那様、今日は早いですね 良かった」
幸子さん「用意しますね」
高須 憲次郎「久しぶりだね理央」
高須 憲次郎「最近学校はどうなんだい?」
理央「別に、普通」
高須 憲次郎「普通って」
高須 憲次郎「久しぶりに一緒に食べようと 急いで帰宅したんだよ」
高須 憲次郎「パパと話そうよ」
理央「パパ?」
理央「私の中では5年前にママと共に交通事故で 死にました」
高須 憲次郎「え?」
理央「あなたは市民を最優先する」
理央「ご立派な政治家の先生です」
高須 憲次郎「そんな・・・・・・」
高須 憲次郎「何? 5丁目で土砂災害?!」
高須 憲次郎「すぐ行く」
理央「・・・・・・」

〇川に架かる橋
  放課後、理央が帰宅中に
ロベルト高須「理央!」
理央「竜太郎伯父さん?!」
ロベルト高須「今はラテン歌手、ロベルト高須だ」
ロベルト高須「7年ぶりにブラジルから帰ってきた」
ロベルト高須「大きくなったなあ」
ロベルト高須「抱っこしてあげよう」
理央「はあ?」
ロベルト高須「俺の胸にドンっと飛び込め! さあ!」
「(理央のパンチ)」
ロベルト高須「イタっ!」
ロベルト高須「って橋渡ってかねえのかよ」
理央「渡る訳ないでしょ」
ロベルト高須「おい理央! 置いてくなよ」

〇おしゃれなリビングダイニング
ロベルト高須「うまい! やっぱ和食最高!」
ロベルト高須「幸子さん、おかわり!」
幸子さん「はい 今、持ってきますね」
理央「3杯目・・・・・・伯父さんよく食べるね」
ロベルト高須「ロベルトと呼べ」
ロベルト高須「っていうか、憲次郎は?」
理央「あの人、まつりごとに忙しいから」
ロベルト高須「まつりごとぉ? ああ、カーニバルに忙しいんだな」
ロベルト高須「なんてな」
理央「そんな事よりさあ」
ロベルト高須「おい、今のはスルーかよ」
理央「いつまで日本にいるの?」
ロベルト高須「ずっとだ 今後、音楽活動は拠点を日本に移す」
ロベルト高須「ヨロシク!」
理央「気楽なもんよね」
理央「長男のくせに好き勝手やって」
理央「しわ寄せ、全部こっちにきてるんですけど」
ロベルト高須「すまん、迷惑だったか?」
理央「なんてね、冗談よ冗談」
理央「テレビでも見ようよ」
  (キャスターの声)
  
  民政党の森田議員が、長男義孝氏の大学裏口入学の便宜を図った疑いが発覚しました・・・・・・
ロベルト高須「息子のために裏口入学って・・・・・・ 悪い政治家だなあ なあ、理央」
理央「・・・・・・素敵」
ロベルト高須「・・・・・・」

〇古風な和室(小物無し)
  高須家・和室
  深夜
  高須光恵(故人)の遺影に手を合わせていると
ロベルト高須「わっ!」
高須 憲次郎「兄さん! びっくりした!」
ロベルト高須「ごめんごめん」
高須 憲次郎「おかえりなさい」
ロベルト高須「いつもこんなに遅いのか?」
高須 憲次郎「ええ、まあ」
ロベルト高須「理央とちゃんと向き合っているか?」
高須 憲次郎「それが、ほとんど幸子さん任せで・・・・・・」
高須 憲次郎「光恵が生きていた時は フォローしてくれていたからよかったのですが」
高須 憲次郎「でも、大切な市議の仕事をおろそかに できないんです」
ロベルト高須「そりゃあ、親父の跡を継いだのは 俺じゃ無く、お前でよかったと思ってるよ」
ロベルト高須「お前には色々悪いと思ってる でもよ~」
高須 憲次郎「仕事に邁進する事が 僕なりの理央への愛情方法なんです」
高須 憲次郎「すみません 明日も早いので」
ロベルト高須「・・・・・・」

〇学校の校舎
理央「え? ライブ?」
ロベルト高須「そうだ。帰国後初の野外ライブ」
理央「なんで?」
ロベルト高須「来ないと毎日校門で歌ってやる」
理央「そ、それは勘弁してよ」
ロベルト高須「詳細はこのチラシを見ろ じゃあ」
理央「ちょっ、ちょっと!」

