王都編〔2〕(脚本)
〇おしゃれな廊下
部屋の確認を終えたヴェスカは、部屋を出て廊下で待ち構えている執事に出会していた。
ヴェスカ(どこかの使いだろうか?)
ヴェスカ「何か御用ですか?」
ハリス「お初にお目にかかります。ハリスと申します。我が主人よりこちらをお預かりして参りました」
ヴェスカ「拝読します」
手紙の内容は王家筆頭のパーティの開催についてであった。そこに俺を招待すると書き記されていた。
ヴェスカ「招待状・・・?」
ヴェスカ(王家の刻印・・・つまり父親からか)
ハリス「ご参加いただけるでしょうか。この場でお返事をお受け取りしたいのですが」
ヴェスカ(本来なら断りたいところだが、一度くらい挨拶は必要だろう。こちらの硬い意思も表明しておきたいところだ)
ヴェスカ「お受けしますとご返事を」
ハリス「確かに。 それで、こちらからの突然の招待ですので衣服などの調達等をお手伝いするように仰せつかっております」
ヴェスカ「それに関しては必要ありません。いつか必要になると考えておりまして今手配しております」
ハリス「・・・?申し訳ありませんが、従者や護衛の方はお見受けなりません。どのように手配を?」
ヴェスカ「衣服の手配は・・・嗚呼、戻ってきましたね」
ハリス「球・・・?」
主人〜いつでもお気軽にお越しくださいってさぁ♪
ヴェスカ「すぐに向かう。パーティ用の物を用意させておいてくれ」
はぁい、伝えたよっ!
ヴェスカ「衣装に関しましては、解決しそうなので問題ありません。問題なく会場に向かいます」
ハリス(この方は魔法に長けておられるようだ)
ハリス「付き人は今回ご一緒しなかったのでしょうか」
ヴェスカ「えぇ、領地の方に置いてきました。必要性を感じなかった物で」
ヴェスカの従者というものは存在すらしていないのだが、それはこちらから伝えるべきことでもないと判断して誤魔化すことにした。
しばらく、何か考えるように沈黙したハリスは再び微笑み同行させてほしいと名乗り出る。
特にその提案を断る理由はないと考えて受けることに。しかし服飾店に向かうために使うであろう馬車には乗れないと断りを入れる
ハリス「何か問題でもありますか?」
ヴェスカ「閉鎖空間が苦手なので徒歩で行きます。 貴方は使って行くといい。服飾店というのはジュエリードパルフェという店です」
ハリス「・・・そうなのですか?」
ヴェスカは過去に酷い目に遭ったため、馬車にだけは乗れないのであった。そのため領地から離れた場所に行くには転移魔法を使う。
実際に領地から離れた王都にも転移魔法で近くまでやってきて国に入るために徒歩で城門をくぐったのである。
ハリス「それでしたら馬車は帰します。私もご同行してもよろしいですかな?」
ヴェスカ「構いません。お好きになさってください」
こうして、彼とハリスは学園を出て街中を通って貴族街にある。ジュエリードパルフェにたどり着くのであった。
〇アパレルショップ
ベネット「ようこそお越しくださいましたわ♪ ヴェスカ様」
ヴェスカ「用意しておいてくれたか?早速見たいんだが」
ベネット「もちろんですとも。全て揃えておきましたわ」
ハリス「ベネット嬢、いくつか確認したいことがありますので、後ほどよろしいですか?」
ベネット「えぇ、構いませんわ。さっ、ヴェスカ様。お先にお相手させていただきますね」
ヴェスカ「嗚呼、どれだ?」
王家に支えていた執事のハリスは店に向かうまでの対応や自身に向けての礼節が全て完璧にこなせている存在に目を見張っていた。
まだ年齢は10と未成年であるのに、目の前にいるのは自分が仕えている主人の影武者ではないかというくらいの存在感だった。
王城で暮らし継承者として励む第一、第二皇子よりも洗練された動きや対応の素早さに驚くことばかりだ
しかし、対応が完璧だからといって継承する意思がなければ意味はない。是非ともその意思があるかどうか確認したかった。
ハリス(その為にベネット嬢にその件に関して知っておられないか確認したいが・・・かなり気に入られているようだ。楽しそうにしている)
探りを入れようにも、彼女はハリスの元になかなかやってこなかった。
〇アパレルショップ
しばらくしてベネット嬢の時間ができてこちらに近寄ってくる。
ベネット「それでお話しというのは?」
ハリス「彼はここを利用したことのあるような対応ですね?」
ベネット「それはもちろんありますわ。常連様ですもの」
ベネット「自身の母のために、ジュエリーを購入して匿名で包装して無能な父の代わりにご機嫌取りをなさっておりますわ」
ハリス「・・・不敬となりますぞ」
ベネット「あらあら?おかしいわね。その様子じゃ、まだ何も知らないのね」
ハリス「何のことですかな?」
ベネット「あの方が話されてないことを話す義理はありませんわ。それで?本題は何ですの?」
ハリス「・・・とても気になりますね。とりあえず私が確認したいことは、彼から継承する気がある等の話はしてきませんか?」
ベネット「まっ!そんなものないに決まっているではありませんか」
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