魔法少女の母、娘を全力でサポートします!

花石雫

それぞれの想い(脚本)

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花石雫

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〇学校の校舎
  やりました!マジカルコスモ、マジカルプリズムの勝利です!!
  ──・・・そんな桃子さんのレポートがポータブルラジオから聞こえる。
青海舞桜(おうみまお)「皆さん、今日もありがとうございました!」
「いいってことよ!」
「娘さんナイスファイトだったぜ、舞桜さん!」
「しかし、二人のファンも大分増えて来たよなぁ」
「そうだな!でも、二人の一番のファンは俺達だぜ!なぁ、舞桜さん!」
青海舞桜(おうみまお)「それはもちろんですわ!」
  あれから何回も子供達の活躍があり、桃子の親衛隊の人達ともすっかり打ち解けた。
  ヲタ芸は流石にマネ出来ないけれど・・・
  駆けつけてくれるファンも増えた中、最近気になるのはこんな台詞だった。
「いやー、コスモちゃん可愛いな!流石桜乃木桃子の娘だよな!」
「若い頃の桃子ちゃんに似てるわよねぇ、ほんと将来が楽しみだわぁ!」
「旦那さんは元レッドなんだろ?強いわけだよなぁ!」
「もう一人の子を助けて頑張ってて、偉いわよねぇ!」
青海舞桜(おうみまお)「・・・・・・・・・」
青海舞桜(おうみまお)「親子関係を公表できて、よかったわねって気持ちもあるんだけど・・・」
青海舞桜(おうみまお)「・・・もう少し、世間は光李にも、注目してくれてもよくない?」
青海舞桜(おうみまお)「大体、サポートに回ってるのは光李の方よ?」
青海舞桜(おうみまお)「光李が上手くアシストしてるから、秋桜ちゃんも大技が決められるのに・・・」
青海舞桜(おうみまお)「まるで、光李が足手まといみたいじゃない!」
青海舞桜(おうみまお)「光李は怪人の血を引いてるのよ?ほんとはもっとやれる子なんだから・・・!」
青海舞桜(おうみまお)「そうよ。秋桜ちゃんより、うちの光李のほうが優れてるんだから・・・!」
青海舞桜(おうみまお)「光李の方が・・・」
青海舞桜(おうみまお)「・・・って、流石に親バカがすぎるかしらね?さて、仕事に戻りますか!」
  親としては自分の子供にも活躍して欲しい。注目して欲しい。
  別に子供達が望んでいる訳じゃないのにね?と笑って、私は家路についたのだった。

