領主皇子は守護神級

しろのあ

王都編〔3〕(脚本)

領主皇子は守護神級

しろのあ

今すぐ読む

領主皇子は守護神級
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇城の回廊
  こうして、得意の魔法で彼は王城の近くに『転移』してきたのである。
ヴェスカ(さて、身支度でいるものは護身用の剣と、時計だけでいいか内ポケットに入れておこう)
ハリス「こ、ここは・・・?」
ヴェスカ「ここは王城の・・・入り口の近くです。遠距離移動は基本的に魔法が普通なので利用しているのです」
ハリス「転移、魔法・・・高等魔法を扱えるとは・・・ 恐れ入りました」
  しかしここでハリスの中に疑問が生まれる。
  彼は学園に魔法クラスに入学した理由である。
  魔法に長けているのなら、学ぶことがあるのだろうか・・・?と。
ハリス「あの・・・」
  ハリスがその疑問を晴らそうとするものの、騎士が2人に気づいて駆け寄ってきたことでそちらに視線が向かう。
ドラトニア騎士「ハリス様、お戻りでしたか。 失礼ですが、こちらは・・・?」
ハリス「こちらは陛下のご指示でこちらが招待した王子殿下のヴェスカ様です。これから中にご案内するところでして」
ドラトニア騎士「っこれは失礼しました」
  騎士が元の道を戻って行くことを見送り、ヴェスカはハリスの案内を待っていた。
  それに気づいたハリスは確認しそびれたことは後でと後回しにして案内し始める。

〇上官の部屋
  ハリスの案内で倒された場所は煌びやかな書斎のような部屋であった。そしてそこに座っていた人にハリスが声をかけた。
  金髪赤眼の男性を一眼見てすぐにヴェスカは誰なのかわかっていた。ハリスが彼を見て主人と呼んだ時点で決まっていた。
  彼がこの大国グラトニア公国の国王。
  グウェン・アースガノロフ・G・グラトニアなのである。
ハリス「主人、お客様をお連れいたしました」
国王「ん?嗚呼、戻ったのか」
  国王が顔を書類から顔を上げてハリスの連れてきていたヴェスカに視点を合わせる。
  そして声をかけようと口を開くが・・・
国王「よく来たな。えーっと・・・確か名前は・・・」
ハリス「陛下・・・?」
ヴェスカ(この人、俺の名前忘れてんな)
国王「ちょっと待て、違う。違うぞ!」
  明らかに名前を忘れている様子にハリスは背中に般若を潜ませる。
  般若が現れそうになっているのに気づき、ヴェスカは国王に会ったら何をしたかったかも全て破棄した後フォローに回ることにした。
ヴェスカ「お初にお目にかかります。陛下。私はヴェスカ・トラフィア・M・アースガノロフと申します」
ヴェスカ「陛下と御目通りした機会も一度あるかないか、陛下の記憶に残らないのもおかしくありません。お気になさらないでください」
国王「・・・あ、いや別に・・・忘れていたわけではなくてだな?!」
ハリス「陛下・・・ッ!」
ヴェスカ(余計ハリスの機嫌が悪化した気もするが長い付き合いだろうし任せることにしよう)
  そう考えた後に伝えておくべきこともこの際伝えておこうと再び話し始める。
ヴェスカ「陛下、まだ正式にお答えできる歳ではないですが、この場をお借りして現在の意思をこちらで表明しておきたいと思っております」
国王「・・・な、何のことだ?」
ヴェスカ「王位継承権に関してですが、私は返上致すつもりです。成人の儀を迎えたらまた正式にお伝えいたします」
国王「へ?」
ハリス「ヴェスカ様、お待ちください。どうにかお考えを改めていただけませんか・・・!」
ヴェスカ「これは元より決めていたことです。これからも覆ることはないでしょう」
ヴェスカ「王妃様にもお伝えください。妾の子供は大人しく王座から身を退くと。領地のみを見定め、内陸部には手を出さないとも」
ヴェスカ「今回王都の教育機関に参入することになってしまったのは母の影響ではありますが・・・卒業後は介入することなく領地へと戻ります」
ハリス「ヴェスカ様・・・あ、あのですね?!」
  ヴェスカは全て自分の意思を言い切ったと満足気に胸を張っていた。その様子にハリスも動揺を隠せない。
  国王本人も、目の前の息子が何を言い切ってしまっているのか頭が追いついていないのであった。
ヴェスカ「そろそろ陛下もご準備されますよね。私はこれで失礼します」
  この国に来て一番いい笑顔を見せてその場を退室し、部屋を出てから従者に会場の場所を聞いて移動し始めるのであった。
  これには国王は頭を抱え、ハリスも沈黙した。
  しばらくの沈黙の後、国王はヴェスカの言っていた言葉を大事なことから一つ一つ確認し始める。
国王「・・・ハリスよ、もしかして私は息子に嫌われているのか」
ハリス「それは元々かと」
国王「何故だ?!」
ハリス「本気でおっしゃっておられますか?」
国王「本気で言っている」
ハリス「ハァ・・・そもそも、あの地域にまだ幼い王子殿下とレベッカ様を追いやったのをお忘れですか?」
国王「ん?確かに時期尚早かと思ってもいたが、アレはレイチェルが領地を納める経験を積むことで、良き成長が得られるのではないかと」
国王「言っていたのを採用したのだ。自身の子ではないというのに未来を見据えた提案であっただろう?」
ハリス「ソレ、丸込められているとも捉えられますよ」
ハリス「それにどう考えてもおかしいでしょう。ヴェスカ様はまだあの時2歳の赤子同然だったのですよ?」
ハリス「もう1人のマリアナ様との御子息、シャメル様も当時5歳という歳で厳しい環境である地域に移動させてしまったではありませんか」
国王「ム・・・。それはつまり、私を独占するためにレイチェルが2人を追い出すような状況を作り出したというのか?」
ハリス「それ以外に無いかと。確認されてみますか?」
ハリス(答えてくださらないかもしれませんが・・・)
国王「・・・ではそれは後で聞くとして、妾の子らしくとはどういうことだ」
ハリス「継承権を返上しその上でその立場の理解をしているというのは、貴方を父親としてみていないということにもなります」
国王「息子達から嫌われるというのは私の計画には無い。・・・挽回できると思うか」
  ハリスはヴェスカに関してはジュエリードパルフェでの贈り物に関しての報告する。把握できていない案件がいくつもあるとみて
  調査団をそれぞれに派遣する必要があるだろうと提案していく。
  国王はすぐに手配せよと指示を出した。
  しばらく考えても王妃の真意がわかるわけでも無いと部屋を出て追及することにした。王妃が支度を終えて待機しているところへ
  自身の支度を終えてから顔を覗かせ話し合う形になった。

