5. 傍迷惑な勇者召喚(脚本)
〇謁見の間
アリア「いたたっ・・・・・・って、何が起こったの!?」
見上げた先に見えたのは・・・・・・なぜだろう。ものすごく見慣れた景色のような気がするのだけれど・・・・・・?
王宮魔術師長「成功だ! 召喚に成功しましたぞ!!」
国王「さすがは国一番の魔術師たちだ! よくやった!!」
アリア「・・・・・・!?」
この人たちは・・・・・・私の祖国の王たちよね!?
フェルナンド「さすがは我が国が誇る魔術師たちだ!」
ミラン「わあ、召喚だなんてすごーい!」
アリア「・・・・・・!?!?」
ええっ!? フェルナンド様やミランまでいるじゃないの!?
セラシオ「・・・・・・これは、どういう状況なんだ?」
王宮魔術師長「勇者様、ようこそお越しくださいました! 我々エミレシア王国民はあなた様を歓迎いたします」
セラシオ「エミレシア王国だって!? どうして俺が異国に? そして、勇者って何だ? 人違いじゃないのか・・・・・・?」
王宮魔術師長「我々の勇者召喚術で喚ばれたのですから、間違いなくあなたが勇者ですよ」
セラシオ「それじゃあ、彼女も?」
セラシオ様の視線の先にいるのは、私だ。
王宮魔術師長「いやあ、このような細腕では、ね? 彼女は違うでしょう。ただ召喚に巻き込まれただけだと思いますよ」
王宮魔術師長「いずれにせよ、我々が召喚したことは事実ですので、お嬢さんにも衣食住は保証いたしますからご心配なく」
アリア「・・・・・・」
どうやら、私が追放令嬢・アリアだとは気付いていないらしい。それは良かったと思う。
アリア「でも、「勇者召喚」って・・・・・・ああ、そういえば・・・・・・!」
そういえば私、この言葉を聞いたことがあるわ。私がまだフェルナンド様の婚約者として、確固たる立場にあった頃に・・・・・・!
〇上官の部屋
アリア「寝つけない・・・・・・。ちょっと夜風に当たろうかしら。あら、お父様のお部屋から光が漏れている・・・・・・?」
レトゥラン公爵「魔術師どもの勇者召喚計画は、まだ実行に移せていないのか?」
補佐官「どうもそのようですね」
レトゥラン公爵「ちっ、使えないな。勇者がいれば、手っ取り早く「仕事」が終わるというのに」
補佐官「催促はしておきます。陛下もせっついているそうですから、じきに実行できるでしょう」
レトゥラン公爵「研究資金も相当額を出しているんだ。ちゃんとやってもらわねば困る」
補佐官「そういえば、仕事が終わったら勇者はどうなるのでしょう?」
レトゥラン公爵「陛下はおっしゃった。・・・・・・この世から消す、と」
補佐官「ほう、それはお気の毒なことで」
ははっと笑う二人の声を背に、私はその場をそっと離れた。
〇謁見の間
つまり、彼らの言葉が正しいならば「勇者」は使い潰された果てに殺されることになるんだ・・・・・・!
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