〇お台場
  桃子の勤めるテレビ局。

〇オフィスの部屋の前
「いやぁ!娘さん大活躍だね、桃子ちゃん!」
「うちの子も応援してるのよ!今度、サインでも貰っちゃおうかしら?」
桜乃木桃子(おうのぎももこ)「ありがとうございます」
  上司や同僚に挨拶しつつ、桃子は用意されてる楽屋へと入った。
桜乃木桃子(おうのぎももこ)「ふう、今日も二人とも無事でよかったわ」
桜乃木桃子(おうのぎももこ)「あら、舞桜さんからメールが来てる・・・ふふ、ファンの方も順調に増えてくれてるみたいで嬉しいわ」
「桃子さーん、少し大丈夫ですか?」
桜乃木桃子(おうのぎももこ)「はーい!」
「マジカル・マジカルのグッズの売り上げについてなんですけどー・・・」
桜乃木桃子(おうのぎももこ)「はいはい」
  公式ファンクラブは、表向きには桃子が代表になっている。
  親バカがすぎる等と言われつつも、今のところ好意的に受け取られているようだ。
  売り上げがこれから増える子供防衛庁の子供達の育成に回されるのも理由だろうか。
「いやぁ、どのグッズも品切れ続出で大変ですよ~!」
桜乃木桃子(おうのぎももこ)「まあ!応援してくれる人が多いのは嬉しいわね!」
  桃子は渡された資料を確認していく。
桜乃木桃子(おうのぎももこ)(・・・あら?プリズムのグッズの方が、売上が多いのね・・・)
桜乃木桃子(おうのぎももこ)(コスモのグッズは小さい子には人気があるけれど、プリズムの方は購入する性別も世代も広い・・・)
  コスモは強めのピンクにハートやパール、リボンとフリルで女の子が好むデザインだ。
  それに対して、プリズムのものは淡い黄色に星や黒のダイヤのシンプルなデザインになっている。
桜乃木桃子(おうのぎももこ)(男の人も買いやすいのかしら?それともお母さん方が娘さんとお揃いで買ってる?)
「桃子さん?」
桜乃木桃子(おうのぎももこ)「あっ、はい!なにかしら?」
「えっと、これがですねー・・・」
  スタッフの話を聞きながら、桃子の中にモヤモヤが広がる。
桜乃木桃子(おうのぎももこ)(グッズが売れることは悪いことじゃないわ。でもー・・・)
桜乃木桃子(おうのぎももこ)(・・・もしも、プリズムの方が人気があるってことだったら・・・?)
桜乃木桃子(おうのぎももこ)(人気の有無はいずれ本人の耳に入るし、モチベーションも左右される・・・)
桜乃木桃子(おうのぎももこ)(大技を担ってる秋桜には、その僅かなモチベーションが命取りになりかねない・・・)
桜乃木桃子(おうのぎももこ)(そんなのは駄目よ!秋桜は凄く頑張ってるのに!!)
桜乃木桃子(おうのぎももこ)(それより何より・・・)
桜乃木桃子(おうのぎももこ)「うちの子の方が、可愛いのに・・・」
「え?」
桜乃木桃子(おうのぎももこ)「あっ、何でもないです。それでー・・・」
  今それを気にしてても仕方ないわね、と桃子は仕事に集中する。
  しかしそれは、小さな小骨のようにチクチクと刺さるのであった。

〇結婚式場のテラス
赤城秋桜(あかぎこすもす)「グッズが可愛い・・・」
青海光李(おうみひかり)「どうしたの、秋桜ちゃん」
  訓練の後、二人はそれぞれお迎えを待っていた。
赤城秋桜(あかぎこすもす)「グッズが可愛すぎるんだよー!!」
青海光李(おうみひかり)「うん、可愛いね!私も秋桜ちゃんの色の使ってるよ?」
青海光李(おうみひかり)「お母さんは自分のしないの?って言うけど、ピンクのがデザイン可愛いよね!」
赤城秋桜(あかぎこすもす)「それだよー!!なんで光李ちゃんのはかっこいいの!?」
青海光李(おうみひかり)「色合いと装飾のちがいみたいだけど・・・」
青海光李(おうみひかり)「大人も使いやすいようにってお母さんが言ってたよ?」
青海光李(おうみひかり)「コスモちゃんのはがっつり女の子向けなんだって」
赤城秋桜(あかぎこすもす)「その、女の子だから~ってのがいやなんだよー!!」
赤城秋桜(あかぎこすもす)「服だって、本当はワンピースじゃなくて動きやすいのがいいのに・・・」
青海光李(おうみひかり)「秋桜ちゃん、カッコいいのが好きなんだもんね?」
赤城秋桜(あかぎこすもす)「そうだよ・・・」
赤城秋桜(あかぎこすもす)「私の夢は魔法少女を卒業したら、戦隊に入隊して・・・」
赤城秋桜(あかぎこすもす)「女性初のレッドになることなんだから!!」
青海光李(おうみひかり)「秋桜ちゃん、カッコい~!!」
赤城秋桜(あかぎこすもす)「光李ちゃんは、将来の夢とかないの?」
青海光李(おうみひかり)「将来の夢、かぁ・・・ない訳じゃないけど・・・」
赤城秋桜(あかぎこすもす)「そうなの?なになに?」
青海光李(おうみひかり)「私、お母さんが怪人でしょ?」
赤城秋桜(あかぎこすもす)「うん、カッコいいよね!」
青海光李(おうみひかり)「秋桜ちゃんはそう言ってくれるけど・・・世の中の人は怪人=倒す敵なんだって」
赤城秋桜(あかぎこすもす)「まぁ、悪い怪人はやっつけるよね」
青海光李(おうみひかり)「うん、私達もそうしてるしね。でも、お母さんみたいに人と共存出来る怪人も居るんだよ」
赤城秋桜(あかぎこすもす)「そう、だよね」
青海光李(おうみひかり)「だから、私・・・人と怪人を繋ぐことが出来たらって思ってるの」
青海光李(おうみひかり)「やり方もわからないし、すごくすごく、難しいと思うけど・・・」
赤城秋桜(あかぎこすもす)「光李ちゃん、かっこいい・・・」
青海光李(おうみひかり)「そ、そうかな?秋桜ちゃんの方がかっこいいよ・・・!」
赤城秋桜(あかぎこすもす)「そんなことないよ!かっこいい!」
赤城秋桜(あかぎこすもす)「光李ちゃんが何かするときは、私も手伝うからね!」
青海光李(おうみひかり)「秋桜ちゃん・・・ありがとう!」
赤城秋桜(あかぎこすもす)「皆がお母さんと舞桜さんみたいに仲良くできたらいいね!」
青海光李(おうみひかり)「うんっ!」

