テロリスト小学生☆RIKA☆『結婚なんか必要ねぇ』

Dickinson

第3話『誰がために』(脚本)

テロリスト小学生☆RIKA☆『結婚なんか必要ねぇ』

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〇ハローワーク
  ── テロ発生前 ──
  47番の番号札の方
  5番相談窓口までお越し下さい

〇応接スペース
職を極めし者「どうぞ」
明智・ゾディアック・幸子「お願いしますわ」
職を極めし者「えっと」
職を極めし者「明智・・・うん、幸子さん」
職を極めし者「職業相談ですね?」
明智・ゾディアック・幸子「なかなか仕事が見つからなくて」
職を極めし者「求人票はご覧になりました?」
明智・ゾディアック・幸子「検索機のヤツですよね?」
明智・ゾディアック・幸子「うふふ」
明智・ゾディアック・幸子「使い方が分からん」
職を極めし者「・・・」
職を極めし者「なるほど」
職を極めし者「事務関係は全滅ですね」
明智・ゾディアック・幸子「ご冗談を アタシに不可能などありませんわ」
明智・ゾディアック・幸子「悪いのは検索機のほう」
職を極めし者「はは・・・」
職を極めし者(こいつぁ・・・やべぇぞ)
明智・ゾディアック・幸子「とりあえず」
明智・ゾディアック・幸子「求人票? 一旦ぜんぶ頂けます?」
職を極めし者「ウン百万ありますけど!?」
明智・ゾディアック・幸子「えぇっ!? そんなに職がありますの!?」
明智・ゾディアック・幸子「人間ごとき虫ケラに!」
職を極めし者「あなた雇われる気あります!?」
明智・ゾディアック・幸子「そんなにあるなら」
明智・ゾディアック・幸子「一番お金貰える仕事にするわ」
職を極めし者「いやいや! 検索機もまともに使えないのに」
職を極めし者「給与の高い仕事は どれも専門職ですよ?」
職を極めし者「何か国家資格や免許など お持ちなんですか?」
明智・ゾディアック・幸子「めんきょ?」
職を極めし者「『やっていいですよ』って 国から認められた技能です」
明智・ゾディアック・幸子「あらぁ」
明智・ゾディアック・幸子「アタシに他人の許可など要らん」
職を極めし者「言うと思った!」
職を極めし者「いい加減にしてください! せめて特技とか──」
明智・ゾディアック・幸子「コレ」
職を極めし者「『フワァ──ッ』て 何の役に立つんだ!」
職を極めし者「これじゃ何も紹介できませんよ!」
明智・ゾディアック・幸子「えぇっ!?」
明智・ゾディアック・幸子「アタシに足りない パラメーターがあるとでも・・・!?」
職を極めし者「日本でそのシステムの ジョブチェンジは採用してないの!」
職を極めし者「あなたは一体 何が出来るんですか!?」
明智・ゾディアック・幸子「強いて言えば・・・」
明智・ゾディアック・幸子「全盛期は第三形態まで変身できたわ」
職を極めし者「きっと何回も 復活してくるんだなって 熱意だけは伝わります・・・」

〇ハローワーク
  テメェなんか
  他人にケチつけてるだけで
  金稼いでんじゃねぇーかァ!!
職を守りし者「Fuck Off!」
明智・ゾディアック・幸子「おのれニンゲンがぁー!」
明智・ゾディアック・幸子「・・・」
明智・ゾディアック・幸子「── クソがッ」
明智・ゾディアック・幸子「はぁ・・・」
明智・ゾディアック・幸子「昔だったら」
明智・ゾディアック・幸子「消し飛ばしてたからな このヤロウが・・・」

〇渋谷駅前
  思い通りにならない
  イライラばかり募る
  なんとかしなくてはと──
  焦る
  元魔王のアタシが
  こんな惨めな立場に陥るなんて
  ここ数日
  リカの様子もおかしい

〇ダイニング
  昨日も夕飯を残した
  毎日帰りも遅い
  きっと学校帰りに
  食事を済ませてるんだ
  どこで・・・誰と?
  リカはまだ10歳だ
  男が出来たとは思えない
  可能性が高いのはヒデアキだが・・・

〇渋谷駅前
明智・ゾディアック・幸子(仮にそうだとしても アタシは何も言えない・・・)
明智・ゾディアック・幸子(リカの気を引く 点数稼ぎにしても──)
明智・ゾディアック・幸子(ヒデアキの方が “人の親”として ちゃんとしてるのは事実)
明智・ゾディアック・幸子「はぁ・・・」
  仕事・・・
  お金・・・
  ご飯・・・
  人間界の子育ては難しい

〇SHIBUYA109
明智・ゾディアック・幸子(珍しい車だな)
明智・ゾディアック・幸子(なんかイベントでもあんのか?)
明智・ゾディアック・幸子「やっぱ渋谷は居心地いいな」
明智・ゾディアック・幸子「街の瘴気が 魔界の空気によく似てるわ」
明智・ゾディアック・幸子「マルキューか・・・」
  観念しろ!
  魔王ゾディアック!!

