17.このママではいられない。その7(脚本)
〇要塞の廊下
〇教会の中
シタラ「──あれ? 行き止まり?」
アルバス「妙な造りの建物だな・・・ どこがどう繋がってるんだ?」
シタラ「とりあえず、引き返さなきゃ──」
シタラ「アル、後ろ!」
アルバス「おっと!?」
ソウガ「ふん・・・ まあ、これくらいは避けるか」
シタラ「ソウガさん・・・!」
シタラ(それに、なにあれ・・・? おもちゃの剣?)
ソウガ「元気そうで残念だよ マザコン・マントコート」
アルバス「よお、隊長! 聖女ママを探してんだ。知らねえか?」
ソウガ「・・・聖女様は貴様のママではない」
アルバス「いや、この世の女は俺のママだ」
ソウガ「・・・最初に会った時もそうだった」
ソウガ「その意味の分からん理屈で、 何度も邪魔をされてきた・・・」
ソウガ「──だが、それも今日で最後だ」
シタラ「お、奥からも人が・・・!」
アルバス「待ち伏せってやつか・・・」
アルバス「下がってろ、ママ 俺が全員ぶっ倒してやる──」
シタラ「あの、ここにいる人たちは 聖女さんのために集まった人ですよね!?」
アルバス「ま、ママ!?」
ソウガ「それがどうかしたかな?」
シタラ「みんな知ってますよね? 聖女さんがずっと探してること!」
シタラ「アルと聖女さんのこと、 確かめるべきだと思いませんか!?」
アルバス「俺と、聖女ママ・・・?」
ソウガ「確かめるまでもないよ そこにいる男は降人じゃないんだから」
シタラ「本当に、そうですか?」
ソウガ「・・・」
シタラ「私が知ってる物と降物には、 大きな違いがあります」
シタラ「力とか規模とか、 そういうものが大きすぎるんです!」
シタラ(そして、たぶんこの法則は──)
〇森の中の小屋
〇教会の中
シタラ「もしかしたら、 生き物も同じなんじゃないですか?」
シタラ「だとしたら、アルは──」
ソウガ「もういいよ そんなことは、調べがついている」
シタラ「なっ・・・!?」
ソウガ「きみの推理通りだよ そこの男は降人の可能性が高い」
シタラ「なら、なおさら会わせるべきですよ!」
ソウガ「いいや、だからこそ 会わせるわけにはいかない」
シタラ「は・・・?」
ソウガ「僕が・・・」
ソウガ「──いや、ここにいる”僕たち”が認めない」
シタラ「なに言ってるか、わかりませんよ! ちゃんと説明を──」
部下「──隊長の言うことがすべてだ」
シタラ「ひゃっ!?」
アルバス「ママ、下がってろ・・・!」
ソウガ「もういいだろう・・・ 我々は話し合いに来たのではない」
ソウガ「マザコン・マントコート! 貴様との因縁を、終わらせに来たのだ!」
〇教会の中
アルバス「なんだ、そのなまくら? こんなもんで、俺が切れるか!?」
ソウガ「その通りだ こんな物では、お前は切れない!」
部下「よく狙え! 隊長に当てるなよ!」
アルバス「──ッ!?」
部下「高圧の水の弾だ! 貴様でも射貫くぞ!」
アルバス「水遊びなんてしてんじゃねえっ! お前らから先に──」
アルバス「邪魔すんなっ!」
ソウガ「くっ──」
アルバス「待ちやがれ!」
アルバス「そんなもん 投げても、 痛くも痒くも──」
シタラ「──アル! 目と耳を閉じて!」
アルバス「え!?」
シタラ「たぶん、光って音が鳴るおもちゃ──」
アルバス「──くそっ! またこれかよ!?」
アルバス「ぐっ・・・!?」
部下「効いている・・・! 今が好機だ! 撃ち続けろ!」
シタラ「あ、アル・・・!」
シタラ(私に、なにかできること・・・!?)
シタラ(──そうだ、私も降人なんだ!)
