領主皇子は守護神級

しろのあ

王都編〔4〕(脚本)

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〇大教室
  その日の朝の授業を受けるために席に座ってすぐに机に伏せて眠り始めるヴェスカ。
  昨晩は完徹したため眠れなかったので当然だ
  担当教員がそれを見つけるも注意できずに放置していると、そこに教員にとっての助っ人とも言える存在が騎士を数人連れて現れる。
ハリス「どうされたのです?」
魔法クラス担当教員「ヴェスカ様が朝からあの状態でして・・・ご体調が悪いのかどうかも聞けずにいまして・・・」
ハリス「お任せください。そのまま授業を、ご迷惑をお掛けしない程度にいたしますので」
魔法クラス担当教員「わかりました」
  机に伏せて熟睡しているところにハリスがやってきてその机をノックする。
  机に伏せて眠るヴェスカはそれに気づき薄めをあけた。
ヴェスカ(・・・?まだ始まったばかりじゃないか・・・)
  隣にハリスがあることに気づいたヴェスカは鬱陶しそうに見上げる。本人に襲い掛かっている眠気はそれ相応のものなのだ
ヴェスカ「なにか?」
ハリス「ヴェスカ様、授業中に居眠りはいかがなものかと」
  襲いかかる眠気が強いせいで機嫌の悪さが声にありありと出てきてしまっていても、ハリスは動じず話し続けた。
ヴェスカ「貴方に関係ない」
ハリス「試験で成績が悪いと退学になる恐れがあります。そうなるのは都合悪いのではないですか?」
ヴェスカ「そんな事にはならないので、お気遣いなく」
ハリス「・・・」
ヴェスカ(ハリスによる注意で授業の妨げになっているようだが、本人が気にかけていない時点で俺が気にかける必要はないだろう)
  気にせずに再び眠りにつこうとするヴェスカに、ハリスはさらに強めのノックを仕掛ける
  だが今度は何度叩いても起きる気配がない
  あまりにも起きない様子に異変を感じて、注意深く顔色を伺うと目元にクマができている事に気づく。
ハリス(彼は寝不足のようだ。しかし何故?確かに、昨晩のパーティーは歓迎しているものが少なかったかもしれないが・・・)
ハリス(寝不足になる程度の心労ではなかったはずだ。 他に何か見落としている?)
  もっと確実な情報が何かないかと衣服のチェックを始める。すると、現在魔法クラスの彼の受ける授業には必要のないものがあった
  ハリスの目のつけた場所は腰に備えられていた護身剣である。常日頃から眠っている時も手放せない人はいるものだ。
  しかしこの時のハリスはヴェスカやシャメルの状況に追いついていない。悩みなんてものを知らない。よって理由がわからないのだ。
  眠りの妨げになる。と思った彼は剣を腰のベルトから抜き、机に立てかけておこうと手を伸ばす。
  しかしそれを許さないと、手が伸びてきてハリスの腕を鷲掴む。
ハリス「!?」
  ヴェスカの隣で様子を見ていたはずのハリスに異変を感じた騎士がその場に駆けつける。
ドラトニア騎士「ヴェスカ殿下、殿下、起きてください。手の力をお緩めください」
  なんとか手を引き離そうとするものの大人の騎士2人が掴みかかっても剥がさないでいた。声をかけてもヴェスカは深い眠りの中
  もう駄目だと諦めかけた時、フッと力が収まり、ハリスはヴェスカから解放される。
  騎士たちが応急手当てを隣でし始める様子に
  教員が驚きながら魔法で治癒を行う
魔法クラス担当教員「これで大丈夫かと・・・」
「助かりました」
魔法クラス担当教員「本来はこういうのは駄目なものですが、ヴェスカ様にも何か事情があるやもしれません。今日は特別にお休みさせておきましょう」
ハリス(・・・・・・一体彼に何があったというのだろう。早急にそして、徹底的に調査をしなくては・・・!)
  それから時は進み、昼休憩のチャイムが鳴る。
  それと同時に今まで全く起きなかったヴェスカが突然起き上がり背伸びをし始める。
ヴェスカ「くぁ〜・・・よく寝た。よし飯行こ」
ハリス「ヴェスカ様。おはようございます」
ヴェスカ「あれ、まだいたんですか・・・?」
ハリス「・・・ヴェスカ様、昨晩何かありましたか」
ヴェスカ「・・・少なくともハリス様が気にかけるようなことはありませんよ。じゃ、飯行くので」
  そう言って彼は教室を出て行き、次の授業の時間になっても戻ってくることはなかった。
  すぐにハリスは騎士達と探しに向かう。

