星に願いを

YUKI NAKAMURA

エピソード1(脚本)

星に願いを

YUKI NAKAMURA

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〇整頓された部屋(ハット、靴無し)
  夢を見た。
  何度も見る夢。
  そこで俺は家の中で一人の女の子と遊んでいる。
???「ねぇねぇ。次はこのゲームして遊ぼうよ」
???「いいよ。次も負けないからな」
???「猛特訓したんだから!」
  いつも少女と遊んでいると──
  ボン!!
  短な破裂音と共に家の中に炎が燃え広がり、俺達を取り囲む。
???「助けて!おに─」
  少女の助けを乞う声と共に俺たちは火に飲み込まれて夢はいつも終わる。

〇明るいリビング
多井 蓮「またあの夢か 何度見ても嫌な気分だな」
  俺はベッドから起き上がるといつものように朝食を軽く済ませ、スマホで動画を見始めた。
  動画を見ていると見慣れた名前がスマホに表示されていた。
多井 蓮「もしもし?」
???「おー蓮。○○駅に集合な。それじゃ!」
多井 蓮「あっ、おい!」
  俺の返事も聞かず電話は一方的に切られていた。
  どうせ家にいても暇かと思い、俺は言われるがまま駅に向かうことにした。

〇駅前ロータリー
多井 蓮「あいつまだきてねーじゃねぇか・・・」
  駅で待ち始めて1時間が経ちそうな頃、陽気な声が聞こえてきた
???「よーっす!蓮!」
小泉 祐介「遅くなってごめんね?待った?//」
  幼馴染の小泉祐介が腰をくねらせ、気持ちの悪い話し方をしながら、近寄ってきた
多井 蓮「・・・」
小泉 祐介「っちょ、ちょっと!幼馴染置いて無言で帰ろうとすんのは流石にひどくない!?」
多井 蓮「人違いです、僕は妹を迎えに行かないといけないので」
小泉 祐介「え・・・妹?」
多井 蓮「ん?どうかしたか?」
小泉 祐介「あ~いや、蓮に妹っていたんだなあって・・・」
多井 蓮「妹なんていないのはお前が一番よく知ってるだろ」
小泉 祐介「あ、いや、そうだよな! 幻覚でも見えてんのかと思ってびっくりしちまったじゃねーか!」
多井 蓮「何言ってんだよ。で?なんか用事があったんじゃなかったのか?」
小泉 祐介「おう。そうだったな! 今日大学で学園祭やってるんだよ。それでだな──」
  要約すると、大学の学園祭のゲストで祐介の好きなバントが出るんだという話だった
  その後他愛のない話をしながら俺たちは学園祭の行われている大学に向かい歩き始めた

〇見晴らしのいい公園
???「もしもし?うん、さっき着いたところ。 今日はよろしくね祐介お兄ちゃん♪」

〇学園内のベンチ
  俺と祐介は他愛のない話をしている内に目的地の大学についていた。
小泉 祐介「ライブまで時間はあるし、とりあえず出店でも回るか?」
多井 蓮「喉乾いたし、とりあえず飲み物買いに行こう」
小泉 祐介「それじゃあ俺が買ってくるよ。 今日付き合ってもらってるお礼もかねてさ。」
小泉 祐介「何か飲み物のリクエストはあるか?」
多井 蓮「それじゃお茶を頼むよ」
小泉 祐介「了解!そんじゃちょっと行ってくるわ。」
多井 蓮「じゃあ、そこのベンチに─」
多井 蓮「ってもういないのか・・・」
  俺は近くにあったベンチに腰掛けていると、肩をたたかれた。
多井 蓮「なんだ早かったな。祐介・・・」
  俺は後ろを振り返ると少し歳下くらいの女の子が立っていた。
さや「あの私小泉祐介の従妹で小鳥遊さやっていいます。蓮さんですよね?」
多井 蓮「そうだけど・・・」
さや「よかったぁ。祐介お兄ちゃんから話は聞いてたんです。今日ここの学園祭に来るって聞いて来ちゃいました♪」
さや「よかったら私と学園祭回りませんか?」
  小鳥遊さやと名乗る子からは不思議な懐かしさと心の奥底にトゲが刺さったような痛みを感じた。
さや「あの、やっぱりだめですか?」
  彼女は不安そうにこちらの顔を窺う─
多井 蓮「あ。いや俺は全然大丈夫なんだけど・・・」
さや「祐介お兄ちゃんなら大丈夫ですよ。さっき連絡しておきましたから♪」
  スマホをこっそり覗くと、祐介から『さやちゃんをよろしく!』と通知があった。
多井 蓮「わかった、付き合うよ」
さや「やった!ありがとうございます!」
多井 蓮「それじゃ適当に回ろうか」
さや「本当にありがとう。お兄ちゃん。」

〇学園内のベンチ
  俺たちは学園祭を周り気が付けば日が暮れ始めていた
さや「あー楽しかった。蓮さん今日はわがままに付き合っていただいてありがとうございました!」
多井 蓮「いや、俺も久しぶりに楽しめたしこちらこそありがとう」
さや「このキーホルダー今日のお礼にもらってくれませんか?」
  さやちゃんは少し照れた様子で星をモチーフに、裏にはS.Oと刻まれたキーホルダーを差し出していた
さや「それじゃあ私はそろそろ帰りますね。 今日は本当にありがとうございました!」
多井 蓮「ちょっと待って!さやちゃ──」
  激しい頭痛に襲われその場に立っていられなくなった
小泉 祐介「蓮っ!大丈夫か!?」
多井 蓮「祐介か?お前今までどこに─」
小泉 祐介「そんなことよりそこのベンチで少し横になろう」
  数分後─
多井 蓮「ありがとう祐介、少し楽になった」
小泉 祐介「気にすんな。俺にも非があるからさ。 ほら、今日はもう帰ろうぜ!」
多井 蓮「でも、バンドが出てくるのはこれからだろ?」
小泉 祐介「いいんだよ!いつでも見に行けるからよ」
  そうして俺達は大学を後にした。

〇見晴らしのいい公園
多井 蓮「今日は本当に悪かった」
小泉 祐介「蓮が謝ることじゃねーさ。気をつけて帰れよ!」
多井 蓮「さやちゃんにキーホルダーありがとうって伝えておいてくれ」
小泉 祐介「ふう、ひと段落ってところか さやちゃん、近くにいるんだろ?」
さや「気づいてたの?」
小泉 祐介「まあなんとなくね」
さや「今日は本当にその─」
小泉 祐介「いいんだって。兄妹揃ってすぐ謝るんだもんな。」
小泉 祐介「謝罪をのために協力したわけじゃないよ。わかるでしょ?」
さや「そうですね。祐介くん今日はありがとう。お兄ちゃんに会えて本当に嬉しかった」
小泉 祐介「わかればよろしい。時間はまだまだあるんだ。少しずつやっていけばいいさ」
さや「うん。ありがとう。」
小泉 祐介「じゃ、今日はもう帰ろう。」
  夜空には満面の星空が輝いていた

コメント

  • 夢の中で女の子と遊んでいたことが現実に起こることが多々ありますよね。さやちゃんは夢の中から出てきて学園祭でデートをしたかったのかなと思いました。

  • さやちゃんと蓮は本当の兄妹なんですね!でも、なぜ蓮は知らなくて、さやちゃんが知ってるのか、真相が気になります。
    面白かったです。

  • さやちゃんと接して胸に突き刺さる痛みを覚えたという事は、きっと過去につながりがあったのでしょうね。いつも見る夢がもしかしたら彼の過去の一部なのかもと思うと、謎が謎を呼びます。

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