藍色の名探偵

金糸雀

母との別れと事故(脚本)

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金糸雀

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〇飛行機内
  イギリスの首都ロンドンから日本への飛行機に一組の家族が乗っていた。5歳くらいの女の子とその両親。
藍蒼「楽しかった〜!」
藍栞「ふふふ。そうね」
藍峻「まさか殺人事件が起こるとは思わなかったけどなぁ・・・」
藍蒼「お母さんがスパッと解決したもんね!」
  楽しそうな親子の会話・・・。しかし次の瞬間ガッシャーンと大きな音が聞こえた。外を見るとエンジンが燃えている。
「エンジンが!」
「つっ墜落するぞ!」
「キャアー!」
「いやっ死にたくないっ!」
  乗客はパニックになっている。そしてさほど時間はかからずに飛行機は墜落した。
  その飛行機には世界的に有名であり、伝説の名探偵と呼ばれる藍栞が乗っていた。家族と共に・・・

〇荒野
  飛行機が墜落して暫く経って1人の少女がうっすらと目を開けた。
藍蒼「ん・・・」
  ズキッ。体に激痛が走る。
藍蒼「くっ。はっお母さんは?お母さん・・・」
  少女は母親を探す。
藍栞「あ、あおい・・・? だ、大丈夫・・・?」
藍蒼「お母さん・・・・・・」
  少女は母親を一目見て助からないことを悟った。
藍栞「ゴボッ。蒼・・・貴女なら・・・あそこを・・・継ぐことが・・・ゴホッ。できるわ・・・」
藍栞「だって・・・貴女には・・・ゴホッ。天賦の・・・才能が・・・ゴホッ。あるから・・・あそこを・・・宜しくね・・・」
  女性はそう少女に言い残し息を引き取った。
藍蒼「お母さん!」
  ズキッ。また全身に激痛が走る。
藍蒼「ぐっ・・・」
藍峻「蒼!栞!何処だ!あっ。蒼!大丈夫か?」
藍蒼「お母さんが・・・死んじゃった・・・。でもお父さんがいて良かった・・・」
  少女はそこまで言うと父親の腕の中で気を失った。
藍峻「蒼!出血が酷い。急いで運ぼう」
  そう少女はかなりの出血をしていた。少女には左肘上から下と右膝上から下がなかったのだ。

〇大会議室
  ──その頃警視庁では・・・
  多くの警察官が慌ただしく仕事をしていた。そこに1人の男性が入ってくる。
山城「藍遅い!」
山城「お前が遅刻なんて初めてだな。ん?それどうした?」
  藍と呼ばれた男性はいたるところにガーゼや絆創膏を貼っていた。
藍峻「どうしたじゃないですよ山城さん。僕がこれに乗って帰るって言ってましたよね」
山城「これ・・・?」
藍峻「今のヤマです」
山城「は?だ、大丈夫なのか?!」
藍峻「大丈夫な訳ないじゃないですか! 栞が亡くなりました」
  その男性の一言は周りに衝撃を与えた。周りが騒つく。
山城「嘘だろ?!」
藍峻「嘘ではありません。本当です」
  栞というのは伝説の名探偵藍栞のことである男性はその藍栞の夫だった。
  だからこそその伝説の名探偵が死んだという噂が本当であることをこの男性が証明したのだ。
  山城さんは彼のもう1人の家族の安否の確認をする。
山城「蒼ちゃんは?」
藍峻「一命は取り止めました」
  山城さんは生きているということを知ってホッとした顔をしていた。すると突然男性の携帯電話が鳴り出す。
藍峻「すみません。はい。えっ本当ですか!はいありがとうございます。山城さん。蒼が起きたそうです」
山城「そうか。分かった。おい!佐藤!」
佐藤魅子「はい!何ですか?」
山城「お前の上司の到着だ」
佐藤魅子「警部!遅いです!」
  彼女の顔はとても不機嫌そうだった。しかしその顔も次には驚きの顔になっていた。
佐藤魅子「警部、それ、どうしたんですか・・・?」
藍峻「それは後だ!行くぞ!」
  男性がそう言い2人は部屋を出て行った。

〇病室のベッド
  2人は病院に来ていた。男性はとある病室の中に入っていった。
  中は広い部屋にぽつんと1つベットがあるだけ。ベットには少女が寝ていた。男性が中に入ると少女が声を上げる。
藍蒼「お父さん!!」
藍峻「蒼!! よかった!!」
  少女の名は藍蒼。男性の名前は藍俊少女の父親だ。
  峻は蒼の元気そうな顔に安心した。しかし隣にいた彼女には何が何だかわからなかった。
佐藤魅子「どうしたの?蒼ちゃん。そうだ警部栞さんは?」
  栞という言葉を聞いた蒼の頭の中であの事故のフラッシュバックが起きる。蒼は十分に息を吸うことができなくなった。
藍蒼「栞・・・。お母さん・・・。あっああっハァハァハァハァ」
  過呼吸になった蒼を見た峻は蒼を落ち着かせる。しかし女性はただ呆然とするしかなかった。
藍峻「蒼!深呼吸だ!ゆっくり吐け!よーし。そうだ。よし。佐藤お前ったく・・・」
藍蒼「ふぅ、はぁ・・・ふぅ・・・ ありがとう・・・お父さん・・・」
藍蒼「ごめんなさい・・・。 そうだブラックボックスは見つかった?」
  蒼は過呼吸になったことを父親に謝りずっと気になっていたことを質問した
藍峻「いやまだだ」
  女性はついていけなくなってしまったので勝手に話を進めている親子に質問した。
佐藤魅子「そ、それより!どういうことですか?!」
藍峻「俺と蒼と栞はこの事件に巻き込まれた。そして栞は蒼の前で死に、蒼自身も左腕と右足を失った」
  女性は自分が少女を一番傷つける言葉を言っていたことに気づき後悔していた。
佐藤魅子「そんな・・・。ごめんね。蒼ちゃんの気持ちも考えないで・・・」
  女性が謝ると蒼は笑いながら言った。
藍蒼「大丈夫ですよ。それよりブラックボックスの件だけど私がいたところにあったよ!」
藍峻「本当か・・・?!」
  少女からの重大な情報に2人は驚いた。
  ブラックボックスは事件を解決するために重要な機械である。その機械がある場所を知ってるというのだ。
藍蒼「うん!」
佐藤魅子「ありがとう・・・」
藍峻「すまないな」
  2人は感謝を伝え病室を出ていくのであった。

コメント

  • 世界的な名探偵の栞が搭乗していたこととその飛行機が墜落したことは関係あるんだろうか。犯人がいるのだとしたら、蒼には天才的な推理力を発揮して、なんとしてでも母親の弔い合戦に勝利してほしいです。幼い少女が名探偵の設定はあまり見かけない設定なので活躍ぶりが楽しみです。

  • 蒼ちゃんの生命力と精神力の強さがすでによく伝わってきました。きっと、彼女はこの大惨事の原因解明に携わっていくことになるんでしょうね。彼女のお母さんの遺言どおり、きっとすごい能力をもっているように思います。

  • 飛行機事故で母を亡くし、自分も大怪我をした少女。辛いだろうに重要なブラックボックスの場所を覚えている。少女は、どんな秘密を持っていて明かされていくのを待ちます。

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