〇SHIBUYA109
明智ヒデアキ「奪った物を返すんだ!」
  なにを言うか!
  この無礼者め!
明智ヒデアキ「なんて魔力だ」
  『試しに着てみてください』と
  献上された貢ぎ物を返却する
  王がどこにいる!?
明智ヒデアキ「くっそぉ・・・」
明智ヒデアキ「勘違いの次元が違いすぎる・・・!」
???「これが魔王・・・ なんて恐ろしい姿・・・」
???「絶対似合わないわ・・・ あんなフリフリの洋服・・・」
明智ヒデアキ「みんなしっかりしろ! 転売が目的かも知れない!」
明智ヒデアキ「お前の好きにはさせないぞ! 魔王ゾディアック!」
  渋谷の真ん中で
  両脇に女を侍らせて
  なにが勇者だ!
  消し飛ばしてくれるわ!!
明智ヒデアキ「2人とも! タイミングを合わせろ!」
「了解!」
「うおおぉぉ──ッ!!」

〇黒背景
  くっ、なんだ・・・
  身体中の力が抜けていく・・・
  死ぬのか
  こんなところで・・・
  ちくしょう・・・
  ちょっと遊びに
  来てみただけなのに
  着てみたかったな・・・
  あの可愛い洋服・・・

〇SHIBUYA109
明智ヒデアキ「──ゾディアック、なのか?」
  ・・・あれ?
明智ヒデアキ「合体魔法のせいか・・・?」
  死んでないぞ?
明智ヒデアキ「魔王・・・お前・・・」
明智ヒデアキ「女の子、だったのか」
明智・ゾディアック・幸子「・・・は?」
明智ヒデアキ「か、可愛い・・・」
明智・ゾディアック・幸子「なっ!? テメェなにを──」
  可愛い
明智・ゾディアック・幸子「言ってんだ・・・ クソが・・・」
  初めてだったな

〇魔界
  ニンゲンに倒されたのも
  『可愛い』なんて言われたのも
  今・・・お互い
  第なん形態なんだろうなぁ
  なぁ──

〇黒
  勇者ヒデアキ

〇SHIBUYA109
明智・ゾディアック・幸子「騒がしいな・・・」
「国会議事堂が占拠されてから およそ1時間が経とうとしています!」

〇渋谷駅前
「犯人は小学生くらいの少女と見られ──」
「異常な身体強度や能力から 専門家の間では 魔王の幼体ではないかと──」
明智・ゾディアック・幸子「・・・リカじゃね?」
明智・ゾディアック・幸子「そんな・・・」
明智・ゾディアック・幸子「あはは! スゴいぞ、リカ!」
明智・ゾディアック・幸子「10歳で第二形態はアタシより早ぇなぁ!」

〇東京全景

〇繁華街の大通り
明智・ゾディアック・幸子「リカ・・・」
明智リカ「うぅ」
明智リカ「マ、マぁ・・・」
明智・ゾディアック・幸子「テメェ」
明智・ゾディアック・幸子「覚悟は出来てんだろうな・・・?」
明智サエコ「お、落ち着きなさい! ゾディアック!」
明智サエコ「明智の“力”は知っているでしょう!?」
明智サエコ「これは模造刀で! 『ドラゴンハンターR』の コスプレイヤー御用達の」
明智・ゾディアック・幸子「言ってる意味が 1つもわかんねーんだよクソがァ!!」
明智・ゾディアック・幸子「テメェ“粉”にしてやるからなァ!!」
明智サエコ「待って待って待って!!」
明智サエコ(マズいマズいマズい!)

〇ファミリーレストランの店内
明智リカ「ママの強さ?」
明智リカ「普通のママだよ」
明智リカ「だって お皿投げてるとこしか 見たことないもん」

〇繁華街の大通り
明智サエコ(リカちゃんの話と違いすぎる!)
明智サエコ(機動兵装を1撃だなんて 勝てるワケないじゃない!)
明智サエコ(どうするどうする なにか言い訳を──)
明智サエコ「ねぇ・・・ゾディ──幸子さん」
明智・ゾディアック・幸子「あぁ!?」
明智サエコ「生活・・・困ってんでしょ?」
明智サエコ「リカちゃんから相談されたの」
明智・ゾディアック・幸子「・・・」
明智サエコ「『ママと暮らせないかも』って」
明智・ゾディアック・幸子「・・・そういや」
明智・ゾディアック・幸子「どっかで見た顔だと思えば」
明智・ゾディアック・幸子「ヒデアキの妹か」
明智・ゾディアック・幸子「老けてて すぐ気付かなかったわ」
明智サエコ「じゅ、10年ぶりだから」
明智サエコ「うぅ・・・」
明智サエコ「私だって」
明智サエコ「可愛い姪を 手にかけたくなんてなかった!!」
明智・ゾディアック・幸子「思っくそイッてたじゃねぇか」
明智サエコ「・・・」
明智サエコ「くそぉ──!! 日本政府め──!!」
明智サエコ「全部アイツらが!」
明智サエコ「アイツらが ヒデ兄を利用して貴女たち親子を 社会的に抹殺しようと──!!」
明智・ゾディアック・幸子「おい」
明智・ゾディアック・幸子「くわしく話してみろ」
明智サエコ「・・・」
  なんかイケたぞ