〇宮殿の部屋
  王妃は来訪した国王から話を聞き、しばらく考えた末に開き直るように答えた。
レイチェル王妃「えぇ、そのつもりでご提案しましたわ」
国王「そう、だったのか」
レイチェル王妃「貴方が私以外に好意を持つことには問題ないと思っておりました。しかし、その彼女達を認めるかどうかは私の判断です」
レイチェル王妃「彼女達はそれぞれ欲が強すぎたのです。あのまま放置していれば何かしら事件が起きていました」
レイチェル王妃「そのために先手を打たせてもらったのです。 王妃として、国を守るためにしたつもりですわ」
国王「レイチェルが国のために考えていたのは責められることでは無いやもしれん」
国王「だが、それと彼女達が産み落としてくれた私の息子との関係を引き裂く理由とはならない。彼らは君の考え通りに成長した」
国王「彼らが成長し力をつけていることが君の考えに反することもあるかもしれない。だが、彼らは私の息子達だ」
国王「傷つけるようなことはしないでほしい」
レイチェル王妃「彼女達が上り詰めるのは良くありませんわ」
国王「とにかく彼らの事を母親のことは関係なしに判断してみてほしい」
レイチェル王妃「・・・わかりましたわ」
  王妃と話した後、2人で会場に向かう。ハリスには先に会場に着いている息子達を近くに集めるようにと指示を出す

〇大広間
  王妃と国王が話し合っている頃、ヴェスカは同じ苦労を抱える同志とも言える存在に出会っていた。
ヴェスカ「そっちってどうなんだ?」
シャメル「いやいや、5歳で領地を納めるの任せるか普通・・・」
ヴェスカ「俺2歳」
シャメル「よく生きたな・・・」
ヴェスカ「優秀な護衛と、地元民がいたお陰だ。あの人わかってんのかな。俺らを送った場所がどういうもんなのか」
シャメル「ほぼ知らないだろうね」
ヴェスカ「母親の方も気にかけることもしてくれないから俺が国から送られてくる資金の調整して満足させつつ資金運用してたんだけどさ・・・」
ヴェスカ「ほぼ俺平民育ちよ。せめて何か誕生日プレゼントととか送れよって思ったね」
シャメル「贈り物に関してはこちらもだね。 苦労してきた気持ちがわかるよ」
ヴェスカ「はぁー・・・追い出したいなら離婚して完全に切ってくれればよかったのにな」
シャメル「資金援助してくれてるだけマシかな」
  2人の会話は父親への文句で華が咲いていた。
  そこに2人を呼びにきたハリスが柱の影から出てこれない状況にあった。
ヴェスカ「このパーティの内容知ってる?」
シャメル「いや、それがまだ聞いてないんだよね」
ヴェスカ「シャメルはどうか知らないけど、俺さっきあの人との挨拶してきたんだけどさ。もうはっきりと言ってきたんだよね」

このエピソードを読むには
会員登録/ログインが必要です!
会員登録する(無料)

すでに登録済みの方はログイン

次のエピソード:王都編〔4〕

成分キーワード

ページTOPへ