ノウミ ノウミ ノウミ

伊藤

ノウミ ノウミ ノウミ(脚本)

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伊藤

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〇ダイニング
能美タケル「親父、今日の目玉焼き、うまいな」
能美ゲン「そうか、醤油取ってくれ。 それと、お前」
能美タケル「ん」
能美ゲン「実は俺の子じゃないんだ」
能美タケル「は?」
能美ゲン「お前は、俺の子供じゃない」
能美タケル「へー、そうなんだ。 親父、醤油取ってくれ」
能美ゲン「俺はお前の本当の親父じゃない」
能美タケル「わかったって、醤油を」
能美ゲン「わかってねえだろ。 俺とお前は他人なんだぞ」
能美ゲン「この、目玉焼きみたいにな」
能美タケル「・・・」
能美タケル「目玉焼き関係ねーじゃん」
能美タケル「じゃあ俺は誰の子なんだよ」
能美ゲン「お前は俺の遠い親戚の・・・」
能美ゲン「文通相手の交際相手の息子だ」
能美タケル「親戚の文通相手の交際相手・・・」
能美タケル「他人!!」
能美タケル「ていうか」
能美タケル「文通相手と交際しろよ!!」
能美タケル「なんで文通相手に交際相手がいるんだよ!! 何のやりとりしてんだ!?」
能美ゲン「いや、俺に言われてもな」
能美タケル「え? マジなのこれ? 親父、絶対言うタイミング違うだろ」
能美ゲン「そうか? 今しかないって・・・」
能美タケル「どの知識!?」
能美タケル「いや、ドラマとかの知識だけど、もっと ちゃんとした雰囲気で言うだろ」
能美タケル「「醤油取って」の後じゃないって」
能美タケル「親父、何の影響受けてんだ?」
能美ゲン「だから親父じゃねえって」
能美ゲン「本当の親父に会いたいか?  親戚の住所ならわかるぞ」
能美タケル「いや、ちょっと展開が急すぎて・・・」
能美タケル「ユキは? ユキは俺の妹なのか?」
能美ゲン「ユキはお前の妹だ」
能美ゲン「お前が2歳の時にユキが生まれて、一緒に俺が引き取ったんだ」
能美タケル「本当に兄妹なんだろうな」
能美ゲン「それは間違いない」
能美ユキ「おはよー」
能美ユキ「やったあ、目玉焼きだあ」
能美タケル「ユキ、醤油取ってくれねえか」
能美ユキ「ん」
能美タケル「それと」
能美タケル「俺たちは親父の子供じゃない」
能美ユキ「へー、醤油返して」
能美タケル「マジなんだよ」
能美ユキ「ふーん、じゃあ誰が本当の父ちゃんなの?」
能美タケル「遠い親戚の文通相手の交際相手だ」
能美ユキ「親戚の文通相手の交際相手・・・」
能美ユキ「他人!!」
能美ユキ「ていうか」
能美ユキ「文通相手と交際しないの!?」
能美ユキ「なんで文通相手に交際相手がいるの!?」
能美タケル「いや、俺に言われてもな」
能美ユキ「え、本当なの?」
能美ゲン「本当だ」
能美ユキ「言うタイミングおかしくない?」
能美ユキ「「醤油取って」の後じゃないでしょ」
能美タケル「いや、今しかないと思ったんだよ」
能美ユキ「どの知識!?」
能美ゲン「な、血の繋がりを感じるだろ」
能美タケル「まあ、な・・・」
能美ゲン「会ってこいよ、本当の親父に」
能美ゲン「親戚の住所教えてやるから」
能美タケル「・・・」

