読切(脚本)
〇一人部屋
「お邪魔します── って、なんでこんなにくらいのよ、電気くらいつけなさいよ!」
「電気代が勿体ないだろう? 節約だよ、節約」
「節約ってあんた・・・だったら、もっと節約できるものとかいっぱいあるでしょ」
「例えばなんだよ」
「あんなフィギュアとか要らないじゃない。こんな可愛い幼馴染がいるのに、そんなものにデレデレしちゃって!」
「馬鹿野郎お前、あのフィギュアはな完全受注生産のプレミア品なんだぞ。一体どれほどの値がつくと思ってんだよ!」
「知らないわよ、そんなの! それよりも、アンタみたいなダメ人間と付き合ってあげてる私にもっと感謝の気持ちとかないの?」
「ハッ、お前みたいなじゃじゃ馬娘と付き合ってあげてる俺の方こそ感謝して欲しいね!」
「なによその態度信じらんない!」
「お前が先に喧嘩をしかけてきたんだろ!」
「事実を言ったまでじゃない!」
「こんな真っ暗な部屋で一日中ゲームしてないで・・・もっと私のことも構いなさいよ・・・」
「お前と遊んでるより、仲間とゲームしてた方が百倍楽しいわ!」
「な、なによそれ! 本当に信じられない!」
「アンタがどうしてもって頼むから、彼女になってあげたのに!」
「アナタなんか、大嫌いよ!」
「うるせぇな! そんなに俺のこと嫌いなら別れればいいだろ!」
「ああ、いいわよ! 別れてやるわよ! もう二度とこんなところに来ないんだから!」
「もう二度と俺の目の前に現れんなよ」
部屋の中に沈黙が訪れる。彼女は部屋を飛び出していってしまった。
だけど、それから数秒もしないうちに──
「・・・・・・ちょっと、なんで追いかけてこないのよ」
「は? 別れるっていいだしたのはお前の方だろ。なんで、俺が追いかけなきゃならないんだよ」
「そんなのウソに決まってるじゃない!」
「ちょっとでもアンタの気を引きたくてつい・・・」
「あー、本当にお前はめんどくさい女だな・・・」
「なによ、めんどくさいって・・・ そんなの自分が一番知ってるわよ・・・」
「こっちこいよ」
「うん」
「私も愛してるわ」
「目を閉じろよな」
「やさしくしてよ──」
〇一人部屋
突然、部屋の電気がつけられ、乱入者が現れる。
妹「お兄ちゃんー! ご飯だよ──」
妹「なんでスマホにキスして何してるの?」
「あっ」
妹の前にはスマホで再生していた『ボイスドラマ 理想の彼女 ツンデレ幼馴染 夏美編』の表紙イラストにキスしている俺の姿が。
「ま、待ってくれ妹よ。このことは秘密にしておいてくれないか・・・?」
妹「・・・」
妹「お母さん────ッ! お兄ちゃんがスマホにキスしてるぅ!」
「うわぁぁぁぁぁぁ!」
絶対に知られてはいけない秘密を知られた俺は、一か月スマホを取り上げられたのだった。
ものの見事にミスリードされてしまいました!まさかの展開で大笑いしました。しかも、これが実話というところで面白さも累乗ですね!
途中までは本当の彼女だと思って読んでました。
なんかおかしいぞ?と思い始めたら妹が来て、あーやっぱり的な笑
読んでて楽しかったです!
どんまい!っと作者に直接言ってあげたい。でも読者には途中まで、あたかも本当の物語のように感じましたよ。妄想がいつか現実になりますように・・・。