天国のすぐそばで

わらやま

2人きりの卒業旅行(脚本)

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〇女性の部屋
春原 凛(はるはら りん)「・・」
春原 凛(はるはら りん)「響!」
天国 響(あまくに ひびき)「お待たせっ!」
天国 響(あまくに ひびき)「ごめん!遅くなった!」
春原 凛(はるはら りん)「響・・忘れ物ない?」
天国 響(あまくに ひびき)「大丈夫!」
天国 響(あまくに ひびき)「パスポート、虫除けスプレー、薬」
天国 響(あまくに ひびき)「準備万端!」
天国 響(あまくに ひびき)「さぁ、行くわよ!」
天国 響(あまくに ひびき)「天国にいちばん近い島・・」
天国 響(あまくに ひびき)「ニューカレドニア のウベア島に!」
  『天国のすぐそばで』

〇空港ターミナルビル

〇飛行機内

〇空港の外観
  トントゥータ国際空港
天国 響(あまくに ひびき)「到着!」
天国 響(あまくに ひびき)「♪にゅ〜かれかれどにあ〜」
春原 凛(はるはら りん)「な、なにそれ?」
天国 響(あまくに ひびき)「ニューカレドニア のテーマソング! 私が考えた!」
春原 凛(はるはら りん)「そ、そう・・」
春原 凛(はるはら りん)「ハイテンションだね・・」
天国 響(あまくに ひびき)「そりゃそうよ!念願だもん」
天国 響(あまくに ひびき)「凛も楽しんでいこう!」
春原 凛(はるはら りん)「・・うん」
天国 響(あまくに ひびき)「まずは首都のヌメアに移動よ」

〇商店街の飲食店
天国 響(あまくに ひびき)「ここがヌメアかぁ」
天国 響(あまくに ひびき)「本当に南国なのにヨーロッパっぽいね!」
春原 凛(はるはら りん)「フランス領だもんね 公用語もフランス語だし」
天国 響(あまくに ひびき)「ねぇねぇ あのアイス美味しそう!」
天国 響(あまくに ひびき)「食べよ!食べよ!」
春原 凛(はるはら りん)「ちょ、ちょっと!」

〇海水浴場
天国 響(あまくに ひびき)「海を背景にアイスなんて贅沢〜」
「いただきまぁーす」
春原 凛(はるはら りん)「うん!甘さ控えめで美味し・・」
天国 響(あまくに ひびき)「なにこれー!? めっちゃ美味しい!」
天国 響(あまくに ひびき)「甘味が身体に染み渡るぅ〜!」
春原 凛(はるはら りん)「そ、そんな大袈・・」
春原 凛(はるはら りん)(いや・・そうだよね)
天国 響(あまくに ひびき)「ってもうこんな時間! 早くバスに乗らないと!」
春原 凛(はるはら りん)「国内線の飛行機に乗りおくれちゃう!」

〇バスの中
天国 響(あまくに ひびき)「そういえば、凛は卒業大丈夫そうなの?」
春原 凛(はるはら りん)「さっきWebで確認したら単位足りてたから」
春原 凛(はるはら りん)「大丈夫」
天国 響(あまくに ひびき)「そう、それはよかった」
天国 響(あまくに ひびき)「私は法学部で卒論無いから」
天国 響(あまくに ひびき)「一応は卒業できるしね」
春原 凛(はるはら りん)「・・」
天国 響(あまくに ひびき)「あ、着いたよ! マジャンタ空港!」

〇空港のエントランス(人物なし)

〇空港の滑走路
天国 響(あまくに ひびき)「自分で飛行場歩いて搭乗するなんて初体験」
天国 響(あまくに ひびき)「見て見て!」
春原 凛(はるはら りん)「プロペラ機だ・・」
春原 凛(はるはら りん)「初めて乗るよ」
天国 響(あまくに ひびき)「ウベア島着く前に天国にいっちゃったりして」
春原 凛(はるはら りん)「縁起でもないよ」

〇飛行機内
天国 響(あまくに ひびき)「自由席なんだって」
天国 響(あまくに ひびき)「海側座ろう!」
春原 凛(はるはら りん)(離島に行くからどっちも海側だと思うけど)

〇飛行機内
  一時間後
天国 響(あまくに ひびき)「着いた・・」
天国 響(あまくに ひびき)「いよいよね」
天国 響(あまくに ひびき)「天国にいちばん近い島・・ウベア島」
春原 凛(はるはら りん)「ホテルからの送迎車が来てるみたいだから行こう」