〇住宅街
  数日後
能美ユキ「この辺かな」
能美タケル「だろうな」
能美ユキ「兄ちゃんも探してよ」
能美タケル「探してるだろ」
能美タケル「ほら、あったぞ」

〇綺麗な一戸建て
能美ユキ「急に来てよかったのかな」
能美タケル「まあ、大丈夫だろ、親戚だし」
能美ユキ「兄ちゃんのそういうとこ、 父ちゃんに似てるよね」
能美タケル「そうか?」
能美タケル「文通相手の交際相手の事聞くだけだし、 大丈夫だろ」
能美ユキ「そうだね、さっさと終わらせよう」
能美ユキ「・・・」
能美タケル「・・・」
能美タケル「いや、インターホン押せよ」
能美ユキ「兄ちゃんが押してよ」
能美タケル「お前が会いたいって言ったんだろ」
能美ユキ「どんな人なんだろう、って言っただけ」
能美ユキ「行こうって言い出したの 兄ちゃんだし」
能美タケル「行きたがってると思ったから・・・」
能美ユキ「私の気持ちなんてわかるわけないじゃん」
能美ユキ「兄ちゃん、サイコパスなんだよ?」
能美タケル「なんだその飛躍」
能美ユキ「知ってるんだよ。兄ちゃんが、 この前、学校でサイコパス診断して」
能美ユキ「満点だった事・・・」
能美タケル「ただの遊びだろ しかもあれ」
能美タケル「簡単過ぎたし」
能美ユキ「怖いから!!」
能美ユキ「私サイコパスの妹って呼ばれてるんだよ?」
能美タケル「ひどい事言うやつがいるんだな」
能美タケル「はは」
能美ユキ「なんで笑ってんの!?」
能美タケル「じゃ、帰るか」
能美ユキ「え? いいの?」
能美タケル「俺は本当の父親とか血の繋がりとか興味ない」
能美タケル「あの親父がいい」
能美ユキ「そう・・・だよね」
能美ユキ「私も父ちゃんがいい」
能美ユキ「帰ろ」
能美タケル「買い物して帰るか、俺当番だし。 今日はすき焼きにしよう」
能美ユキ「やったー」

〇総合病院

〇病院の診察室
能美ゲン「先生、いいかげん、教えてくれねえかな」
医者「・・・」
能美ゲン「子供達にも本当の事言ったんだ。 準備はできてる」
能美ゲン「頼むよ、俺は後どれくらい・・・」
医者「持って・・・半年です・・・」
能美ゲン「・・・そうか」
医者「我々の力不足で、申し訳ありません」
能美ゲン「いや、いいんだ。 教えてくれて感謝するよ」
能美ゲン「半年ありゃあなんだってできるだろ 例えば」
能美ゲン「家族旅行とか」

〇ダイニング
能美ゲン「ただいま〜 お、すき焼きかあ」
能美ユキ「父ちゃん、遅いよ」
能美タケル「どこほっつき歩いてたんだよ」
能美ゲン「うん、美味いな」
能美タケル「いきなり食うなよ」
能美ユキ「私もいただこう・・・ うん、おいし〜」
能美タケル「じゃあ、俺も食べるか」
能美ゲン「その、今日・・・会いに行ったのか?」
能美タケル「いや、途中で帰った」
能美ゲン「な、どうしてだ?」
能美タケル「会ってどうするんだよ」
能美ゲン「本当の父親に・・・」
能美タケル「ここにいるだろ」
能美ユキ「父ちゃんが父ちゃんだよ」
能美ゲン「俺はな・・・」
能美タケル「なんだよ」
能美ゲン「醤油取ってくれ」
能美タケル「ん」
能美ゲン「その、俺はな・・・」
能美ゲン「・・・」
能美ゲン「いや、なんでもねえ・・・」
能美タケル「また何か言い出すかと思ったよ」
能美ユキ「ちょっとドキドキしちゃった」
能美ゲン「その、あれだ・・・」
能美ゲン「今度、旅行でも行かねえか?」
能美タケル「いいけど、いつ?」
能美ゲン「早けりゃ早いほどいいな」
能美ユキ「北海道がいいな」
能美ゲン「おう、どこでもいいぞ」
能美タケル「大丈夫かよ?」
能美ゲン「まあ、任せとけ!」
能美ユキ「やったー!」
能美タケル「なにがあったんだよ」
能美タケル「まあいいか」
能美ゲン「・・・」
能美ゲン「・・・」
能美ゲン「いいよな、もう少しくらい・・・」
能美タケル「親父、食わねえならもらうぞ」
能美ゲン「バカやろう、それ俺の肉だぞ このサイコパスが」
能美ユキ「やーいサイコパス〜」
能美タケル「ハハハハ」
能美タケル「って笑えるかよ」

コメント

  • なんだか家族愛っていいですよね。
    血のつながりだけが家族じゃないんですよね。
    お父さんが、自分のことを言い出せなかったのはなんとなくわかります。

  • 何気ない毎日の日常でいうセリフ!?(笑)いいですね、しれーッというから、「あ、そう」って流せれるのかも!?(笑)私も使ってみたい。

  • いや〜素晴らしい。感動しました。最近の血の繋がった家族でも殺人事件が発生してるけど、ここの家族は血の繋がりなんて関係ないね!

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