美しい化物(脚本)
〇入り組んだ路地裏
俺には秘密がある。
決して、誰にも言えない秘密が──
あれは、そう・・・・・・。
月の見えない、暗い夜のことだった。
夜、人通りの少ない小路にうずくまっている女性を見つけた時のことだ・・・
美しい・・・・・・。
金髪碧眼、絵に描いたような美女だ。
「あの、どうしたんですか?」
訊ねると、彼女は笑った。その笑みから、不気味な、得体の知れない恐怖を感じた。
女性「*+‘}??)(!#%#%(!#’!##-*/++$$$$($”#($’#”{‘}|~|~=+-*「「「^ー+++%#」
意味不明で不快な叫びに、とっさに耳と目を閉じた──
〇入り組んだ路地裏
目を開けると、そこに先ほどの美女はおらず、化物が立っていた。
しかし、直感的に分かる。この化物こそ、あの美女の本当の姿だったのだ、と。
化物「助けてください・・・」
化物「怪我をしてしまい、ここから動けません。どうか、助けてください・・・」
よく見ると、彼女の体は傷だらけだった。
声もひどく弱弱しい。
「た、助けろって言ったって、助け方が分からない」
なにを言っているのだ。
なぜ、彼女を助けようとしている。
自分が分からなくなっていた。
化物「簡単なことです。ただ、人間1人分の血があればいいのです」
化物「誰でも構いません。人間を1人持ってきてくだされば・・・」
化物「どうか・・・!! どうか・・・!!」
化物「・・・・・・なんなら、あなたの血でも・・・!!」
「だ、だめだ・・・!! オレの血は・・・・・・!!!!」
「わ、分かった。分かったから・・・やるよ。持ってくるから」
化物「本当に・・・!? あ、ありがとうございます!!」
我ながら、とんでもない約束をしてしまった。人間1人を持っていく・・・か。
つまりそれは・・・死体を持ってこい、という意味だよな・・・・・・。
〇ネオン街
化物か。そういえば、ある研究者が言っていたことを思い出す。
人間が化物の姿を見ることはできない。化物は人間に触れられるが、逆はない。
化物は人間に存在を知られるのを、ひどく恐れている。
とんだ戯言かもしれなかった。
オレは縄を隠し持ち、ネオン街に紛れた。
狙うなら、力の弱い女だ・・・・・・。
彼女にしよう。酔っ払いも、都合がいい。
・・・・・・今だ!!
女性「~~~~っ!?」
彼女の口を押えて、路地裏に連れ込む。
首に縄をかけると、思い切り引っ張った。
女性「かっ・・・あっ・・・──」
し、死んだ・・・。
殺した。オレが、殺した。
だが、妙に罪悪感はなかった。
〇入り組んだ路地裏
裏路地には、初めに会った時の彼女がいた。相変わらず、綺麗だ。
女性「あ・・・」
女性「本当に持ってきてくださったのですね」
彼女は俺の背中にある、女性の死体を見つけた。
化物「ありがとうございます」
「大丈夫。 とにかく、さあ、食え」
オレが言うと、彼女は唾を飲み込んだ。
そして、ガツガツと女性を食べ始めた。
てっきり血だけ飲むのかと思ったが、やはり化物らしく、食べるらしい。
化物「はあ・・・ごちそうさまでした」
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最後になんかぞくっとさせられたお話しでした、ストーリーの展開がとても上手にされていてよかったです。化け物だからこそ、ですよね。
なるほど、だから化け物の姿が見えたのですね。
罪悪感が感じないところも…そういう事なんですね。
いやぁ…なんだか現実でもありそうな気がして、怖いです。
主人公の化け物は、化け物の狩りの姿である人間の姿に恋をしてしまったのでしょうか。もしくはその美への憧れ。なににせよ、美しい彼女の行動すらもすべて美しく感じ、それが自分の美しさの定義と違っていても、結局やりとげたことで、彼女への強い想いがよく表現されていると感じました。