〇車内
天国 響(あまくに ひびき)「凄い・・」
天国 響(あまくに ひびき)「本当に大自然って感じ・・」
天国 響(あまくに ひびき)「あ、変な形の木!」
春原 凛(はるはら りん)「あっち見て」
天国 響(あまくに ひびき)「変わった岸壁!」
春原 凛(はるはら りん)「現地の人達にとって神聖な場所とされてるとこね」
天国 響(あまくに ひびき)「見たことない景色ばっかり」
春原 凛(はるはら りん)「あ、見て!」
春原 凛(はるはら りん)「あれ、ムリ橋だよ!」
天国 響(あまくに ひびき)「じゃあもうちょっとで今日のホテルね」
天国 響(あまくに ひびき)「着いた〜!」

〇ホテルのエントランス
天国 響(あまくに ひびき)「うっはぁ〜 離島とは思えない立派なホテル!」
天国 響(あまくに ひびき)「ウェルカムドリンクも美味しすぎぃ〜」
春原 凛(はるはら りん)「響、チェックイン終わったよ」

〇シックなリビング
天国 響(あまくに ひびき)「ひえ〜!豪華〜!」
春原 凛(はるはら りん)「本当に離島!?って感じだね」
天国 響(あまくに ひびき)「そして・・窓の外には・・」
天国 響(あまくに ひびき)「ダメ・・我慢できない!」
春原 凛(はるはら りん)「あ〜ちょっと響!待ってよ!」

〇海辺
天国 響(あまくに ひびき)「・・えっ」
春原 凛(はるはら りん)「・・すごい」
天国 響(あまくに ひびき)「見渡す限り・・海岸線・・」
春原 凛(はるはら りん)「ラグーンって・・ こんなに綺麗なんだ・・」
天国 響(あまくに ひびき)「いつまでも見ていられる景色」
天国 響(あまくに ひびき)「まるで天国ね」
春原 凛(はるはら りん)「響・・」
天国 響(あまくに ひびき)「日が暮れたら」
天国 響(あまくに ひびき)「どうなっちゃうんだろ!?」

〇海辺
  一時間後
天国 響(あまくに ひびき)「ふぁああ」
春原 凛(はるはら りん)「・・綺麗」
天国 響(あまくに ひびき)「ほんとに・・綺麗」
天国 響(あまくに ひびき)「網膜に焼き付けておかなきゃ」
春原 凛(はるはら りん)「そうね」
天国 響(あまくに ひびき)「・・来れて・・よかった」
天国 響(あまくに ひびき)「生きてるうちに・・」
春原 凛(はるはら りん)「・・」
春原 凛(はるはら りん)「響・・」
春原 凛(はるはら りん)「思い・・出させないでよ」
天国 響(あまくに ひびき)「・・ごめんね」

〇病室のベッド
  半年前
天国 響(あまくに ひびき)「・・」
春原 凛「響!」
天国 響(あまくに ひびき)「凛・・来てくれたんだ・・」
春原 凛(はるはら りん)「響・・どうしてもっと早く連絡してくれなかったの!?」
天国 響(あまくに ひびき)「ごめん・・なかなか言いづらくて」
春原 凛(はるはら りん)「響・・髪が!?」
天国 響(あまくに ひびき)「うん・・副作用で抜けちゃうから」
天国 響(あまくに ひびき)「切っちゃった」
天国 響(あまくに ひびき)「まぁ、髪はウィッグつければいいから」
春原 凛(はるはら りん)「・・」
天国 響(あまくに ひびき)「聞きにくいと思うから私から言うけど」
天国 響(あまくに ひびき)「もって1年だって」
春原 凛(はるはら りん)「そんな・・」
天国 響(あまくに ひびき)「卒業旅行一緒に行こうって言ってたのに」
天国 響(あまくに ひびき)「行けなくなっちゃったね」
天国 響(あまくに ひびき)「・・ごめん」
春原 凛(はるはら りん)「謝らないで・・」
春原 凛(はるはら りん)「1番辛いのは響なんだから」
天国 響(あまくに ひびき)「・・」
天国 響(あまくに ひびき)「私・・」
天国 響(あまくに ひびき)「行きたい所あったんだ」
春原 凛(はるはら りん)「え!?」
天国 響(あまくに ひびき)「ニューカレドニア のウベア島」
天国 響(あまくに ひびき)「そこって『天国にいちばん近い島』って言われてるんだって」
天国 響(あまくに ひびき)「どんな景色なのか」
天国 響(あまくに ひびき)「どんな場所なのか」
天国 響(あまくに ひびき)「死ぬ前に自分の目で見たかった・・」
春原 凛(はるはら りん)「・・」
天国 響(あまくに ひびき)「でも、無理かな・・ こんな身体だし・・」
春原 凛(はるはら りん)「・・行こう!」
天国 響(あまくに ひびき)「えっ!?」
春原 凛(はるはら りん)「行こうよ」
天国 響(あまくに ひびき)「で、でも、ウチの親とか病院の先生とか反対すると思うし」
春原 凛(はるはら りん)「響が行きたいと思ってるんでしょ!」
春原 凛(はるはら りん)「私も一緒に行く! 響の両親も医者も一緒に説得するから!」
天国 響(あまくに ひびき)「いいの? 多分、許可がおりたとしても、ウベア島にまっすぐ向かって翌日帰国とか──」
天国 響(あまくに ひびき)「そんな旅になるよ」
春原 凛(はるはら りん)「かまわないよ!」
春原 凛(はるはら りん)「響の最後の望みなんだから!」
春原 凛(はるはら りん)「私に・・叶えさせて」
春原 凛(はるはら りん)「一緒に・・行こう」
天国 響(あまくに ひびき)「凛・・」
天国 響(あまくに ひびき)「ありがとう」