〇川に架かる橋
  絆橋
  憲次郎、選挙の街道演説をしている
高須 憲次郎「私は二世議員です でも私は一度もそんな気持ちで仕事をした事はありません」
高須 憲次郎「なぜなら、この街を愛しているからです」
おばちゃん「がんばってぇ!」
高須 憲次郎「ありがとうございます」
高須 憲次郎「どうか私を、男にさせて下さい」
おばちゃん「なにこの音?」
ロベルト高須「今日は俺、ロベルト高須の野外ライブに来てくれてありがとう!」
理央「はあ、はあ (走ってきて激しい息づかい)」
高須 憲次郎「理央!」
理央「パパ!」
理央「ってこれ、どういう状況?」
ロベルト高須「まずはこの曲 『ビバ! 俺の太陽』」

〇川に架かる橋
ロベルト高須「♪今日も灼熱の太陽が      惜しみなく愛をそそぐ~」
ロベルト高須「♪~オレ!!!」

〇川に架かる橋
理央「・・・・・・」
高須 憲次郎「兄さん、邪魔しないで下さいよ」
ロベルト高須「マイク借りるぜ」
高須 憲次郎「ちょっと」
ロベルト高須「今日は無礼講だ」
ロベルト高須「お前なりのまつりごと、父親にかましてやれ」
ロベルト高須「ほら、理央」
理央「・・・・・・」
理央「あんたなんか大っ嫌い!」
理央「落選すればいいのに!」
高須 憲次郎「家で話し合おう」
理央「ほとんど家にいないじゃない!」
理央「市民には熱心に思いを伝えるくせに」
理央「私には放置プレイじゃない!」
高須 憲次郎「頑張る姿を見せれば いつか分かってくれると思ったんだ」
理央「分かる訳無いよ!」
理央「娘からの支持率、0パーセントなんだから!」
理央「うぅ」
ロベルト高須「親子の血にあぐらかき過ぎじゃねーか?」
ロベルト高須「憲次郎、太陽のように愛をそそげ ハッキリとよ!」
高須 憲次郎「理央ごめん」
高須 憲次郎「僕をもう一度、父にさせてくれないか?」
高須 憲次郎「皆さん 実は絆橋、娘のために作りました!」
高須 憲次郎「理央の通学が楽にするため それがきっかけです」
高須 憲次郎「公私混同してすみませんでした!」
おばちゃん「えっ!!」
理央「そうだったの?」
高須 憲次郎「僕は親としても、政治家としても失格です」
ロベルト高須「♪~別にいいじゃんセニョリータ~」
ロベルト高須「きっかけなんて何でもいい 要は結果よ結果」
ロベルト高須「役に立ってんだろ? この橋」
おばあさん「そりゃ」
おじさん「確かに」
おばちゃん「助かってるわよ」
  賛同の声々
理央「パパ!」
  初めて橋を渡る理央
高須 憲次郎「理央!」
  憲次郎、理央を抱きしめる
ロベルト高須「良かったな」
高須 憲次郎「兄さんに言いたい事が」
ロベルト高須「礼ならいいぞ」
高須 憲次郎「その音楽センス、どうかと思います」
理央「そうよ 本場に渡ってその絶望的クオリティ」
理央「ギター漫談にすれば?」

〇ストレートグレー
ロベルト高須「・・・・・・なんちゅう親子だ」

コメント

  • 高須と聞くと反射的に「イエス!」と言いたくなっちゃうけど、ロベルト高須おじさんはグッジョブでしたね(歌以外)。りおは今は難しいお年頃だけど、実直なお父さんの後を継いで女性議員になっちゃうかもですね。選挙のときは毎回ロベルトおじさんを呼んでカーニバルしてほしいです。

  • 絆橋の意味がわかって心が温かくなりました。
    素敵な作品をありがとうございました!

  • 言葉にしないと相手には伝わらない。例え親子だとしても、それは変わらない。
    おじさんが橋渡し役で分かり合えて今回は良かったけれど、どんあことでも会話しないと誤解を招く。

コメントをもっと見る(4件)

ページTOPへ