白ウサギと追いかけっこ!

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〇結婚式場の入口
チョコント「おお、愛しのペラリ! どうかこの私を捕まえておくれ!!」
ペラリ「帰る」
チョコント「ちょいちょいちょい!」
ペラリ「引っ張るな引きずるな おちょくるのは止めろ」
チョコント「ダメですよ!チョコントを捕まえないと」
  金の懐中時計を突きだして見せるチョコント
チョコント「お忘れです?」
チョコント「チョコントとペラリさんは、追いかけっこ中」
チョコント「この懐中時計を、あなたが獲るまでは、ね」
ペラリ「わかってるさ」
  ここに来る前 あたしは街に居た

〇飲み屋街
  あたしは 用心棒のペラリ
敵「うわぁあ!」
敵「くっ」
敵「あわわ」
ペラリ「残り一人」
ペラリ「出てきて良いよ」
要人「あ、ありがとう」
ペラリ「別に、守るのが仕事」
要人「で、でも、ありがとう!」
ペラリ「片付いた」
人員「制圧完了。ご苦労だった、ペラリ」
ペラリ「手応えの無い相手だった」
人員「噂にたがわぬ腕前だったな」
人員「あっという間に倒しちまった」
  ペラリはヘッドフォンを掴み、投げ捨てた
ペラリ「黙れ。始末はおまえらの仕事だろうが」
ペラリ「あたしは護衛。始末屋じゃないんだよ」
  一人で歩き出すペラリ

〇スペイン坂
「あ、あの!」
チョヤ「お迎えに来ました」
ペラリ「あんた、名前は?」
チョヤ「情報伝達係(メッセンジャー)のチョヤです!」
ペラリ「獣耳娘、話は聞いてる」
ペラリ「次の任務・・・のための腕試し」
チョヤ「はい!腕試しの訓練場へ、ご案内します」
  あたしは チョヤに連れられ街を後にした

〇名門校の校門(看板の文字無し)
ペラリ「ここが、訓練場?」
チョヤ「はい!暫しお待ちを!」
チョコント「御用ですか?」
ペラリ(びっ・・・くりした)
ペラリ(何だこいつ)
チョヤ「あー!チョコントさんステイ!」
チョコント「ああ、挑戦者ですね!」
  金の懐中時計を取り出す白ウサギ
チョコント「1日の決まった時間、私を追いかけて、この時計を奪取してください。 それでは、腕試し開始です!」
チョヤ「スミマセン、人の話聞かないウサギで」
ペラリ「いい。 追いかけっこが訓練、ね」
チョヤ「は、はい。訓練は地下の施設で行います。 地上の施設は御休所です」
チョヤ「ウサギを捕まえたら、懐中時計が進呈されます」
ペラリ「わかった。受けてたつ」
チョヤ「で、ではこちらへ」
  すぐに終わると思った

〇地下道
  でも 違った
チョコント「本日はここまで!」
チョコント「さてさて、惜しかったです。が」
チョコント「今回も、私を捕まえ損ねましたねぇ」
チョコント「ふふ、私は沢山おりますのに」
チョコント「どうぞ、好きな私をご贔屓に」
チョコント「それでは、休憩に入りますよ!」
  ウサギは三人もいて、誰も捕まらない

〇地下広場
ペラリ「また、捕まえ損ねた」
ペラリ「いくら地の利が向こうに有るとはいえ」
ペラリ「あたしの斬撃が、掠りもしないなんて」
ペラリ「次は叩き切る」
ペラリ「切れる、のか?」

〇養護施設の庭
ペラリ「あたしは強い、あたしは強いんだ」
ペラリ「あのウサギが──」
ペラリ「地上は呑気なもんだな」
チョコント「ペーラリさん!」
ペラリ「わひゃっ──」
チョコント「訓練相手のチョですよ!」
ペラリ「聞いてないし、知ってる」
チョコント「今日も楽しかったですねぇ」
ペラリ「いけしゃあしゃあと・・・」
チョコント「ペラリさんは、チョのこと嫌いですか?」
チョコント「あ!まってまって」

〇結婚式場の廊下
ペラリ「訓練ね」
ペラリ「変なウサギと追いかけっこばかり」
ペラリ「腕が鈍る前に、全力で仕留めるか」
チョヤ「し、仕留める?」
チョヤ「え、チョコントさんを仕留めるんですか?」
ペラリ「そうだ、といったら?」
チョヤ「あわわ」
チョヤ「ちょっと嬉しい」
ペラリ「はいはい、まったく」
ペラリ「得にもならないこと、しない」
  ペラリはチョヤの頭をくしゃくしゃに撫でた
ペラリ「あたしは用心棒。 護衛であって、始末屋じゃない」
ペラリ「時間だ。行ってくる」
チョヤ「はい!いってらっしゃい!」