シタラ(アルと同じくらい頑丈なら、 かばうくらい・・・!)
アルバス「──じっとしてろよ、ママ!」
シタラ「え!?」
アルバス「この程度、ママが心配することねえ! 俺に任せてくれよ!」
ソウガ「動いた!? だが、目も耳も使えずなにを──」
アルバス「よし! 手ごたえあり!」
部下「ど、どうやって位置を・・・!?」
部下「くっ・・・撃て! 奴の動きを止めろ!」
アルバス「──ッ!」
アルバス「・・・そっちだな?」
隊員「は、早い──」
部下「──そうか、貴様! 撃たれた方向を!?」
アルバス「その通り!」
部下「もう立ち直って・・・!?」
部下「ぐあっ・・・!」
部下「──だが、捕らえた!」
アルバス「ああ?」
部下「隊長!」
アルバス「離せっ!」
ソウガ「これで終わりだ、マントコート!」
〇黒背景
〇教会の中
ソウガ「なっ・・・?」
ソウガ「バリカンの刃が、通らない・・・!?」
アルバス「よお、これで終わりか・・・?」
ソウガ「くっ・・・こんな・・・! 貴様が降人だというだけで・・・!」
ソウガ「──負けるものかぁ!」
ソウガ「──う、がっ」
シタラ「──アル! 大丈夫!?」
アルバス「おう、ママ・・・平気だよ!」
シタラ「で、でも血が出てるし・・・!」
アルバス「これくらい大丈夫だって! それより、早く聖女ママを探して──」
「・・・待て!」
アルバス「そんなふらふらで、 俺を止めれるわけねえだろ」
ソウガ「それでも、貴様と聖女様を・・・ 会わせるわけには・・・!」
アルバス「・・・なんとなく、察しはついてるぜ」
アルバス「ママ、俺と聖女ママは なにか関係があるんだな?」
シタラ「・・・うん」
シタラ「もしかしたら、 アルを産んだ人かもしれないの」
アルバス「・・・そうか」
アルバス「──この建物は、妙な造りだよな 迷路にみたいに複雑だ」
ソウガ「・・・」
アルバス「それに加えて、内側から開けれない鍵に、 はめ殺しの窓・・・」
アルバス「まるで牢獄だ 誰かを閉じ込めるためのな」
ソウガ「・・・それが、どうした?」
アルバス「お前らは、 聖女ママがいなくなるのが怖いんだ」
アルバス「俺が本当に息子だったら、 頼りの聖女様がいなくなるかも、か?」
アルバス「──ふざけんじゃねえ!」
アルバス「なにが聖女様の親衛隊だ? ママを閉じ込めて、こき使ってるだけだ!」
ソウガ「違う・・・」
アルバス「ああ?」
ソウガ「知った風なことを言うな! 今更 貴様に息子面されてたまるか!」
ソウガ「聖女様の息子は貴様じゃない!」
ソウガ「──あの人の子供は、僕たちだ!」
アルバス「うおっ!?」
シタラ「アル!?」
アルバス「大丈夫、当たってねえよ それに──」
ソウガ「く、そ・・・!」
アルバス「あいつも限界だ さすがにもう動けねえだろ」
〇教会の中
シタラ(どういうことだったんだろ? ソウガさんが息子だって・・・?)
聖女「──あら、さっきの子」
シタラ「へ? 聖女さん!?」
聖女「こんな所でどうしたの? 今日の授業はお休みのはずだけど──」
聖女「・・・んん?」
「うう・・・」
聖女「・・・なに、これ?」
アルバス「ん? シタラママ、その人は──」
シタラ「あ、ちょっと、聖女さん!?」
聖女「私の子供にぃ──」
アルバス「うおっ!?」
聖女「なにをしたのっ!?」
アルバス「ぐぉ・・・!?」
シタラ(つ、強すぎ・・・!?)
シタラ「あ、アル! 大丈夫!?」
聖女「・・・アル?」
感動の親子の対面……!?
どうなってしまうか楽しみです😊