王都編 〔1〕(脚本)
〇林道
ヴェスカ(ついに辿り着いてしまったな・・・王都グラトニア公国、魔法武闘学園・・・)
彼はヴェスカ。住んでいた場所から叔父に追い出されるかのようにして王都に向かえと言われて辿り着いたところである。
彼の齢はまだ10歳。入学する年ではあるが元より通う予定はなく、学園に通うよりも大事な地位についていたが叔父の企みでここに
やってくることになったのだ。
本人はきたからには何か収穫して帰ろうとため息をつきながら学園内に向かう。
〇華やかな寮
ヴェスカ「はぁ、俺は忙しいってのに・・・。まあ、ここに追い出されたとしてもやることはかわらねぇ。気持ち切り替えていくか」
入学試験の当日に間に合うことができた彼は装備を外して、身軽になってから試験に挑んでいく。
試験の内容は常識学、実技、魔法の3種類ありそれらを無事に終えて、彼は自分のクラスへ地図を確認してその教室の前にたどり着く
ヴェスカ(最初の授業の進み方とか説明聞いて余裕そうならサボるか。時間は有意義に使わないとな・・・さて、変な奴らはいませんように、と)
〇大教室
ヴェスカは入学の手続きを終えて自分のクラスに向かう。教室に入るなり、突然水をかぶせられてその場に立ちすくんでいた。
なんとか状況を探ろうと見渡すと、頭の上には何もない。すでに着席している人々は気の毒そうな視線を向けていた。
???「あっははは!ヒットぉ!」
仕掛けた本人は特等席に座って笑い転げている。
ヴェスカ(幼稚な奴らがいるな・・・)
ヴェスカ(貴族出身の奴らか・・・どこの家かは後でわかるだろう。とにかく今は濡れた服を乾かして適当に座ろう)
〇大教室
ヴェスカはその場で服を乾かし、何事もなかったかのように空いている席に向かう。
そして仕返しとしてオレンジ頭の大笑いしているやつの口めがけて泥水をプレゼントしておいた。
泥水が口の中にクリーンヒットしたところをすぐ近くにいた仲間達が見てすぐに自分の口を閉ざす。
ふざけた笑い声もこれで止んだ
???「ゲホッゴホッ!! クソッ・・・・・・待ちやがれ!」
この学園では貴族と平民の差別は固く禁じられている。だがそんなルールも数多くいる生徒の中で守らない奴らは出てくるのだ。
???「・・・オイ、・・・・・・オイ!!聞いてるのか!!」
ヴェスカ(うるせぇな、なんだってんだ・・・コイツ)
泥水が被せられたオレンジ頭の少年がしつこくヴェスカに絡んでいく。
ヴェスカは面倒臭そうに目の前の人物が喚いているのを眺めつつ、早く時間になって担当が来ないかなと考えていた。
???「オイ!平民風情が俺に挨拶もなしに座ってんじゃねぇぞ!」
しばらく放置したら飽きるだろうと思っていたが、泥水を被らせていることが担当教員が来たらバレて騒ぎとなるだろう。
それに気づいたヴェスカは仕方なく証拠隠滅と同時に黙らせる意味合いを感じ取ってくれと祈りながら水と風魔法を使った。
二つの魔法で汚れは落とされ服も乾かされて綺麗にされたことに気づいた彼は暫く理解が追いつかない。
棒立ちな状態で魚のように口をぱくぱくさせているが、ヴェスカは無視して机に伏せた。
暫くして正気に戻った少年がまたヴェスカに食いつこうとするも、そこに担当の教員がやってきた。
周りの音が静まったのを確認して、顔を上げるヴェスカ。目の前にある後ろ頭を見ながら教員による自己紹介コーナーを待った。
次々とクラス内の前の席から自己紹介は始まり、目の前のオレンジ頭の自己紹介が始まる。
わざわざ乱れた髪を元に戻しながら、自己紹介を始める。
ミルフォ・ブレイザー「ブレイザー家の長男、ミルフォです。騎士一家ではありますが、広い視野を持ち使える技術を増やすためこちらのコースを選びました」
コースというのは三つある。
剣、魔法、生産だ。それぞれ基本的に同じ授業が最初は多いが後期からはそれぞれの専門となる。
今いるクラスは魔法クラス。ヴェスカ安定した成績の維持が簡単そうなやつを選んでいた。
魔法クラス担当教員「えー、では・・・次はその後ろの・・・ぁ・・・」
ヴェスカと目があった教員は明らかに何故自分のクラスにいるのかと驚き、慄いていた。それを見て名指しされる前に立ち上がる。
ヴェスカ(勝手に名前言われる前に言うか・・・)
ヴェスカ「アースガノロフ王家、第五位王位継承権を持ち魔境と呼ばれる土地の守護をしている。ヴェスカ・トラフィア・M・アースガノロフだ」
ヴェスカ「ここで掲げていることは特にない。技術は学ぶことないと思うが、知識面の方のみ吸収して領地に帰る。以上」
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