〇地下道
  入り乱れる足音と、人影が交錯する
ペラリ「ちょこまかと」
ペラリ「いい加減、つかまれ!」
チョコント「いやです!まだまだ」
チョコント「でもちょっと捕まりそう・・・だから」
「お返し!!です」
ペラリ「うぉ──」

〇養護施設の庭
チョコント「惜しかったですねぇ」
ペラリ「どこがだ」
ペラリ「閃光弾なんて使いおって」
チョコント「捕まりそうだったので、ついつい それでは!」
ペラリ「チョのやつ 明日こそは、捕まえる」

〇結婚式場の入口
チョコント「たーのしかった!」
チョコント「ペラリさん、本気で息の根止めに来てましたね」
チョコント「はっ、もしかして、嫌われてる?」
???「チョコントさーん」
「はーい、チョコントです」
チョ「チョです」
コ「コです」
ント「ントです」
チョヤ(見分けつかないんだよなぁ)
チョヤ「ペラリさんの関係者から問い合わせです」
チョヤ「あとどのくらい掛かりそうか、と」
チョコント「んー、お望みの期日まで?」
チョヤ「望みの期日?」
チョコント「もうしばらく、ってことです!」
チョコント「まぁ、気が済むまで?」
チョコント「だって楽しいんですもん。追いかけっこ」
チョヤ(こ、この、自由人め・・・ 返事を伝える私の身にもなってほしい)
チョヤ「それで、返事は──」
チョコント「いい感じで!」
チョヤ「あはは」
チョヤ「テメェ襟巻きにしたろか、おぉ?」
  思わず心の声がもれるチョヤだった

〇結婚式場の廊下
ペラリ「はいはい、なに?」
ペラリ「依頼?無理・・・任務中」
ペラリ「──まだかかりそう。それじゃあね」
チョコント「こんにちは!」
ペラリ「ントでしょ」
ペラリ「さっきはチョに絡まれた」
ント「うわ・・・見分けつくんですか」
ペラリ「誰かと一纏めにするの、嫌なの」
ペラリ「双子だったからかな。いつも同じ服、同じ持ち物、同じ髪型で。一纏めにされたくなかった」
ント「なるほど、それでントたちを見分けてくれたんですね」
ント「『個人』として!」
ペラリ「別に・・・」
ント「んー、次は衣装替えでもしましょうかねぇ」
ペラリ「あんたたちのお揃いが嫌って訳じゃなくて」
ント「わかっていますよ!優しいですねペラリさんは」
ント「それでは、また明日」
ペラリ「あ、ああ」
ペラリ「また明日、ント」

〇結婚式場の階段
ント「ペラリさん好きです!」
コ「気に入りました!」
チョ「追いかけっこ楽しいし」
ント「いい子だし」
コ「でも、気を抜くと捕まりそう」
ント「ペラリさん、腕が上がりましたから」
チョ「これは、チョたちも本気でいかなくては」
「まだまだ遊びますよ!」
コ「でもさ」
コ「きょうだいでキャラを揃える必要あった?」
ント「衣装も仕草も何もかも一緒 楽しいでしょ」
チョ「楽しいじゃない」
コ「姉さんたちは良いだろうけどさぁ!」
コ「三つ子どころか双子でもないし!コーデ一緒なだけだし!僕の趣味じゃないし!」
チョ「楽しい楽しい」
ント「楽しければ、よし!」
コ「楽しいけどさぁ!衣装が骨格とかギリギリなんだってば!」
  かくして、追いかけっこは続く

コメント

  • 「白ウサギ」と「懐中時計」と「地下の追いかけっこ」とくれば「不思議な国のアリス」ですね。それにしても見分けのつかないチョとコとンコのコがまさかの男の子だなんて可愛すぎる。追いかける方も逃げる方も、もはや目的や結果を失っている感じが本当に「不思議な国のペラリ」で摩訶不思議なワンダーランドでした。

  • 愉快な、でも四人には大事な気持ちになるおにごっこ、楽しかったです。
    そしてチョヤちゃん、伝達係お疲れ様です。素敵なキャラにしてくださってありがとうございました!

  • わたしには一切見分けがつきません…笑
    でもチョコントの三人衆はなんだか可愛らしい…ぜひ捕まえてもふもふ…いやらしい意味ではなくお触りしたい!

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