〇古書店
ヴェスカ(・・・色々あるな。とりあえず、世界地図と後は植物図鑑、魔物図鑑もついでに見るか。役に立つこともあるかもしれない)
  ヴェスカは1日目の授業の午前中は熟睡して過ごし、午後は図書室にやってきていた。
ヴェスカ「ふむ・・・」
  シャメルが既に経験者なおかげか、司書は見て見ぬ振りをしていた。彼らは自分達の学舎で学ぶ人なら大歓迎の精神だったのである。
  しかしそこにそれを認めていない人達、彼を探している人達がやってくる。
  司書達は本の隙間から顔を覗かせてどのように対応するのか見守るようだ。本を傷つけることは許さない。それは視線にこめている
ハリス「こちらにおいででしたか」
ヴェスカ「まだ何か」
  ヴェスカは資料から顔を上げずにハリスの動向を探る事に徹底していた。
ハリス「ヴェスカ様、授業はいかがされたのです」
ヴェスカ「基礎の魔法学は学ぶようなことは無さそうなので半期は休みます」
  顔は上げられることなく会話は進んで行く。
ハリス「試験はどうするのです。範囲など分からないではありませんか」
ヴェスカ「特に問題ありません。成績が低くなるようなこともないと思います」
  頑なに通常の授業を拒むので、騎士に目配せをして机に広げられた本を片付けさせようとする。
  しかし、騎士達は張り付いたように固定されているのを確認して首を振る。
ヴェスカ「話があるなら手ではなく口を動かしてくださいますか」
ハリス「・・・私にはヴェスカ様が何を学びにきたのかわかりません」
ヴェスカ「俺も知らないです」
ハリス「はい?」
  ヴェスカは、ため息をつきながら仕方なさそうに顔を上げる。
ヴェスカ「時間を有意義に使い学んでいるのに、ハリス殿は先程から邪魔しているのに気づいてもらえませんかね」
ハリス「・・・。何を学ばれているのですか?」
ヴェスカ「この後、シャメルと冒険者登録の後に討伐とか採取依頼とかしていくのに役立つように近辺にありそうな薬草類を覚えてるとこです」
  冒険者登録と聞いて、ハリスはその話を昨晩聞いていたことを思い出す。
  その言葉に偽りはなく、広げられている本は全て植物図鑑や周辺の地形図、魔物図鑑、素材一覧であった。
ヴェスカ「素材一覧とか、解体用の本とか結構あるので助かっていますよ」
ハリス「先ほどの質問に戻ってもいいですかな?」
ヴェスカ「はい?なんでしたっけ」
ハリス「ヴェスカ様はどうして王都に来られたのでしょう」
ヴェスカ「嗚呼、その質問ですか。叔父に行かないと殺すと言われたからです」
ヴェスカ「物心ついた時に俺はあの土地の管理を叔父から主導権を奪っています。俺を遠ざけたとしても権利が返ってくる訳ではないのに」
ヴェスカ「彼に任せてたら反乱は間違いなく起きていましたから、街を潰すわけには行かないと住民が動く前に俺が動いたんです」
ハリス「叔父はそんなにもひどい管理人だったと?」
ヴェスカ「知らないなら調べてきたらどうですか?明らかにおかしな金額の支出が以前と比べてあるはずだ。2時間は動きませんからご自由に」
  再び視線を本に戻していく姿に、国王に似た頑固さを感じていた。
  彼のことを見るように1人騎士をつけてその場から移動し始める。
  彼のことを理解すべきなのはわかっていたことだが、ハリスにはもう1人の様子を見る必要があった。

〇大教室
  ハリスがやってきたのはシャメルのいる教室であった。彼は真面目に授業をこなしており一安心する。
  そして授業が終わって、ハリスはシャメルの元に向かいヴェスカのことを聞いてみる事にした。
シャメル「ヴェスカが午前中の授業を眠っていたのは何故か・・・ですか」
ハリス「何か思い当たる節はありませんか?」
シャメル(夜明けまで来たパターンか? やけに激しいな・・・結界魔法はまだ使えないのだろうか)
シャメル(国王本人ではないとはいえ側近とも言えるハリス様に言えるはずもないか・・・)
ハリス「国王陛下も我々も、あなた達のことに関して知らなすぎています。どうにか挽回させていただくチャンスをください」
シャメル「そうは言われましても、僕らはそれを必要としません。望んでいません」
シャメル「今まで通りでいいんです」
シャメル「こっちから考えれば早く縁を切って領地に追放処分とかでいいです。もう僕らはそれぞれの場所を離れたくない。離れられない存在」
ハリス「一度もチャンスをいただけないのですか」

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