〇海辺
春原 凛(はるはら りん)「ひぐっ・・ぐすっ・・」
天国 響(あまくに ひびき)「泣かないでよ・・凛」
春原 凛(はるはら りん)「だって・・」
天国 響(あまくに ひびき)「もう、凛が泣くから・・ 私もつられちゃうじゃん・・」
天国 響(あまくに ひびき)「雰囲気出すためにクリーム塗ってたのに・・流れちゃう・・」
春原 凛(はるはら りん)「・・」
天国 響(あまくに ひびき)「凛・・ 私とここまで来てくれて本当にありがとう」
天国 響(あまくに ひびき)「今は小康状態だけど、日本に帰ったらすぐ入院だから」
天国 響(あまくに ひびき)「この旅が、この景色が・・」
天国 響(あまくに ひびき)「正真正銘の最後の思い出になると思うから」
春原 凛(はるはら りん)「・・」
天国 響(あまくに ひびき)「ここに凛と2人で来れてよかった」
天国 響(あまくに ひびき)「私、絶対に忘れないよ・・」
天国 響(あまくに ひびき)「それに天国にいちばん近いこの島なら」
天国 響(あまくに ひびき)「天国から会いに来れるかもしれないし」
天国 響(あまくに ひびき)「なんてね」
春原 凛(はるはら りん)「・・そうだね」
春原 凛(はるはら りん)「私も・・私も呼びかけるから」
春原 凛(はるはら りん)「天国にいちばん近いこの島で」
春原 凛(はるはら りん)「また・・会おう」
天国 響(あまくに ひびき)「・・ありがとう」
  それから半年が経ち
  天国響は22年の生涯を終え
  天国へと旅立った

〇海辺
  響が亡くなってから早いもので5年の月日が経った
  私は毎年3月になるとウベア島を訪れるようにしている
春原 凛(はるはら りん)「・・もうこんな時間」
春原 凛(はるはら りん)「そろそろ帰りの飛行機の時間ね」
春原 凛(はるはら りん)「響・・」
春原 凛(はるはら りん)「また来年来るね」
春原 凛(はるはら りん)「ここはあなたを」
春原 凛(はるはら りん)「天国 響を・・」
  いちばん近くに感じられる島だから

コメント

  • タイトルと設定を見て、森村桂さんのエッセイと映画を思い出し(未読未視聴ですが)、自然の美を堪能する旅行記かと思ったら…いや、凛がただ控え目なだけじゃなく何か気がかりがあるような雰囲気だな…?とは思ってたんですが、まさか😭
    切ないですが、全力で旅を味わう響の姿は美しかったです
    しかし、写真とTapNovelの背景マッチしすぎ!? 写真見てから背景発注したのかと思う程の馴染み方で没入感最高でした✨

  • すごくきれいな実写スチルがタイミングよく効果的に挿入されているので、自分も旅行に行きたくなってしまいました。タップノベルで紀行文もいけるのではないかと少し感じ入りました。
    ストーリーはパッと見、いわゆるパリピ的なノリの女の子だと思って読んでいたため、後半はそのギャップに衝撃を受けました。

  • 泣きました😭写真がさいっこうです!
    実際に旅行にいけた気持ちになりました!友情って素敵です👍

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