〇東京全景

〇繁華街の大通り
明智・ゾディアック・幸子「つまり──」
明智・ゾディアック・幸子「日本政府はリカが 次の魔王に成長するのを恐れた、と」
明智サエコ「だっておかしいと思わない?」
明智サエコ「夫の態度が急に変わるなんて」
明智・ゾディアック・幸子「・・・」
明智サエコ「影響されやすい人だから」
明智サエコ「きっと貴女の危険性を 吹き込まれたか、脅されたか・・・」
明智・ゾディアック・幸子「妊娠したあたりから・・・」
明智・ゾディアック・幸子「違和感はあった」

〇アパートの台所
  料理だと?
  1度もやったことねぇよ
  ムリだって!
  魔王が自分で
  メシ作るワケないだろ!
明智ヒデアキ「な~に言ってんだよ」
明智ヒデアキ「もう魔王じゃないだろ」
  そ、そりゃ・・・でも
明智ヒデアキ「今は俺の──」
明智ヒデアキ「可愛い奥さんなんだから」
  ・・・
  ・・・うっせぇな
  一緒に・・・作るなら
  頑張らんでもない

〇ダイニング
  助けてくれヒデアキ・・・
「どした?」
  気持ち悪い
  なにか匂いを嗅ぐだけで
  吐きそうだ・・・
「あぁそれ“つわり”だよ」
「妊娠するとそうなんだ、大丈夫」
  大丈夫じゃないから電話してんだろ!
  そんなの魔界で聞いたことない
  自分の体じゃないみたいだ・・・!
「転生して人間に 近づいてんじゃないか?」
  怖い・・・
  不安でしょうがない・・・
  そばに居てくれヒデアキ・・・
「無理だよ まだ仕事中なんだ」
「なるべく早く帰るから」
  あっ待っ──
  ・・・
  ・・・オェェ

〇病室のベッド
  リカ・・・
  アタシの宝物・・・
  来るの遅ぇな・・・
  パパ

〇繁華街の大通り
明智・ゾディアック・幸子「アタシには」
明智・ゾディアック・幸子「この子が全てだ」
明智サエコ「幸子さん・・・」
明智・ゾディアック・幸子「人間の子供を連れて 魔界には帰れない」
明智・ゾディアック・幸子「ここで生きていくしかない」
明智・ゾディアック・幸子「誰にも渡したくない アタシの宝物なんだ・・・」
明智・ゾディアック・幸子「どうしたらいい?」
明智・ゾディアック・幸子「計画に乗ってやる」
明智・ゾディアック・幸子「この子と一緒に暮らせるなら──」
明智・ゾディアック・幸子「なにもかも滅ぼしてやるよ」
明智サエコ「うふふ」
  目に物見せてやるぜ
  チョビ大臣
明智・ゾディアック・幸子「ぜんぶ終わってから テメェを“粉”にするからな」
  粉末状にはされるんだ・・・

〇結婚式場の前
「それでは」
ウェディングプランナー「ご検討お願い致します~」
ウェディングプランナー「はぁ、また相見積もり・・・」
ウェディングプランナー「契約のノルマきついな」
ウェディングプランナー「華やかな仕事だと思ったのに ゴリゴリの営業なんだもんな」
ウェディングプランナー「『ご祝儀で元取りたい』って何だよ 呼ばれる友達の身にもなれよな・・・」
ウェディングプランナー「はぁ・・・」
ウェディングプランナー「辞めようかな、この仕事・・・」
「奇遇だなぁ」
明智・ゾディアック・幸子「アタシも職探し中だ」
ウェディングプランナー「え、えぇぇ~・・・」

〇可愛い結婚式場

〇大企業のオフィスビル

〇オフィスのフロア
明智ヒデアキ「お電話ありが──」
明智ヒデアキ「なんだセイラか」
明智ヒデアキ「会社にはかけてくるなって──」
明智ヒデアキ「はぁ!?」
明智ヒデアキ「俺の子が国会議事堂を襲撃して 元嫁が全国の結婚式場を襲撃して 妹が日本政府を脅迫しているだって!?」
明智ヒデアキ「1コも意味わかんねーよッ!!」

〇黒

コメント

  • 世の中に不満をぶつけたくなった時、その人物がトンデモパワーの持ち主だったら――こうなるわけですね^^笑
    幸子さんの過去エピソードはホロリと来ました!もう少し歯車が嚙み合えば良いお母さんになりそうだったのに…

  • 親族一同アウトロー中のアウトローじゃねーかっ!!狂ってんな!世界観!!🤣🤣
    幸子推しです……なんだこの可愛い生物は……やってる事は超アレなんですけど、一生懸命さが伝わって尊ェ……☺️次回も楽しみにしてます🙇

  • ゾディアックもゾディアックなりに人間界で生きようと家族のために頑張ろうしているのを見ると健気に感じますね。

    さしもの職を極めし者も魔王相手では流石に厳しかったか…

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