「なんでこうなったんだ?」

ふたひい

シーン5(脚本)

「なんでこうなったんだ?」

ふたひい

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〇廃ビルのフロア
  ーーーーーー あれからどれくらいの時間が経っただろうか。
  俺は今、薄暗い部屋の中で椅子に縛り付けられている。
俺「ここはどこなんだ? 一体これからどうなるんだ?」
  様々な疑問が頭に浮かんでくる
俺「あの・・・ここってどこなんですか?」
  恐る恐る聞いてみると、
組織の男「ここは、私たちの拠点だ。ちなみにこの建物には誰もいない」
  どうやら、ここには俺たち二人しかいないらしい。
俺「それで、僕を誘拐して何をするつもりなんだ?」
組織の男「言っただろう、私たちは君に興味があるだけだ」
俺「興味だって?僕は殺されかけたんだぞ!」
組織の男「悪かったと思っているよ。だが、こうするしかなかったんだ」
俺「どういう意味だ?」
組織の男「君の協力を得る為に必要なことだったんだ」
俺「だから、その必要ってなんなんだ?」
組織の男「それは・・・まだ言えない」
俺「はぁ〜・・・もういい、何を聞いてもどうせそれしか言わないんだろう」
組織の男「あぁ、すまないな」
俺「じゃあ、僕に協力してくれるっていうのは本当なのか?」
組織の男「あぁ、もちろんだ」
俺「・・・なら僕にできることならやってやるよ」
組織の男「そういってもらえると助かるよ」
俺「ただし、一つ条件がある」
組織の男「なんだ?言ってみろ」
俺「俺に前世の記憶が残っていることは黙っていて欲しい」
組織の男「なぜだ?君が転生者だということは、すぐに広まると思うぞ」
俺「それでもだ。僕はこの世界で普通の人として生きていきたいんだ」
組織の男「・・・わかった。その願いを聞き入れよう」
俺「ありがとう。じゃあ、早速だけど協力して欲しいことがある」
組織の男「なんだ?」
俺「俺のステータスを見せて欲しい」
組織の男「ステータス?そんなもので良いのか?」
俺「あぁ、見せてくれるか?」
組織の男「まぁ、構わないが」
  そう言うと、目の前に画面が表示された。
  名前:神無月颯太
  性別:男性
  種族:人間族
  年齢:6歳
  「職業」:なし
  「レベル」:1
  「体力」:15/15
  「魔力」:25/25
  「攻撃力」:12
  「防御力」:13
  「敏捷性」:11
  「知力」:24
  「精神力」:22
  「運」:32
  「スキル」:『言語理解』
  「称号」:『転移者』
組織の男「これが君のステータスだ。何か気になるところは?」
俺「この称号:転移者とは、何か特別な効果を持つの?」
組織の男「いや、それは称号だから特に何も無いぞ」
俺「つまり魔法もスキルもない世界から転生してきた僕は、能無しということね」
組織の男「まぁ、そういうことになるな」
  やっぱりそうか、薄々わかっていたけど改めて聞くとショックが大きいなぁ。
組織の男「まぁ、これから頑張れば良いじゃないか」
俺「・・・そうだな」
組織の男「ただ、正直この『転移者』というのは、私にもわからない」
俺「そうなのか?」
組織の男「ああ、称号持ち自体が貴重な存在だ」
組織の男「その上に、転移者となると今までに見たことも聞いたこともない」
組織の男「君はこの世界の人間ではないのだろう?」
組織の男「それなら今後成長することで何かしらの能力を持てるかもしれない」
俺「つまり、今はそこに期待するしかないということか」
組織の男「ああ、そうだ」
組織の男「この世界の称号持ちは、英雄と呼ばれるような凄いスキルを手に入れているからな」
俺「へえ、そうなんだ」
組織の男「ああ、例えば有名な冒険者の話だと・・・」
  そう言うと男は、自分の知っている限りの英雄譚を聞かせてくれた。
組織の男「とまぁこんな感じで、その人は魔王を倒したと言われている」
組織の男「彼の持っていた称号は、勇者」
組織の男「彼のスキルは聖剣を扱うことのできる能力だったらしい」
組織の男「他にも、賢者という称号を持った人もいた」
組織の男「全ての魔法を操ることができたらしく、勇者と共に魔王を打ち破ったとされている」
組織の男「どれも特別な称号だ。しかし、その中身は想像がつきやすいものばかりだ」
組織の男「しかし、君の”転移者”だけはそれだけでは想像がつかない」
組織の男「君にどんな可能性があるのか、私はそれが知りたい」
俺「・・・そんなこと言われても僕にも分からないよ」
  彼の話を聞くに、僕に備わっている”転移者”の称号
  これにどのような特徴が発現するかは未知数だ。
  だから、まだ覚醒する前の今の段階から味方に引き入れたいという魂胆なのだろう。
俺「そうか、色々とわかってきたよ。 こう見えても中身は子供じゃないんでね」
俺「それで、協力とは具体的に何をすればいいんだ?」
組織の男「君には、私の配下になってもらいたい」
俺「配下?」
組織の男「あぁ、君には私の部下として働いてもらう」
俺「部下って言われても、俺はお前のことを何も知らないんだぞ?」
組織の男「それはお互い様だ、だからまずはお互いに情報交換をしよう」
俺「わかった。でも、その前に俺を家に帰してくれないか?」
組織の男「それはできない」
組織の男「君が私達を信用できないように、私達もまた君を信用できていないからだ」
組織の男「君も私たちの仲間になった以上はここに住めば良いさ」
組織の男「それに自分の意志で自由に生きることを両親から許可されたんだろう?」
組織の男「神無月颯太くん」
俺「・・・そうだけど」
組織の男「なら問題ないじゃないか」
俺「・・・わかったよ」
組織の男「じゃあ、早速だが自己紹介といこうか」
組織の男「私は、この組織のリーダーを務めている、斎藤一馬だ。よろしく頼むよ」
俺「僕は、神無月颯太。”とりあえずは”よろしくお願いします」
  僕は「一時的に協力するだけだと」ということを強調するように返した。
斎藤一馬「あぁ、こちらこそよろしく頼むよ。颯太くん」
  こうして僕の新しい生活が始まった。
  シーン6へ続く

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