〇大きい研究施設
青海舞桜(おうみまお)「光李~、迎えに来たわよ~!」
青海光李(おうみひかり)「あっ、お母さーん!!」
赤城桃子「お疲れさま、舞桜さん」
青海舞桜(おうみまお)「あら、桃子さん!今日もお疲れさまです」
青海舞桜(おうみまお)「桃子さんのレポートに、親衛隊の皆さんったらうっとりしてたわよ?」
赤城桃子「あの人達は筋金入りだから・・・」
青海舞桜(おうみまお)「秋桜ちゃんだけじゃなく、光李の事も応援してくれて・・・本当にありがたいわ」
赤城桃子「そう、なのね・・・私の親衛隊が頼りになっているなら何よりだわ」
赤城秋桜(あかぎこすもす)「お待たせ~、お母さん!」
赤城桃子「はいはい。じゃあ舞桜さん、またね」
青海舞桜(おうみまお)「ええ、お疲れさま」
青海光李(おうみひかり)「バイバイ、秋桜ちゃん!」
赤城秋桜(あかぎこすもす)「うん、バイバーイ!」
青海舞桜(おうみまお)「・・・?」
青海光李(おうみひかり)「お母さん?どうかしたの?」
青海舞桜(おうみまお)「え?あぁ、なんでもないわ。私達も帰りましょう」
青海光李(おうみひかり)「うん!」
青海舞桜(おうみまお)「『私の』ねぇ・・・」
  それはほんの些細な言葉。
  しかし、確かに僅かな棘を含んだ言葉。
青海舞桜(おうみまお)「・・・別に、親衛隊の人達が光李の事も応援してくれたっていいわよね?」
青海舞桜(おうみまお)「桃子さんたら、仕事で嫌なことでもあったのかしら?」
「おかーさーん!」
青海舞桜(おうみまお)「はいはい」
青海舞桜(おうみまお)「ま、気のせいよね?」
赤城桃子「・・・」
赤城桃子「光李ちゃんには、負けないんだから・・・」
赤城秋桜(あかぎこすもす)「お母さん?」
赤城桃子「秋桜、お母さんがついてるわ。頑張りましょうね!」
赤城秋桜(あかぎこすもす)「う、うん・・・」
赤城秋桜(あかぎこすもす)(お母さん・・・?)
  些細な嫉妬は、親のライバル心に火をつけた。
  ほんの僅かな不穏を残して、二組の親子は地球防衛庁を後にしたのだった。

次のエピソード:ライバル宣言!?

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